『認知心理学』より

「認知行動療法(cognitive behavioral therapy; CBT)とは、クライアントの抱える心理社会的な問題や精神医学的な問題に、おもに認知と行動の両面からアプローチする体系的な心理療法である。認知行動療法の最大の目的は、クライアントの自助(セルフヘルプ)を手助けすることである。よく使われるたとえは「認知行動療法は、飢えた旅人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」というものである。つまりセラピストがクライアントの問題を解決するのではなく、クライアントが自分の抱える問題をそれまでよりも上手に解決できるよう、問題解決のやり方を教えるのが認知行動療法である。そういう意味では、クライアントの話を傾聴し、共感的理解を示すという従来の心理療法とはかなり趣が異なり、「治療」「カウンセリング」というよりは「トレーニング」「習いごと」というイメージに近い。」

箱田裕司/都築誉史/川畑秀明/萩原滋(編)『認知心理学』有斐閣、2010年、154ページ。

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