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占い師から歯並びをキレイにした方が良いと言われて歯科矯正を決意したら大変だった話し ep19

『涙腺崩壊』

術後6日目。

ありとあらゆる管が抜け、シャワーも浴びれるようになったヲタクは、顔の腫れの重さと表皮のめくれと大量の吹き出物という新たな悩みに直面していた。
治療は、ワセリンで保湿するだけという方法しかなく・・・ざらつく顔を洗うのが苦痛だった。
キレイになるために、手術をしたのになんでこんなきったない肌荒れ起こしてるんや・・・!
麻酔から目が覚めた時は、とにかく元気になればいいと思っていたはずなのに元気になればあぁでもない、こうでもないと・・・人間は欲深い。いや、ヲタクが欲深いだけだ。
「hakuさん、消毒にいきましょうねー!」
1日2回(朝と夜)の消毒の時間がやってきた。
処置室に行くのも、慣れたもんである。
「はーい!遅くなってごめんね!!」
ペコちゃんが遅れて術衣のままやってきた。
「じゃあ、消毒しまーす!」
消毒だけなんだから、別のドクターに頼めばいいのに。なんだかんだで、ペコちゃんはまじめなんだなぁと感心していると、表情が少しだけ険しくなった。
「リ○テリン使って、うがいちゃんとしてるかな?」
「(やってるとも!あの、地獄の様な苦痛に耐えて!!)」
と、言いたかったがもちろん話せないので、うんうんと頷いた。
「うーん、ちょっと化膿してるなぁ」
えぇぇぇぇぇぇ!!!!
まさかの、結果である。
今回の手術は、口腔内からメスを入れているので傷口を見る事はできてない。ただ、痛みとか沁みたりとかないので経過は良好なのだとばっかり思っていた。
ペコちゃんの初めて見る険しい表情に、ヲタクは心が揺れ動く。
だって、だって、あんなに苦しい思いをして話もできず、ようやく歩いたりシャワー浴びれたりできるようになったのに・・・!!
恐らく、無意識のうちに我慢していた不安だったり色々が溢れ出したのだろう。突如、涙が滝のようにダバーッと流れ落ちた。
「えぇ!?大丈夫、大丈夫だよ!」
ペコちゃんも、泣かれるとは思っていなかったらしく看護師さんと共に慰めてくれる。
「お薬変えるからね!すーぐ良くなるよ!」
「hakuさん、頑張ってるから!大丈夫!」
夜勤で残ってる看護師さん達も、ワラワラと駆けつけて励ましてくれた。
看護師さんって、やっぱり白衣の天使なんだなぁ。
そんな事を思いつつ、麻酔から目が覚めて数日。感情はジェットコースターの様に乱高下を繰り返したのでした。

次回、『ボクサー』

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