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山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #6

今節の相手は静岡。昨シーズンは最終盤まで上位争いを繰り広げ、今シーズンも長崎や千葉といった話題のチームに負けず劣らず勝利を重ねている力のあるチームである。

GAME1
山口71-85静岡
(23-13,9-33,12-25,27-14)


-立ち上がりの勢いを完全に受け止められて

スターティング5は山口が23.モーガン、11.山口、1.山下、12.サンプソン、7.エヴァンスというメンバーとなった。静岡は37.吉田、13.東、18.飛田、25.ダマ、23.ステファンという5名だった。
試合の入りは今節も山口が上回った。アウトサイドからのシュートが好調な12.サンプソンのスリーポイントで先に山口が得点を奪うと、7.エヴァンスのミドルジャンパー、23.モーガンの切れ込みから1.山下のスリー、23.モーガンからのカッティングプレーでゴール下に進入した12.サンプソンのレイアップでいきなり10-0のランを見せた。前節アイシン戦のGAME1に引き続き相手に先にタイムアウトをとらせる出だしとなった。その後は静岡も23.ステファンのスリーポイントなどで点差を詰めていく。しかし、1.山下や0.山田のスリーポイントでリードを広げた山口が23-13で1Qを取った。

2Qは一転して静岡のクウォーターとなった。ポイントは静岡のディフェンスだったと感じた。静岡も山口と同様、自分たちのフリースローの後はゾーンプレスを敢行するチームであった。1Qからそれを見せていたのだが、そのゾーンが効くと見るや、完全にゾーンディフェンスに切り替え、山口のオフェンスをシャットアウトして見せた。41.加納のスリーポイントで幕を開けると、ゾーンディフェンスから山口のターンオーバーを誘発し、速攻を展開。7.エールセネルや25.ダマを中心に得点を重ねていく。2Qの頭からの0-18のランで一気に前へ出ると、最終的には9-33のスコアで2Qを取った。32-46で前半を折り返し後半への戦いへと移っていった。


-ゾーンディフェンスで勝負を決めた静岡

3Qも静岡の流れは続く。山口は相変わらず静岡のゾーンディフェンスを攻略することができずにいた。静岡のディンフェスの足がよく動いていることもあるだろうが、外外外でボールを回して最後に外からシュートを打ってリバウンドを簡単に取られるという展開となり、なかなか打開ができなかった。一方、静岡は25.ダマのインサイドでの躍動とガード陣のアウトサイドシュート精度の向上があり、点差をさらに広げたクウォーターとなった。

点差が広がったことも影響してか3Qの終わりから静岡のプレーがやや雑になっていたように見えた。ターンオーバーが増えたり、オフェンスリバウンドを拾われたりしてクウォーターの終わり方としては嫌なものであったと感じた。4Qの入りもその流れは継続し、山口がその隙を突いて一気に点差を詰めていった。静岡のオフェンスがいい形で終われない中、25.田中と0.山田の3連続スリーポイントを含む14-0のランで13点差まで迫った。山口としてはホームで意地を見せる形となったものの、静岡は25.ダマのオフェンスリバンドで何とか繋ぎ、これ以上の反撃を防ぐことに成功。静岡は決して良いプレーができていたクウォーターではなかったものの、25.ダマのオフェンスリバンドに救われた形だったと言えよう。その後は互いに点を取り合い、最終スコア71-85で静岡がGAME1を勝利で飾った。


GAME2 
山口74-90静岡
(25-16,7-27,24-20,18-27)


-GAME1と同じような展開となった前半

GAME2は互いにPGを変更して臨んだ。山口はPGに10.原田を、静岡はPGに3.岡田を起用した。試合は静岡23.ステファンのスリーポイントで幕を開けた。その後は一進一退の展開となった。静岡はマンツーマンディフェンスで試合に入り、25.ダマのオフェンスリバウンドなどから要所でスリーポイントを沈めていく。山口はスタメン起用された10.原田がチームにリズムをもたらす。ピックを巧みに使って相手ディフェンスをずらしたり、ゾーンがセットされる前に間を切れ込んでレイアップを沈めたり、GAME1で重かったオフェンスとの違いを見せた。終盤、静岡がインサイドをやや強引に攻めるものの、笛をふえてもらえずターンオーバーになるプレーが目立ち、山口に流れが傾いていった。16-16のスコアから9-0のランを見せた山口が25-16で1Qを取った

2Qはディフェンスで静岡が仕掛ける展開。ゾーンを主体としながら時よりマンツーマンの姿勢を見せ、山口を翻弄していき、次第にGAME1と同じような流れになっていった。山口も早い時間に続けてタイムアウトを取り、流れを切ろうとするものの断ち切ることができず、静岡が点差を詰めていく。23.ステファンと7.エールセネルのツーメンゲームやディフェンスリバウンドを拾ってからの速攻、3.岡田のドライブインで得点を重ね、30-24から0-14のランで一気に山口の前へ出た。山口はスターティング5の面々と0.山田、23.モーガンのプレータイムを長くして粘りを図るが、最終的には32-43と11点の差をつけられハームタイムを迎えることとなった。


-追いすがる山口に対し、引き出しの多さで突き放す静岡

3Qも静岡が流れを継続した入りを見せた。25.ダマのブロックショットからファストブレイクで23.ステファンが得点を奪うと、25.ダマのポストからデザインプレーで23.ステファンのスリーポイントが決まり32-48となった。ここで山口がすかさずタイムアウトを取った。この試合はタイムアウトを取るのが早い印象の山口ベンチだが、これで流れを断ち切ることに成功した。7.エヴァンスのローポストアタック、1.山下のスリーポイントで連続ポイントを奪うと、41-52のスコアから9-0のランで2点差まで迫る。このランの間、ディフェンスではダブルチームで25.ダマのインサイドアタックを防ぎ、オフェンスでは0.山田のドライブや25.田中のスリーポイントなど、ベンチメンバーの活躍と12.サンプソンのスコアで追い上げてみせた。しかし、7.エールセネルのフリースローで着実にポイントを重ねた静岡が56-63と7点差まで引き離して4Qへ突入した。

4Q最初の得点は山口、7.エヴァンスのミドルショットが決まり58-63とする。しかし、ここからの静岡が強かった。立役者は7.エールセネル。3Q終盤50-52の局面から66点目までの14得点を一人で挙げて山口の反撃を凌いで行った。特に58-63からのスリーポイントは山口の心を折ったのかもしれない。その後はじわじわと静岡が差を広げていく。3.岡田のスリーポイント、13.東のドライブ、23.ステファンのゴール下とバリエーション豊かな得点パターンを見せていた。最後は25.ダマがインサイドでの力強さを発揮し、74-90のスコアで静岡がアウェイでの連勝を飾った。


-静岡の引き出しの多さと今後の戦いに向けて

静岡の強さが際立つ2試合となった。特にGAME2、山口にインサイドを徹底マークされ、フラストレーションも溜まるような展開の中で7.エールセネルをはじめとするアウトサイド陣が躍動して流れを引き戻してしまった。チームとしてどこからでも得点が取れるバリエーションの豊かさが印象に残った。また、ディフェンスでもマンツーマンとゾーンを併用しながら山口にオフェンスの的を絞らせず、主導権を握る強さが光ったと思う。

山口は、1Qで10点近くのリードを奪いながら、2Qで流れを掴まれ、逆に10点以上のリードを許してしまう展開が2試合続いてしまった。悪くなった時にターンオーバーを減らしてつなぐことの重要性やベンチメンバーの活躍を含めて引き出しを増やす必要性を感じた。この後、岐阜・横浜との試合が終わると千葉・長崎という強豪との対戦が待っている。静岡戦で出た課題を岐阜戦、横浜戦でクリアにしながら良い状態で千葉・長崎にぶつかっていけることを期待したい。


*文中敬称略


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