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言葉の紡ぎ、地中海の北縁を旅する

●主夫香高堂=言葉の紡ぎ、地中海の北縁を旅する
 
 海外生活を始めた2016年から言葉を集め、2020年の日本帰国時から「地中海の縁(へり)を旅する」というテーマで言葉を積み上げてきた。旅と生活の考え方をまとめた序章に始まり、サラエボからの引越し、マルセイユ生活、コートダジュール、プロヴァンス、南仏南西部、スペイン、イタリア、アフリカのセネガルまで及ぶものを考えている。
 
 それから2年半、文章を編む作業に入ってきたが、その営為は遅々として進まぬ。これからは「言葉を紡ぐ」ことになるが、言葉を紡ぐとは「言葉を集める、材料を揃える、整理する、組み立てる」に始まり、「文章を書き綴る、吐くように紡ぎ出す、練り上げる、形にしてまとめる」ことに発展する。今、もがきながら言葉を紡ぎ出している。
 
 書物として編むことが出来たら、表紙や挿絵は蓮水のアートで飾ってくれることを願うが、その我が娘の蓮水の新作展が、11月14日から12月2日まで、銀座のギャラリー上田で開催される。水墨画に金箔や銀箔と樹脂をコラージュ、独自の技法で描くが、今回のテーマは「紡ぐ」。他者との繋がりの輪、丸い地球、和の心…人気シリーズ『わ』を中心に約30点展示されるようだが、さて、彼女はその独特な感性と知性で何を紡ぎ出したのだろうか。彼女はその独特な感性と知性で何を紡ぎ出したのだろうか。
 
 人間の言葉には、これまで培ってきた「知性、品性、感性、性格、考え方」などすべてが宿っている。言葉に対する微細な感覚を「語感力」とも呼び、「ニュアンス」や「感じ」の違いがあり、理解して使うのと使わないのとでは大きな差が出てしまう。人間は頭の中で複雑な処理をして話し、理解しているが、言葉は曖昧で言葉を交わす時、額面通りの意味と話し手の伝えたい意図のずれが起きる時がある。その際は文脈や経験、知識から相手の言葉の意図を推測しているが、それを感じない鈍感力が勢いを増している
 
 詩人大岡信の長男、イタリア文学者の大岡玲は「現代は言葉から魂が抜かれている、メディアは本気で言葉を吟味して報道すべき、言葉へのこだわりと責任を取り戻すしかない」と強く指摘している。政治家が「絆」を言い出したら国民を統制、圧迫するための「手綱」のことだと思った方が良いとも言う。詭弁を弄して荒唐無稽なことを言い、虚偽の主張を続ける時代状況がある。
 
 2022年7月、奈良市内で銃撃事件があった。一人の若者の銃撃が社会や人間の心に何かを突き付け、政治や経済、メディアに大きな変革を促している。だが、官邸や公安警察等もその対応と対処に困惑し、理念や哲学の薄い人間は物事の道筋が見えなくなっている。守るべき寄り何処が揺らぎ、世界中で「さざ波」が起きていると感じる。
 
◆蓮水展『紡ぐ』
2022/11/14(月)-12/2(金) 11:30-18:30
日曜祝日休廊18(金)、22(火)、12/1(木) 20:00まで
ギャラリー上田〒104-0061 東京都中央区銀座 6-4-7 いらか銀座ビル8F
Tel: 03-3574-7553
水墨画に金箔や銀箔と樹脂をコラージュする、独自の技法で色彩豊かに描く蓮水の新作展を開催します。2021年に開催した当廊での個展では完売となり、さらなる活躍に注目されているアーティストです。他者との繋がりの輪、丸い地球、和の心…様々な思いと願いを込めた人気シリーズ『わ』を中心に約30点展示します。
【蓮水】
水墨画に金箔やネイルアート樹脂をコラージュし色彩豊かに描く女流現代アーティスト。2021年に開催したギャラリー上田での個展では完売となり、今後のさらなる活躍に注目されている。幼少より書を学び、青山学院大学理工学部卒業後、書道家 武田双雲に師事し師範取得。後に水墨画家 小林東雲、書道家 武田双龍に師事。日本国内を中心に各地で個展を開催する一方、店舗や邸宅の空間をデザイン。また、音楽活劇「SHIRANAMI」(早乙女 太一主演)の題字、東京マラソン2018のアートワークを手掛けるなど活動の場を広げている。

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