ほん

私の母はものすごく本を読む。
置き場に困るぐらい読むので、数年前に大量に処分した。

母の寝床に行くと、枕元にカバーの外れた本がいくつか散らかってて、
「なんで本をたくさん読むのに、大切にしないの?」
と聞いたことがある。

中身が大事だから、と言った後、
母は私に質問を返した。

「なんで本を全然読まないのに、そんなに大切にするの?」

私は気に入った漫画を全巻買う、というのを2年に一度するぐらいで
小説は滅多に読まない。

でも、帯は外さないし、傷んでしまわないように、
ちいさな開きで本を読むし
絶対に日の当たるところには置かない。
手を洗ってから触るし、少しでも角が折れてしまっていると落ち込んで、まっすぐ直してから上に重いものを乗せて癖を直す。

本を、本として持つということを、まだ知らないのだろうか。
もしかして、本とは、他のものとは扱いが違うのだろうか。
私はモノ、として本を見ているから、
それ以外がわからなくて、ついつい大切にしてしまっているのだろうか。

こんなに大切にしてしまっているから、読めなくなっているのかもしれない。誰かに貸したりするのに気後れするのも、このせいだろうか。
私が大切にしているものを、大切にしてもらえるかわからないから、貸すのが苦手なのかも。

大切にできる自信がない本は買わない、というのが
生き方の発露なのかわからないけれど
本って、どう使うものなのだろう。

まだ、知らない。

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