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本よみの賢さ、職人の器用さ、スポーツ選手の機転

もう終わってしまったけれど、今回のパリオリンピックが面白かった。
もともとショー的なものを見るのが好きなので、開会式から「これは期待が持てるぞ」とくらい付き、最後まで熱中した。

各競技の感想はnoteで達人さんが書いているし、普段はそこまでスポーツ観戦をしない私なので、今回はちょっと別の視点から感想を書いてみたい。それはスポーツ的なセンスというか、頭の良さについて。

それを如実に感じたのが男子のバレーボール(残念ながら日本は決勝リーグに進めなかった)。こんな凄い競技だったなんて、と改めて感心させられた。あの広いコートで、たった6人で、3メートル超の高さから100キロで飛んでくるボールを浮かせ、飛ばし、打ち返すなんて。

バスケ&ハンドボール経験者として言わせてもらうと、飛んでくるボールを掴まずにパスするというのはけっこう無理がある動きだ。特にセッターなんて敵と味方の位置を見て瞬時にパスの種類を判断し、ボールを掴まず正確に動かしている。

「脳筋(脳内筋肉)」という言葉があるけれど、こんなこと、アタマ悪かったら絶対にできない。そこには長期間にわたって地道に練習し、実践を積んだ人だけが到達できるある種の「賢さ」を感じる。

彼らを見ていたら、一流の職人さんの佇まいを思い出した。実際、脳と手先が完璧にリンクした器用さって、アスリートの機転と共通するものがあると思う。今では失われてしまったけれど、空を眺めて稲刈りの時期を決めていた昔の農家や漁師さんにも、同じような賢さがあったのだろう。

そう思うと大学のランクやテストの点ばかりで人の能力を想像してはダメだなと感じる。多様性という言葉はきっと「みんなに優しく」ではなく「みんな力を出して」という事なんだろう。

ちなみに日体大時代の内村航平(体操以外の運動が苦手)がトスが上げられず落第しかけたというけれど、なるほど確かにと納得させられた(ひたすら自分の内側に集中する体操の演技とは真逆の能力を要求されるわけだもんね)。

私は下手ながら高校の時は体操部にいたのだけれど、球技の何倍も体操の練習が好きだった。ひたすらおなじ動きを繰り返して、一つ一つ出来るようになっていく過程って、意外と読書の楽しみと共通点が多い気がしている。

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