HLAB Conversation #31 教育格差・児童福祉の現場から感じるもの
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HLAB Conversation #31 教育格差・児童福祉の現場から感じるもの

HLAB Conversationとは
HLAB ConversationとはHLABに繋がりのある人々に対して広く開催している、ゲストとともにカジュアルに語り合うことで学びと出会いが生まれる場です。「自分の知らない新しい世界」の扉となるべく、毎回様々なテーマに沿って開催しています。

今回のHLAB Conversationのテーマは「教育格差・児童福祉の現場から感じるもの」。
学びや気づきを与え合う「教育」の場を参加者一人一人で創っているHLABコミュニティ。そこで、日頃から教育現場に携わっている3人のゲストの方をお迎えして、教育現場で感じるリアルな課題をお話ししていただきました。

ゲスト紹介
■ 酒井朝羽さん(学校法人軽井沢風越学園スタッフ)
2013年HLAB OBUSE参加者、2016年HLAB OBUSEの実行委員。「総合的な学習の時間」が盛んに行われる小学校で学んだことにより、探究学習やプロジェクト型の学習に興味を持ち、教育学部に進学することを決意。大学卒業後、信州大学大学院教育学研究科で研究を進める傍ら、約1年半NPO法人青春基地の職員として公立高校の「総合的な探究の時間」の授業づくりに関わる。現在、軽井沢風越学園のスタッフとして、探究的な学びづくりに奮闘中。
■ 鈴木孝太郎さん(NPO法人ChanceForAll、NPO法人コトハジ)
体育の教師になるべく大学へ進学。学生時代はNPO法人TeachForJapanのインターンで教育という世界の広さを感じ、その後「居場所・サードプレイス」というキーワードに注目して活動。大学卒業後は現代の駆け込み寺と呼ばれるシェアハウスリバ邸で高校生3人と一緒に暮らす管理人、会員制のコミュニティ6curryで大人向けサードプレイスの運営を経験。現在、NPO法人ChanceForAllで放課後の小学生の成長を見守る学童の先生をしつつ、なにかし堂という小学生〜大学生が中心に集まる居場所を運営している。
なにかし堂:https://nanikashido.org
Twitter:https://twhttps://nanikashido.orgitter.com/chritaro0516
モデレーター
■ 河合道雄さん(株式会社LITALICO | HLAB, Inc.
2011年~ 2014年のHLAB実行委員。新卒で入社した株式会社LITALICOで発達が気になる親子向けポータルサイト「発達ナビ」の企業タイアップ案件の企画に従事。HLABでは下北沢居住型教育施設SHIMOKITA COLLEGEの広報を担当。学部時代にHLABの立ち上げ参加ののち、大学院在学中には米国 HarvardXにてオンライン教材制作や、「トビタテ!留学JAPAN」の効果測定にも携わる。

今回の記事では第1部「現代教育・児童福祉のリアルな課題」と第2部「教育・児童福祉にかける思いについて」のパネルディスカッションの内容を抜粋しております。

①現代教育や児童福祉のリアルな課題

第1部でお話ししてくださったのは、ゲスト2名が教育現場で感じる課題です。まず初めに、なにかし堂の運営や学童で実際に働かれている鈴木さんは次のようにお話ししてくださいました。

鈴木:学童保育という現場で働いている人の労働環境や、学童保育という業界がすごく軽んじられていると感じています。学童保育という名前で働いている人の7割は年収150万以下で働いているのが現状です。時間としても、学校の時間(夏休み・冬休みなど入れて)よりも放課後の時間の方が長いという計算がされているので、この時間を預かる人の労働環境がそのような状況で大丈夫なのか、とても気になっています。

と、教育に関わる大人たち(特に鈴木さんのような学童保育といった子供と密接に関わる職業の方々)の労働環境に対する課題をあげてくださいました。もう一つの課題として

鈴木:地域に入っていくと、大人の格差を感じるなと思っています。これで何が起きるかというと、将来こんな大人になってみたいなとかこんな職業にやってみたいということに目が行きづらくなり、将来目指すものがなくなってしまうんじゃないかという懸念をしております。なにかし堂で活動している中でもテーマは「子どもの関係人口を増やす」という名目でやってます。学童でも学童で閉鎖するのではなく、地域の人との関わりだったりとか、行政・学校と連携していくというのは常に考えています。

という子どもと大人との関わりに対する重要性への意識の低さが原因で子どもの未来の選択肢や、希望といったものが薄れてしまうのではないかといった懸念も挙げていました。一方で学校教育に実際に携わっている酒井さんは次のような課題を挙げていました。

酒井:私は風越学園で、子どもたちが自由にやりたいことを学ぶ現場を作っていきたいと思っています。その中で難しいなと思っていることが、子どもたちの自由を尊重すると、やりたいことはやるけどやりたくないことに対してやらなくなったり、自分の「やりたい」が場合によって人を傷つけてしまうこともあったりするということです。学校やこれから出ていく社会で、自分のやりたいを実現することは大事なんですけど、やりたいことがある中でも人となにか作っていかなければならないし、人と共に生きていくってことを考えると、やりたいことだけをするだけでは自由に生きるとは言えないと感じています。一緒に生きる「他者」にも目を向けることが必要なんだと思っているんですよね。

と、風越学園の言葉で言う「自由と自由の相互承認」といった自分と相手の自由を尊重して他者と共に生きていくことの大切さを子どもに教えることの重要性をあげてくださいました。また、河合さんは次のようにお話ししてくださいました。

河合:子供の権利条約の話で、学習権にある合理的配慮という障がいのあるお子様にもあるところで、特性ゆえに学びにくさ・学びづらさがあったときにそれを学びやすい形で環境をサポートするのは提供する側の義務なんだというところをもっと世の中にも知られていくべきところだなと思いますね。

と、子ども一人一人の学びを最大化するためには、学習を提供する側がそれぞれの違いに寄り添ってサポートする必要があることを認識していかなければいけないといった点についてお話ししてくださいました。

②教育・児童福祉にかける思い

第2部では、ゲスト2名の教育・児童福祉にかける思いをお話ししてくださいました。

鈴木:”居場所づくり”家庭と学校以外で過ごす時間をより安全に、より成長できるような場・時間にしたいなっていうのが私の強い思いで、この思いは自分一人では叶えられないなっと思って、どうしたら解決できるかなと考えたときに少しでも興味のある方はぜひそのような場所に行ってみたり、作ってみたりして欲しいなというふうに思います。

と鈴木さんは答え、子どもたちに”居場所”を作りそこに子どもたちが自発的に行きたいと思ってもらえれば教育問題の大きなところが解決できるのではないかとおっしゃっていました。それに続き、酒井さんはこのようにお話ししてくださいました。

酒井:私自身が探究的な学びを当たり前のように毎日していたんですよね。自分が”なんでだろう”と思ったことを真剣に話してくれる・解決してくれる仲間や先生もいたし、そういう学び方ってすごく面白いなと思っていて、未だに私の中で「問い」ってものが常に湧き上がってくるんですね。そういう考え方とか学び方が当たり前にできるようになったらいいなと思っていて、面白いと思う学びを子どもたちとやってみたいというのが原点に存在しています。基本的に自分が面白いと思う学び方を子どもたちと一緒にしたいなと思うし、そういうものを子どもたちに伝えていきたいなと思うんですけど、やっぱり学びを設計する側ってすごく難しいんですよね。日々苦戦していますが、そういう原点が私を動かしているものだと思っています。

と答え、自分自身の学校生活での経験に基づいた現在の”原動力”に関してお話していただきました。

「教育」という様々な切り口があるテーマで開催したHLAB Conversationでしたが、教育現場に実際に携わっているゲストの方々の熱い思いを感じることができ、大変興味深いイベントでした。参加していただいた皆様、鈴木さん・酒井さん・河合さんありがとうございました!

〜参考記事〜





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