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山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #3

第3節は前節に引き続きアウェイでの岩手戦となった。岩手は開幕4連勝スタートと波に乗っているチーム、好調のチームを相手にどのような戦いを見せることができるのか、山口としては力が試される2試合と言える。


GAME1
岩手102-76山口
(18-18,30-22,25-14,29-22)


-ゴール下を中心とした一進一退の攻防

GAME1のスターティング5は山口は前節から変更はなく23.モーガン・11.山口・1.山下・12.サンプソン・7.エヴァンスの5名となった。岩手は16.伊藤・31.髙畠・15.谷口・34.リチャードソン・23.キングの5名だった。試合の入りに成功したのは岩手、16.伊藤のボールマンに自由を与えないディフェンスから山口のターンオーバーを4ポゼッション連続で誘発すると、インサイドを起点にした攻撃で得点を挙げ7-0のランを見せた。山口は11.山口の積極的なドライブインと素早いローテーションディフェンスからエヴァンスのアリウープダンクが決まった4ポイント目をきっかけに盛り返していく。11.山口と12.サンプソンを中心に0-10のランを見せて試合をひっくり返した。山口がそのまま流れを掴むかとも思われたが、岩手がオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで得点を重ねていき、18-18のタイスコアで1Qが終了した。

2Qの入りは山口が流れを掴んだ。0.山田との2メンゲームから7.エヴァンスが沈めると0.山田のミドルショットで連続得点を挙げた。その後もオフェンスリバウンドを拾った8.土居の得点が生まれ0-6のランで山口が前へ出た。しかし、岩手はタイムアウトで流れを切ると16.伊藤のスリーポイントや17.ジョーンズ、23.キングといったインサイド陣のスコアで追いつき、27-29のスコアでオフィシャルタイムアウトを迎えた。オフィシャルタイムアウト明けで一気に前へ出たのが岩手だった。34.リチャードソンのインサイドアタックで山口の守備陣を下げると、そのままゴール下へのアタックを見せ自ら得点を挙げるだけではなく、外へキックアウトしてからの16.伊藤のスリーポイントも決まり12-0のランで山口を突き放した。山口は0.山田や12.サンプソンの個人技で何とか繋ぎ、48-40のスコアで折り返すこととなった。


-徐々に力の差を見せつける岩手

3Qは岩手が力を見せつける展開となった。オフェンスでは外国籍選手のインサイドアタックを中心にガード陣の積極的なドライブからのフローターシュートも炸裂しリードを広げていく。複数の外国籍選手を擁する強みを生かし、23.キング・17.ジョーンズ・34.リチャードソンと様々な選手が得点を挙げていった。そして日本人選手では31.髙畠の活躍が目立った。チームとしてオフェンスリバウンドを拾った後のセカンドチャンスでのポイントが多かったが、鋭い切り込みからのフローターシュートで得点を重ねていった。山口は簡単なターンオーバーや相手のディフェンスをずらすことができずにタフショットを強いられるなど厳しい展開となってしまった。7.エヴァンスが一人得点を重ねるものの25-14と岩手がビッククウォーターを作り山口を突き放した。

何とか反撃を見せたい山口であったが、4Qの開始数分で岩手が止めを刺す。山口12.サンプソンのシュートがこぼれてディフェンスリバウンドを拾った岩手が、山口のガード陣が戻っていない隙を突いてイージーシュートを沈めると、エンドラインからのボールをカットしそのままシュートを決め、6-0のランの入りを見せた。ここからはお互いに点を取り合う展開に、岩手は徹底してインサイドでのアタックを起点に外から中からポイントを重ねる。山口はタイミングの早いスリーポイントやドライブからのレイアップでポイントを重ねていった。4Qの攻撃はチームでのオフェンスではないように見えたのが少々気になったものの、22得点を奪うクウォーターとなった。岩手も手を緩めることなく攻め続け最終的には100点ゲームで勝利を飾った。


-悪い流れを断ち切る強さ

岩手の強さが光るGAME1となった。流れが山口に渡る場面もあったが、タイムアウトでうまく流れを切りながら悪い時にずるずるいかず、良い時に一気に仕留める試合展開となった。山口に対して効果的なインサイドアタックを徹底して遂行し、34.リチャードが25得点、23.キングが24得点、17.ジョーンズが13得点を挙げた。もちろん日本人のガード陣もキックアウトされたパスからのスリーポイントやビックマンとの2メンゲームからのドライブインやアシストで存在感を見せた。特に16.伊藤のディフェンスとスリーポイント、3Qの31.髙畠のプレーが印象に残った。

山口は悪い時に流れを切ることができず、安易なターンオーバーから失点を許すなど傷口を広げてしまう展開になった。GAME2に向けてはまず岩手のインサイドアタックをどう止めるかという課題を解決する必要があると感じた。良いディフェンスからの良いオフェンスを何回出せるかが注目となる。


GAME2 
岩手90-59山口
(24-20,21-6,24-14,21-19)


-山口を封じ込める岩手のディフェンス

GAME2も互いにスターティング5の変更は無しで臨んだ。立ち上がりは一進一退の攻防で両チームの外国籍選手が中心に得点を重ねる展開となった。岩手はGAME1に引き続きインサイドアタックを中心に攻撃を仕掛け、34.リチャードや23.キングが仕留め、山口はピック&ロールを起点にしながら7.エヴァンスで得点を挙げていく。中盤で岩手が10-0のランでリードを奪うと、終盤には13.小松の4点プレーも飛び出し、24点をあげる1Qとなった。山口はオフェンスリバウンドやターンオーバーからの速攻で追いすがり20点を奪い、4点のビハインドに抑えて1Qを乗り切った。

2Qは完全に岩手のゲームとなった。何と言っても岩手のディフェンスが印象に残った。ズレを生み出そうとする山口のオフェンスに対して、密着度の高いマークで自由を与えず制限をかけると、見事なローテーションディフェンスで少しのズレも許さずタフショットを強いる。そしてディフェンスリバウンドを一発で確保すると速いオフェンスからのインサイドアタック、ガード陣のツーメンゲームなどで得点を重ねていく。山口はオフェンスでズレを生み出すことができず、良い形でのフィニッシュ繋がらない展開が続くと、ディフェンスでも先手を取られることになってしまった。オフィシャルタイムアウトの直前で7.エヴァンスが3つ目のファウルを犯し、ベンチに下がる展開になったが、それもあまり関係なくただ岩手に上回られたクウォーターだった。2Qだけで21-6のスコアとなり、45-26と19点差で前半を折り返した。


-長所を消された時の引き出し

3Qも岩手の流れは変わらず、山口のインサイドでのオフェンスを許さないディフェンスから得点を挙げていく。印象では山口の外からのシュートはある程度優先順位を下げ、インサイドへのアタックに対してヘルプが寄れるポジションを意識しているように見えた。スイッチも使いながらズレを許さずリバウンドから素早い攻撃が多く見られた。4Qは山口のゾーンディフェンスに対して外からのシュートとオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで得点を重ねていく。中でも30.横川の好調さが目立ち試合を通して15得点を挙げる活躍を見せた。

山口は岩手のディフェンスに対して攻略の糸口を見つけることができず敗戦となった。アウトサイドをある程度捨てられた時にどうやってチームとして良いシュートを打つかという課題を突きつけられた気がする。ゴールへのドライブアタックが持ち味というガードが多い中で、その道筋を消された時に強引に打開をするのか、外からのシュートを決めきるのかという部分は今後に向けた伸び代であると言える。またこの試合も7.エヴァンスと12.サンプソンのインサイド陣が4Qの早い時間にファウルアウトとなってしまった。彼らへの負荷が多くなってくる中でどのようにファウルコントロールをしていけるのかもカギとなるだろう。


岩手との2試合では力の差を見せつけられた。これで岩手は開幕からの6連勝を継続、スタートダッシュに成功した。一方山口は1勝5敗となった。始まったばかりのチームがここからどのように成長していくのかを非常に楽しみにしたい。


*文中敬称略


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