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『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977/アメリカ)

何かにかける青春映画よりも、悶々とする青春映画も好きだ。
さて、今日紹介するのは『サタデー・ナイト・フィーバー』ですが、どんなイメージをお持ちでしょうか。ジャケ写のイメージで敬遠してません?

フィーバーと聞くと“お祭り騒ぎ“というイメージがありますし、ジョン・トラボルタが白のスーツで右腕を天にかざすジャケ写もそれを連想させます。「土曜の夜にお祭り騒ぎする青春映画でしょ?」と思って、まだ観てない人、観ましょう。(はい、かつての私もそうでした)

青春時代のもんもん映画

そんなのは冒頭だけです。本編のほとんどは主人公が悶々する青春映画で、普遍的に誰の心にも訴えかけるものがあります。フィーバーは“熱病“という意味もあり、『サタデー・ナイト・フィーバー』は土曜の夜に現実を忘れて、熱病のようなダンスを夢中になってしまう、というネガティブな意味なのです。

じゃあ、なんで熱病のようなダンスに夢中になってしまうの?
日常生活が全然面白くないからです。仕事も家庭もダサいし、悪友たちとの遊びも面白くないし、でも土曜の夜にディスコでダンスをしているときだけは輝いていられる。それが熱病のようにくだらない現実を忘れさせてくれていたんですけど、これは現実逃避なのです。
この葛藤が主人公を悶々とさせる原因です。自分ではそれがなんとなく分かっているけどどうしていいか分からない。同じようなダサい日々のなか、とある人の出会いでで主人公は変わり始めるという映画です。

「自分を変える不安、現状維持の不満」それを彩る名曲たち

舞台はブルックリンという治安の悪い下町で、主人公はそこでずっと暮らしているから、教養もないし、付き合う友達もやんちゃな人が多いです。でも橋を渡ればマンハッタンという洗練された都会の街があります。橋を渡ればそこに行けるんだけど、行くことができない。気持ちの問題です。自分の運命を変えてくれそうな魅力的な年上の女性と出会うんですけど、そこで主人公はどう変わっていくのか。ここが見ものです。

この映画のいいところはどこか。スタイルはいいけどジョン・トラボルタの垢抜けないダサい青年の演技、最高。あと音楽。『ステイン・アライブ』『愛はきらめきの中に』どれも名曲。大好き。

(面白さ:★★★★★★★★★★)


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