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香高堂 地中海北縁の旅と生活第2章①

香高堂 地中海北縁を巡る旅と生活 第2章<2016年真夏の南仏マルセイユ観光記>

2-1《東欧サラエボから南仏への行路》
 2016年7月2日、家のカミサマの夏休みを利用して、車で南仏マルセイユに向かうことになった。秋から生活するマルセイユのアパートメント探しがあり、市内観光を兼ねて一応10日間の予定であったが、サラエボ帰着は未定で出発した。朝9時にサラエボを出て、ボスニア北西部を通り、隣国のクロアチアの高速に乗るまで4時間半かかる。道路灯の無い右車線通行の道、ボスニア携帯のWi-Fiが通じるのは国境までだ。

 その後、クロアチアの高速道路を走り、首都ザグレブ郊外を遠目に見ながら南に向かい、夕方早めにアドリア海最北に位置するクロアチア最大の港町<リエカ>に着いた。ホテル近辺にはレストランは無いので、街中のスーパーでワインや生ハムなどを買い出し、部屋のテラスで食事を済ませた。海を見下ろす夕景はさほど美しいと感じず、そして何が世界遺産の街なのか、よく分からない街だった。
 
 翌日3日はマルセイユを目指す長い道のりになる。朝9時にリエカを出発して高速に乗り、スロヴェニア国内を掠めてイタリア国境に至る。ここから<トリエステ・プロセッコ・ヴェローナ>などのイタリアの都市の看板文字を見ながら西に向かう。その後高速を南下して、20数年前に海と船の博覧会で訪れたことのあるイタリアの港湾都市<ジェノバ>に入った。ここからは地中海を望むことが出来、<サンレモ>を過ぎるとフランス国境に入る。これまで国境線でパスポートの提示なども無く、5か国目となった。

 その後<モンテカルロ・ニース・カンヌ>を経て<トゥーロン・エクサンプロヴァンス>を遠目に見ながら<マルセイユ>に到着したのは18時過ぎ。マルセイユ日本総領事館近くのアパートメントホテルにチェックインした。南仏の空は青く、碧い、陽射しは強いが、乾いた風が吹くため過ごしやすいようだ。この日も近所のスーパーで食材を買い出し、まだまだ夏の暑い日差しが差し込む部屋のテラスでの夕食となった。
 
 サッカー欧州選手権のため、このホテルは3日間しか取れず、宿替えすることになった。その後街中のアパートメントホテルを何とか確保して過ごすことになった。リゾート気分は全く無しのほとんど自炊生活、朝は近くのパン屋でクロワッサンを買い、珈琲を入れることから始まる。昼も夜も食事準備担当になったが、これではサラエボと全く同じだ。

 そう言えば、6月に東京からパリ経由でサラエボに戻ったが、あの日から欧州選手権の熱狂が始まった。7月7日はこのマルセイユでドイツ&フランスの準決勝対決、朝からテレビはこの話題、街中は交通規制の看板ばかり、多分今夜は大騒ぎ。おとなしくしていないと、何が起こるか分からないので巻き込まれないようにする。テレビ中継は双方共に流れるようなプレーを映し出す。パス回しだけの日本のチームとは全くレベルが違う、見ていてもイラつかない。

 勝負を決めるのは選手だけでなく別の要素も大きい。人生も別にあり、社会の常識に捉われるな、考える事を深くしろと思う日々が続く。

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