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カール・マルクス 著『資本論 』(25)  読書メモ

第三遍 絶対的剰余価値の生産
 第六章  不変資本と可変資本①
労働 過程 の 異なる 諸 要素 は、 生産 物 価値 の 形成 に、 それぞれ ちがっ て 関与 する。

労働者 は、 その 労働 の 特定 の 内容、 目的、 および 技術的 性格 の 如何 に かかわら ず、 一定 量 の 労働 を 付け加える こと によって、 労働対象に あらた な 価値 を 付加 する。

他方 において、 われわれ は 消耗 さ れ た 生産手段 の 価値 を、 ふたたび 生産 物 価値 の 構成 部分 として、 たとえば綿花 および 紡錘 の 価値 を、 撚糸 価値 の 中 に 見出す。

かくして、 生産手段 の 価値 は、 生産 物 への その 移転 によって 保存 さ れる。 この 移転は、 生産手段 が 生産 物 に 転化 する あいだ に、 すなわち、 労働 過程 において、 行なわ れる。

それ は 労働 によって 媒介 さ れる。 しかし、 いかにし てか?  

労働者 は、 同一 時間 に 二重 に 労働 する のでは ない。 一方 では、 彼 の 労働 によって 綿花 に ある 価値 を 付け加えるため に、 そして 他方 では、 綿花 の 元 の 価値 を 保存 する ため に、 あるいは、 同じ こと では ある が、 彼 が 加工 する 綿花 と 彼 が それ をもって労働 する 紡錘 との 価値 を、 生産 物 なる 撚糸 に 移転 する ため に、 労働 する のでは ない。

そう では なく、 彼 は、 単に 新た な 価値 を 付け加えることによって、元の価値を保存するのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.716). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

しかるに、労働対象への新たな価値の付加と、生産物における元の価値の保存とは、労働者が同一の時間内に生ぜしめる二つの全く異なる結果であり、しかも彼は同一時間中には一度しか労働をしないのであるから、この結果の二面性は、明らかに、彼の労働そのものの二面性からのみ説明されうるのである。

同じ時点において、彼の労働は、一つの属性においては、価値を創造し、他の属性においては、価値または移転せねばならないのである。

【注:労働そのものの二面性とは「労働者は、その労働の特定の内容、目的、および技術的性格の如何にかかわらず、一定量の労働を付け加えることによって、労働対象にあらたな価値を付加する。

他方において、われわれは消耗された生産手段の価値を、ふたたたび生産物価値の構成部分として、たとえば綿花および紡錘の価値を、撚糸価値の中に見出す。」ようなことを言う。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.727). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働の単に量的な付加によって、新たな価値が付け加えられ、付け加えられた労働の質によって、生産手段の元の価値が生産物において保存される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.758). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

何らかの発明によって、紡績工が、以前には36時間で紡いだと同じ量の綿花を、6時間で紡ぎうるものと仮定しよう。

目的に添う有用な生産的活動としては、彼の労働は、その力を6倍にした。その生産物は6倍、すなわち、6ポンドにかわる36ポンドの撚糸である。

しかし、いまや36ポンドの綿花は、以前に6ポンドの綿花が吸収しただけの労働時間を吸収するにすぎない。

綿花には、古い方法をもっているばあいの6分の1の新たな労働が付け加えられ、したがって以前の価値の6分の1が付け加えられるにすぎない。

他方では、いまや6倍の綿花の価値が、生産物のうちに、36ポンドの撚糸のうちに存在する。6紡績時間に、6倍大きい原料の価値が保存されて、生産物に移転され、しかも同じ原料は、6分の1の新価値を付け加えられる。

このことは、同じ不可分の過程中に価値を保存する労働の属性が、価値を創造する労働の属性と、いかに本質的にちがっているかを示している。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.762). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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