喫茶店デート

ようやくセンター同士になって、待ちに待った週末。

久しぶりにお互いに練習がない。

約束通り、駅前で待ち合わせ。




あやめ:じゃ〜ん！待った？

〇〇:待ってないよ！っていうか…かわいいな…//

あやめ:もう…そうやってすぐ//

〇〇:じゃ〜んって…。

あやめ:私の友達がいっつもしてくるんだ〜。かわいいからやってみたの…//

〇〇:…// もう、ほら行こ！笑

あやめ:あ〜、待ってよ〜！笑




いつもと違う服で。

お互い…少しおしゃれして。

なるべく良い姿で居られるように。

周りに何を言われても良い。

バカップルだって言われても。

いつも皆んなに隠してるけど、今日ぐらいは。

2人だけの時間を楽しみたい。




あやめ:えっと…ここを左だね。横断歩道渡ろ。

〇〇:オッケー。




渡ってすぐ、あやめと繋いでいた右手を離して、場所を入れ替えて左手で繋ぐ。




あやめ:そういうところ…好きだよ。

〇〇:危ない方に、あやめを歩かせるわけにはいかないからね。センターなんだし。

あやめ:〇〇だって、センターなんだから。

〇〇:レディーファースト。だから…ね？

あやめ:いつも…ありがと。

〇〇:あと、どれくらい？

あやめ:ん〜、あ。ここだ！

〇〇:お〜よし。入ろうか。

あやめ:うん！




"センター記念"で選ばれたデート先は…喫茶店。

あやめが喫茶店巡りが好きというのもある。

しかも、特に映えとか流行りのとかそういう店ではない。

ただ駅前にできた新しい落ち着いた雰囲気の店。

そこで2人だけの空間で過ごしたい…らしい。

そんなこと言われたら…。




店員:いらっしゃいませ。ご注文お決まりになりましたら、お知らせください。

〇〇:ありがとうございます。

あやめ:〇〇、メニュー貸して〜。

〇〇:ほい。

あやめ:コーヒーだよね？

〇〇:もちろん。

あやめ:私もそうしよ。ん〜、甘いものにしよっかな。

〇〇:俺はフレンチトーストにしよ。

あやめ:いいね。私は…パフェにしよっかな。

〇〇:呼ぶ？

あやめ:…うん。

〇〇:笑。俺が呼ぶね。

あやめ:ありがと…笑。

〇〇:すいません。

店員:はい！…ご注文どうぞ。

〇〇:えっと…アイスコーヒー2つとフレンチトーストとパフェをお願いします。

店員:コーヒーの方、シロップ、ミルクはいかがなさいますか？

〇〇:…。

あやめ:両方とも無しで大丈夫です！

店員:かしこまりました。少々お待ちください！

〇〇:やっぱりね〜。

あやめ:私、ブラック好きだもん！

〇〇:お互いコーヒー好きだからね。

あやめ:楽しみだなぁ〜。




少し小刻みに左右に揺れながら、そうワクワクしている姿を見て、こっちまで嬉しくなる。

センターになることはお互い容易なことではない。

それは1番、お互いわかっている。

だからこそ…2人ともがセンターになれて。

こうして2人きりで幸せな時間を過ごせるのが何より嬉しい。




あやめ:〇〇、何考えてるの？

〇〇:ん？別に何でも〜。

あやめ:まさか…浮気じゃないよね。

〇〇:バ〜カ。そんなことしないよ。

あやめ:だよね〜。センターさん？

〇〇:何するつもりだよ…笑。

あやめ:さぁね？笑




こんな他愛もない話で笑えてることを。

"センター"に選ばれたことを。

感謝しないと。





店員:お待たせしました〜。

あやめ:うわぁ…！

〇〇:おお〜。

あやめ:意外と量多かった…笑。

〇〇:食べきれなかったら食べるよ？

あやめ:頼むね。

〇〇:よし…。

2人:いただきます。

あやめ:…ん〜！美味しい。

〇〇:美味しそうに食べるな〜。

あやめ:へへ。ねぇ、少しちょうだい？

〇〇:いいよ、その代わりちょうだい。

あやめ:はい、あ〜ん…

〇〇:…ん//

あやめ:どう？

〇〇:今までで1番美味しいよ…//

あやめ:もう…//

〇〇:…。

あやめ:ねぇ、私も欲しい！

〇〇:はい、あ〜ん。

あやめ:ん！美味しい！

〇〇:よかった。




駅からちょっと離れた喫茶店。

日が照らす窓側の席。

そこは誰もが認める2人だけの幸せな空間。



あやめ:…練習…順調？

〇〇:まぁまぁかな〜。ちょっとサーブの調子が良くない感じ。

あやめ:あらら。

〇〇:入るんだけどね、狙って打ててない感じ。

あやめ:あと1ヶ月あるから大丈夫！

〇〇:ありがと。

あやめ:絶対、応援行く！

〇〇:良い姿見せなきゃね。

あやめ:プレッシャーにならないでね？

〇〇:もちろん。そういう、あやめは？あともう2週間ぐらいだっけ？

あやめ:うん。順調だよ！来週は通しリハが始まるから。

〇〇:あー、最前列で見たいなぁ…。

あやめ:新入生のためだから…笑。

〇〇:新入生が羨ましいよ笑。後ろからだけど応援してるからね！

あやめ:うん、頑張るよ！




こういうやりとりがもしできなかったら…。

そんなことは考えたくもないが、きっと孤独に葛藤するしかない。

あやめと出会えて…付き合うことができて…。







ーーー







店員:ありがとうございました〜。

あやめ:美味しかった！

〇〇:よかったね、また行きたい。

あやめ:またデートしよ？

〇〇:断れるか！

あやめ:ふふ🤭




行きとは違う道で。

少し遠回りして駅に着く。

乗る電車が違うのでここで解散。

少し寂しいけれど…。

この少しの距離がまた…幸せな時間を呼んでくる。

お互い、それを分かっているから。

あえて…長引かせたりはしないようにしている。




〇〇:今日はありがと！

あやめ:こちらこそ！

〇〇:じゃあ…またね！

あやめ:うん！バイバイ！👋

〇〇:バイバイ！👋




あやめがいるから…

〇〇がいるから…

明日もまた頑張れるんだ。