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佐々木閑氏と古舘伊知郎氏が語る釈迦について

いつも釈迦の教えを丁寧に解説している仏教学者佐々木閑氏が、新刊のお知らせとして、古舘伊知郎氏との対談本『人生後半そろそろ仏教にふれよ』を刊行したというので、さっそく購入して読んでみました。

プロレス実況でのマシンガントークと「報道ステーション」のメインキャスターとして有名な古舘さんが、「釈迦の推し活」中というのですから、驚きました。

釈迦の教えと言えば、「無我」を説いているのですから、自我の塊とも思える言葉を操る芸術家でもある古舘が何故、釈迦に興味を持ったのかに関心がありました。

古舘氏は、最愛のお姉さんをがんで亡くされたときの看取りの体験が棘となって心に刺さり、「人の生き死に」を深く考えるようになった末に、人生の後半で釈迦の仏教に行き着いたということでした。

かといって何らかの宗派に入信することもなく、ひたすら釈迦の教えを探求していたようです。それだけに、佐々木氏に次々と疑問を投げかけていました。

日本では釈迦の教えではなくて、釈迦の死後約百年後に興った「大乗仏教」が先に浸透し、釈迦の教えは、後から導入された。つまり、インドでは釈迦の教えは原始仏教となるが、日本では最先端にいることになる。

古舘氏が、釈迦を語りだすと、友人たちが皆逃げていくのは、内容が新しすぎて、真面目に聞いてくれる人が少ないのでしょうと佐々木氏は笑って答えていた。

そして次のように佐々木氏は語っています。

目先の小さな喜びではとても抗えないほどの深い苦しみを体験したとき、その人にとって、小さな喜びはなんの意味もなくなってしまいます。本質的な苦しみばかりが心に浮かんでくるようになって、生きるための拠り所が消滅してしまうのです。そういう状態になった人のためにこそ、釈迦の仏教があるのです。ですから古舘さんも、本当に苦しんでいる人に語りかければいいのであって、日々の小さな喜びを満喫している人たちに喋っても聞いてはもらえないのです。

古舘 伊知郎; 佐々木 閑. 人生後半、そろそろ仏教にふれよう (PHP新書) (p.72). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.



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