占い師から歯並びをキレイにした方が良いと言われて歯科矯正を決意したら大変だった話し ep17
『不協和音』
術後4日目
軽度の肺炎を発症したものの、呼吸は楽だった。
抗生剤のおかげか熱も下がってる。顔がぱんぱんに腫れている事だけを除けば、首から下は元気いっぱいだ。人間の身体って不思議だね。
「hakuさん、処置室に行きましょうか!」
看護師さんは何をするのか教えてくれない(笑)。
びくびくしながら、点滴のコロコロを押し処置室へ。
途中すれ違った患者さん達から、あまりの顔の腫れに振り返られたけど気にしない。
「おはよー!元気かな?!」
処置室に入ると、朝から元気いっぱいのぺこちゃんとエンカウントした。
「はーい、ここに寝て下さいねー」
看護師さんと一緒に、ペコちゃんをスルーしてベッドに横になる。
「今日は、ドレーンを抜きます!」
なんと!首に突っ込んでるドレーンがようやく抜けるらしい。
もっと自由になるじゃないか!
「じゃあ、抜きますねー」
首を動かさない様に看護師さんに固定される。
えっ?麻酔もなしですか????
覚悟を決める間もなく、ドレーンがズッズッズッと抜かれて行く。
同時に、身体中にゾワゾワゾワゾワとした得も言われぬ悪寒が走った。
そうだ、黒板に思いっきり爪をたてた時の不快な音の感覚と似ている。
そして、どんだけ長いのが入ってたのか抜き終わるまでの時間がめっちゃ長い!
「はーい、右側終わりました」
口がふさがれているせいで、嫌だとも一旦止めてほしいとも声が出ない。
無機質なベッドの上で、小鹿の様にぷるぷる震えながら耐える事しかできなかった。
そういえば、小学生の算数の時間に先生が勢い余って黒板を思いっきり引っ掻いた事があってそれ以来算数が嫌いになったんだよな・・・。
悪寒のせいか走馬燈の様に記憶が流れていく。
「お疲れ様ー!終わったよ!」
すがすがしい笑顔のぺこちゃんが憎らしかった。
その赤いほっぺを引きちぎってやろうか・・・!?
復讐心を宿し、点滴のコロコロを押しながら病室へと戻るのだった。
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