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私の朝習慣〜日経新聞の読み方〜


卒業・入学・進級などに無縁になっても、4月になると「心機一転」という言葉を使えるようなことをしてみたくなったりするのは私だけだろうか。
勤続年数が社会人歴と等しい私にとって、続けることほど容易いものはない。何か心を入れ替えたり変えたりすることのほうがよっぽど難しい。

物事を続けることが得意だが、新たに始めることが苦手というのは、ぐるぐる考えていると矛盾している気がする。
続けてきた物事たちも、かつては新たに始めたことだったはず。新たに始めるというステップは全ての物事のスタート地点であり通過点だ。それも絶対に省くことはできぬ点だ。
これまで、1度やり始めたことをずっと続けることが多かったが、新たに始める回数が少なかったとも思わない。私の中で私は、新たに始めたことが続かないことで有名なのだ。「3日坊主どころか半日で飽きる」と何度言ったかわからない。

物事、人、気持ち…さまざまなことの中から続いてきたものと続かなかったものはなにかと考えると、あることが分かった。
続かなかったことの中には、切り捨てたり諦めたり自らの理由で続けなかったことがあること。そして続いてきたことの中にも「変化をしてきた」ことがあることだ。
続けようとした行動は、途中で形を変えることが多い。
続けることを特に意識していなかったが続いていることが習慣というのではないだろうか。
長い時間の中で川の流れや風によって地形が変わっていくように、知らない間に定着したものことこそ習慣だ。

長い前置きは忘れてくれ。今回は「私の朝習慣」だ。
私の朝習慣もあれこれ変化を遂げ、習慣と呼べるようになった。



大学を卒業した春に入社した会社で、今日まで働いている。周囲ではとっくに2〜3社と転職した同級生も少なくないが、私は転職を考えたことはほとんどない。
様々な理由でなんだかんだ今の仕事や職場を気に入っているからなのだが、2年前に転職レベルの異動を経験し、ガラリと仕事や環境が変わったことがとても大きい。
ちょうどそのタイミングから、この習慣の礎が出来てきたと思う。


働き続けている会社は金融関係なのだが、2年前に事務職から営業職へ職種転換したと共に異動を経験した。
金融の営業というと投資信託や保険などの運用商品の販売や経営者と話すことが主な仕事となる。
そのためには、マーケットや経済の勉強が必須であった。

まず、始めたのが日本経済新聞の購読だ。
ド定番だがビジネスマン必読の情報ツールだ。
といいつつも、月4000円余のコストが当時の私には意味があるのかと甚だ疑問に思っていたのも正直なところであった(今思えば新聞のコスパはやばい)。

当時会社では、朝のミーティングにて輪番制で毎朝1記事を取り上げ発表する時間があったので日経新聞を読まない選択肢はなかったのだが、私はその時間を凌くためだけにいくつか記事を読む程度であった。


日経新聞を読めない理由はいくつかあった。
まず、一番は朝時間がない。朝の貴重な時間を仕事のための時間に使いたくない。
次に、難しい。分からない用語が多すぎる。そもそも経済とは?金融とは?マーケットとは?概念オブ概念。いつまで経っても掴めない。こんな人間が営業に出て良いものかと頭を抱えたものだった。
そして、速効性がない。毎日読んでいるが一向に慣れない。世の中の動きに私の理解力や知能が追いつかない。
解読できるようになる日は果たして来るのか?というような感じだ。

2年前というと、世界はパンデミックによる混乱の最中にいた。STAY HOMEを推奨され、弊社でもリモートワークを実施すると各課1人ずつ1週間在宅勤務をすることとなった。異動直後の営業経験のない私に、在宅での営業活動はお客さまもいないため難しく、上司からは「ただ自宅に居ればよい」と言われた。
と言われたものの、やる気だけはあった私は、毎日日経新聞を熟読した。特にマーケットに関係する記事はスクラップをし、分からないところは調べてノートを取った。

在宅勤務期間が終わり通常出社に戻ったあとも出来るだけ続けた。GWに入る前まで続けると、なかなか興味深く感じるようになった。


まず読み続けていると、土日の日経新聞が軽くて面白いと感じた。
そもそも新聞は、前日起きたことを記事にしているので、日曜は前日が休みであるから内容が軽い。月曜も同様だ。
そして、土日は経済関連の記事よりコラム的な記事や教養関連の記事が多い。
土曜日に刊行される「NIKKEIプラス1」は、スイーツのランキングやお得情報についてまとめられているし、本誌では、相続や年金、話題の金融情報について分かりやすく解説されたページがあったりする。
土日は1週間の内容についての解説記事も多いので、「ふむふむ」と読めることに気づいた。
書籍についての特集もあるので、平日の雰囲気とはかなり違うのだ。

正攻法ではないかもしれないが、経済新聞アレルギーを克服するために、土日の日経新聞を読むことに重きを置くようになった。

すると、こんな変化があった。
「土日しっかり読めばいいから、平日は流し読みでいいや」という感覚が生まれたのである。

よくネットなどで日経新聞の読み方を調べると「朝は時間がないので、見出しを読んで気になったものだけ目を通すとよい」などというアドバイスを見かけることがあるが、若手社員や経済知識に乏しい人にとっては「全部重要そうに感じる」「どういったことにアンテナを張ったらいいかわからない」と感じてしまうほどの情報量だ。

私もそうだったので、とにかく全ての見出しと冒頭だけ読むようにした。新聞は1面に重要な記事、2、3面に詳細記事と構成が決まっているし、「関連記事は◯面」などきちんと誘導もある。1面の記事に対して関連記事が複数あるので、トピックスの数でいうとそんなに膨大な量にならないことを実感できる。
それに、毎日読む必要はあるが、大きな流れが1日で変わることはあまりないので、1週間似たり寄ったりな記事が続くと「あ、これ昨日のあれか」と紐づけることができる。

そして、週末土日に詳しく取り上げられている記事で自分に落とし込むという流れで日経新聞を読むことができる。
それを繰り返していると、見るべきポイントが分かってくるので、朝の時間に目を通して、気になる記事を抜粋することができるようになった。


新聞を読めるようになってから、最初は新聞を読むために15分早起きをするようにした。
だいたい一通り目を通して気になる記事を読んでいくと15分程度かかるようだったのでそうしたが、やはり朝の15分は貴重である。
次は、朝食を食べる5分に目を通して、気になる記事を絞り込んで会社で読んだ。
しばらくすると、営業に慣れて新聞を会社で読む時間がもったいなくなり、朝食の5分と電車に乗る10分で読んだ。
1年半経つと知識欲が出て、気になる記事も増えるし熟読したいことも増えるので圧倒的に時間が足りなくなった。
朝食でも読み、電車でも読み、会社でも読む始末だ。

さらに同居していた祖母の介護が大変になり、朝家で新聞を読むことができなくなった。
それまで紙で購読していたが、電子版に変えた。
電子版は電車内などで読みやすいだけがメリットだと思っていたが、新聞を捨てる手間がなくなったし、日経電子版は記事を保存する機能があるので気になる記事を保存して、営業活動中の隙間時間に読むことを可能にした。

どんどん効率化が進んでいく中、私は実家を出て暮らすことにした。
今まで母親がやってくれていた朝ご飯の支度、持って行くお弁当の用意をすべて自分でやることになる分、早起きが不可避となり、新聞を家で読むのは厳しくなった。

ただ、死活問題に思えるほど、情報源として新聞への依存が大きくなってきた時期でもある。


と、いう経緯で誕生した今の朝習慣がこちら!

6:30に起床し、まっさきにテレビをつけ、録画しているテレ東の「モーニングサテライト」を1.5倍速で追っかけ再生をしながら朝ご飯とお弁当の支度をする。
カウンターキッチンなので見やすい。
モーサテは上司に勧められた。テレ東放送外の地域だと思っていた&賃貸にBS契約がないと思っていたら、どちらも問題なく視聴できた。

モーサテも最初は難しそうだったが、機関投資家として投資判断を日々行うプロの方々が毎朝数名登場し、それぞれの見方や考えを話してくれるので、とても勉強になる。
お客さんにそれをそのまま言うこともある。

モーサテは、日経新聞が全面協力で作られている番組なので、日経新聞の記事を取り上げてくれるコーナーもある。

朝の支度をモーサテの視聴と共に終え、電車の中で新聞を読むとスルスルと頭に入ってくる。とても時短になる。
やっぱりスマホ開いているときに勉強や仕事をしたくない。
大充実の朝を過ごせる。

日経新聞は、記事全体に目を通して時間があるときに気になる記事を熟読する方法を続けているが、完全に自己満で毎日以下の情報を手帳のマンスリーページに書き込んでいる。

①日経平均株価
②TOPIX
③東証REIT指数
④ドル円相場
⑤長期金利
⑥騰落レシオ
⑦毎週木曜のみ信用評価損益率

である。

記録はしないが、名目実効為替レート指数も週1で確認している。

なんかすごく出来そうな感じがするだろうが、いろいろな方が「この指標を見ている/見ておいたほうがよい」と言っていたものを全て書き込んでいるだけだ。
しかし、日経平均株価とドル円相場は、手帳のマンスリーページに書いておくと役立つ。

運用をしているお客様は、株モノだったら日経平均株価、外貨モノだったら為替相場を購入した時の価額の目安として確認される方が多い。
「この商品買った時、日経いくらくらいだったけ?」という話にすぐに確認して答えられる。



家でも仕事のこと?朝から仕事のこと?と思われる方もいるだろうが、勉強しなきゃ仕事にならないので仕方がない。
でも、勉強してさえいれば、お客さんに自信を持って話せるし、きちんと勉強している人は信用される。仕事がしやすくなる。自分にとって良いことしかないのだ。


もちろん、日経新聞だけを読んでいればいいというわけではないし、新聞やメディアの言っていることを丸呑みしていいわけではない。
ただ、私自身が自己研鑽のために新聞を使うことがとても勝手が良く効率がいいということだ。
そして、朝の時間を活用する習慣による三文の徳を享受するのもまた楽しいのだ。

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