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05_適応障害になるまで③

1つ前からの続きになります。

2020年4月、コロナで社会が変わり始めたと同時に、会社の所属部署の体制の配置転換があった。苦手だったA上司から離れ、B上司の下につくことになった。Aさんから離れられることに安心はしたが、しかしBさんも同じようなタイプの人だということは理解していた。2人ともプライドが高く、言いやすい人間には難癖をつける性格。似たようなタイプなのに、最悪に不仲という関係性であることは私は薄々感じとっていた。「ああ、Bさんにも私のポンコツぶりは見抜かれてしまうかも」とこの時点で弱気だったが、せっかくの配置転換、心機一転この人の下では頑張ろう!と張り切って乗り切ることにした。

案の定Bさんの下についてから数ヶ月後、「お前想像以上に期待はずれ」と指摘され、努力不足な自分を責めた。そして二言目「お前、今まで何となくテキトーに生きてきたねんなあ」と笑いながらではあったが言われた。「どういう意味ですか?」と同じテンションで聞き返すと、

「いや、お前の人生の話。のほほーんとテキトーに上辺だけ繕って振舞ってきたんやろ。それとうちに入社してからのこれまでもな」

ぐさりと胸に矢が刺さる感覚だった。なぜ、なぜこの人に今までのことを否定されないといけないのか。私の何を知っている。それにAさんの下にいた2年間もテキトーに過ごしてきたと、そんなはずがない。確かにベテランのお2人にとっては私は足元にも及んでいない。指示いただいてもすぐに理解ができずご迷惑をおかけしてばかりだった。不器用な立ち回りにイラつかせてしまうことも多かったと思う。ポンコツな部下なりにせめて毎日ちゃんと出勤し、営業チームやクライアントからの無茶な要望にも対応し、時間がかかってしまう自分にもイライラしつつ残業もして部署のために頑張ってきたつもりだ。これまでの人生も人一倍気を遣ってきたのに、それをテキトーという言葉で片付けられるのは違う!Aさんの下にいた期間を否定してくるということは、本人には言えない分、遠回しに私に言うことによってAさんも小馬鹿にしているのだ。それからBさんはチームにもう一人いた私の少し年下の女の子には優しく、私には舌打ちや暴言を吐くようになり、「○○(私)はこういうキャラやもんなあ」とわざとえこひいきを強調するような扱いをしてくるようになった。これがチームのノリ!みたいなものができ、私も笑って「すみませんポンコツで!!笑」と答えるしかなかった。そんな日々が続き、業務面でもコロナにより会社の売り上げが落ち、そこを補填するためにどんどん新規提案をしろと上からの圧がかかり始めた。夜の残業中、人が少なくなったオフィスで昼間Bさんに言われたあれやこれが頭によぎっては涙が出てきた。

Bさんのチームで担当していたあるクライアントのデザインコンペでも、私は約半年間やってはボロボロにダメ出しされ、提案しても敗商し続けた。頭ごなしに否定され続けることによって精神的に滅入るたびに、ならなぜダメなのか論理的に整理して考え、それでもクライアントのいろいろな大人の事情もあったりで一筋縄ではいかなかった。私に加えてチームの年下の女の子も参加してくれることになり、彼女もデザインを出すことが決まった。その子のものは、社内評価も高く、見事クライアントからも採用をいただいた。頭の回転が良く、愛されキャラで私とは正反対の世渡り上手なタイプ。柔軟な発想でBさんともうまくコミュニケーションをとりながら作っていた。心からおめでとうと後輩ながら本当に優秀な子でチームとして誇らしかった。と同時に私にはないものを持ち合わせている彼女への羨ましさと、純粋に楽しそうに進めている姿を近くで見ていて悔しかった。クライアントには作り手側の事情など伝わることはないが、デザインはどこか心底好きな思いで作られていることが作品に出るのだと実感した。そこで私は、今どん底に最悪のメンタルなことで好きだったデザインも嫌いになっていく絶望感を味わった。

それから数ヶ月後の昨年10月頃、Bさんの上の部長さんに呼び出され、チーム異動が告げられた。組織的には年に一度春に配置転換はするものの、年度途中での異動は珍しいケースで、今回は私1人のみだという。異動先は元いたAさんのチームだった。理由は、業務分担のバランスをとりたいとのことで、Aさんのチームの人手不足と、私のキャリア的にどんどん案件をさばいていってほしいという。何とも複雑な気持ちだった。散々Aさんともうまくできず、かといってBさんからもパワハラの現状。しかしAさんのチームでは、私より若い後輩たちが頑張っていて私が入らないと皆つぶれてしまう。「わかりました!頑張ります!」と気を張って異動を受け入れ、次々にくる案件を毎日毎日引き受けた。部署メンバーの1人あたりの担当クライアントはだいたい皆3社だったが、私だけ6社担当するようになった。なぜこうなったかというと上の管理職同士の不仲により、本人同士で私が今どれほどの仕事量かも確認せず何人からも依頼が入ってくるためだった。NOとは言えなかった。年下の子たちより年次的に私が対応するしかない、これぐらいできて当たり前だ、後輩の前で弱音を吐いてはいけない。異動により社内で関わる人も増え、「hijikiさんこれよろしく!」と仕事が増え続ける一方だった。マルチタスクができない自分はこの会社で不適合者と責め、余計に苦しくなり、残業が増えていくだけ。月〜金曜の業務時間内ではとても終わらない。気付けば上司に黙って土日も出勤した。誰もいない土日のオフィスの方が集中できる。わざわざ休日出勤を申請して上司に処理の説明をするよりは、黙って仕事を終わらせる方が何倍もましだった。

そしてとうとう、身体にも異変があらわれ始めるのだった。


#HSP #適応障害 #アラサー独身


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