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第3回 HLAB 2020 リーダーシップ・プログラム 研修レポート

7月5日に、第3回 HLAB 2020 リーダーシップ・プログラム研修をオンラインにて開催しました。本記事では、当日の様子を参加者の声と共にお届けしていきます。

当日の様子

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第3回のテーマは "Diversity&Inclusion" でした。参加者は、事前課題として "Diversity&Inclusion" を題材にした映画を鑑賞し、それに対する自身の考えや関連する日常の出来事をまとめてきました。研修当日は、それをもとに、少人数のグループでそれぞれの映画における多様な人種、性的嗜好、身体的特徴などの描かれ方を共有しました。

その後、「個人の行動の変化と組織や社会の変化の間にあるハードルを乗り越えるために、あなたはどのような行動をすべきか、すべきでないか」という視野を広げた問いについて、ディスカッションをしました。個人の行動の限界や、他者を巻き込む際のプレッシャーについてなど様々な論点が挙がりました。

今回の研修では、HLABが重視する「多様性」について理解を深め、当事者意識を持つことができたのではないでしょうか。

参加した大学生運営委員の声

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『個人と団体の視点から考える「多様な社会」へのアプローチは異なる』  早稲田大学 国際教養学部3年 白木美幸

私は “The Half of It (ハーフオブイット:面白いのはこれから)”という、性、人種、貧困、学歴など、あらゆるアイデンティティの交差性に基づいた差別に問題提起する映画を見ました。言葉や映像に象徴される意味を読み解く学問である記号学を学んだ知識を元に、カメラワークや登場人物の一挙手一投足がいかに特権と偏見が複雑に絡み合った現代のヒエラルキー社会を反映しているのかについて考察した内容を発表しました。私が特に着目したのは主人公エリーの父親と友人ポールの交差性です。エリーの父親は大学院の博士課程卒のエリートにも関わらず、中国移民第一世で訛りのある英語を話すため仕事をクビになって塞ぎ込んでしまいます。一方、ポールも作中で要所要所に描かれているように「剽窃 (ひょうせつ) 」の単語を知らなかったり、エリーの父と自分自身の英語の話し方を比較して “I don't speak good either”などと文法的に誤りのある英語を無自覚に使ったり、作文の成績がいいエリーに憧れている知的な女性宛ラブレターの代筆を頼んだりと一般的に世間で「認められる」英語を話すわけではないことを認識しています。しかし、彼自身は白人であり、学校のフットボールチームでも活躍し、また、無職のエリーの父親とは違い、地元で人気の肉屋の息子で将来を約束されています。このように、エリーの父とポールは二人とも英語にコンプレックスを感じながらも、「人種」という要素によって、地域で特権を持つ者と持たざる者として区別されています。人々のアイデンティティは様々な要素で構成されており、住む地域にある価値観に大いに翻弄され個人の並大抵の努力では変えられない、どうしようもなく理不尽で不平等な社会が的確に表現されていると思いました。

また、一人一人の個性が受容される組織づくりのためにどのような具体的な行動を取ることができるのか、という議論は非常にHLABらしさを感じました。何が問題なのかという “what” の認識に止まらず、”who” 即ち、リーダーとしての自分が、身近なところでどのように解決策を提示できるのかという“how” の部分までも考えられたと思います。特に今回自覚したことは、個人と団体の視点から考える「多様な社会」へのアプローチは異なるということです。例えば、私は差別や格差に関して専門的に勉強してきたので、その知識を生かすリーダーとして学生が自身の未来を考えるワークショップを開催したいです。その一方で、HLABの「大学生リーダー」としては、多様性と学びの交差点とは具体的にどういったものなのかを自問自答し続け、あらゆる人が安心して学び合える場所作りに貢献したいです。個人には個人の、団体には団体の目的やゴールがあるからこそ、多角的に「多様性」について話し合う今回の研修は非常に実りが多い企画だったと思います。

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「各コミュニティをつなげる架け橋になりたい」
慶應義塾大学 総合政策学部1年 田口暦 

私は事前課題として「最強のふたり」という映画を見ました。この映画は黒人の男性ドリスが、首から下が動かない障害を持った富豪の男性フィリップの介護をすることになり、バックグラウンドや文化を超えた信頼関係ができてゆくという物語です。私には、この映画の中で、精神的に調子が悪くなってしまったフィリップをドリスが散歩に連れてゆき、タバコを勧めるシーンが印象的でした。このシーンで相手がして欲しいことよりも、自分が相手にしたいことをするとあえてドリスが判断したことで、より2人の理解を深めることになったと感じています。

このことから、私は日常的に相手がして欲しいことだけを考えてしまっていたことに気がつきました。相手のして欲しいことを考えることももちろん大切ですが、ときには思い込みを相手に押し付けることにも繋がります。どんなに親しい人でも、相手の望んでいることを全て理解することはできないということを常に気をつけて、「相手のことを分かってあげる」のではなく「自分が伝えたい気持ちを伝える」ということをもっと意識して人と関わっていきたいと思います。

また、グループに分かれて議論した時にも新しい気づきがありました。私たちは様々なコミュニティに属していますが、それぞれのコミュニティには意識の差があります。SNSなどで自分の考えについて発信するとき、このコミュニティの人は応援してくれると思うけれど、このコミュニティの人にはよく思われなかったらどうしよう、と考えてためらうこともあります。このようなときに、私は無理に発信する必要はないと考えます。もし発信したとして、発信した内容が原因で関係が悪くなってしまったら、肝心の内容も否定的に捉えられてしまう可能性があるからです。この考えを他の人に伝えたところ「暦らしい考え方だね」と言われました。HLABに入って研修や自己分析を通して、私は人との関係を一番に考えているということに気がつきました。自分でも意識していた訳ではありませんでしたが、この考えを私らしいと言ってくれたことが嬉しかったです。これからは自分の周りの人との関係を大切にしつつ、5ミリくらいの勇気を出して行動して、各コミュニティをつなげる架け橋になりたいと思います。

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