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ホピの神話2

創造主はいよいよすべてのものが幸せになれるよう、第4の世界を創った。

下に降りた人々をスパイダーウーマンはさまざまな部族に分けた。

みんなが旅立つとき、創造主の使いのツグミが飛んできて、たくさんのトウモロコシの種を大地に置くと、

「どれか一つを選び、その種とともに生きていきなさい。」と告げた。

それぞれの部族のリーダーに選ばれたものたちは、出来るだけ大きく立派な種を選ぼうと吟味し、次々に選んでいった。

最後に残ったのは幾つかの小さなブルーコーンの種だった。

それを手に取った部族のリーダーたちにツグミは言った。

「このトウモロコシには、進む道に困難なことがあろうとも、末永く繁栄するという祈りが込められている。どんな時も、このトウモロコシと共にあれば、あなたたちは逆境を乗り越えて生きていくことができる」

そして出発の準備が整ったとき、スパイダーウーマンが言った。

「あなたたちはこれから長い旅に出ることになる。旅先で立ち止まった時、そこで村を作りなさい。その村で生まれ育った次の世代がまた旅に出て、立ち止まったら、またそこで村を作りなさい。その繰り返しをしながら先に進むのです。」

「そして村を作ったところには、必ず岩に印をつけていきなさい。そうすれば、いつかあなたたちの子孫があなたたちの旅路を知り、彼の地まで辿り着いた時には、それまで辿ってきた村の足跡が、すべてあなたちの大地っという証になる。」

「あなたたちが選んだブルーコーン、そして青い星があなたちを必ず約束の大地へと導くでしょう。さあ、出発しなさい。」

こうして偉大なる移動の旅は始まった。

ブルーコーンを手にした部族の中には、ココペリと呼ばれる笛を吹く精霊に先導された部族もいた。

後に笛族と呼ばれる人々だ。

ココペリが持っている笛は、生殖の力を携えるもので、ココペリがひとたび笛を吹くと第3の世界で息絶えていた多くの動植物たちの命が芽生え、彼らにも子孫が増えていった。

スパイダーウーマンに言われたように、部族の印を岩に刻み、ココペリと旅をしている証として、ココペリの姿も岩に刻み込んでいった。

ほかにも、さまざまな部族が偉大なる大移動の旅をそれぞれしながら、その旅を岩に刻みながら進んだ。

ブルーコーンの種を持ち、青い星に導かれながら旅をしてきた部族の中で、最初に約束の大地に着いたのは熊族と呼ばれる人々だった。

その後、次々とブルーコーンを持った部族たちが、それぞれの旅を終えて約束の大地に辿り着いた時、彼らの前に大精霊マサウが再び現れた。

マサウは、それぞれに旅の労をねぎらうと、4色のトウモロコシの種を渡し、

「これらは世界中の肌の色の違う人々を象徴したものである。これからはこの大地でコーンを植え育てながら、世界の平和を祈り続けることがあなたがたの役割である」

と伝えた。さらに、マサウはこれからの未来を予言する石板を4枚手にすると、3枚の石板をまず熊族に渡し、ホピのチーフとなりその石板を管理するよう伝えた。

そして最後の1枚をおもむろに手で割ると、カタチを留めた石板を火族に渡し、小さな石となったものを一人の色の白い男に手渡し、言った。

「お前は、ホピの兄である。お前はこれからさらに、日出るほうへと旅をしなさい。そして、これから始まる第四の世界が仮に危機的状況になった時、その石を持ってホピのとところに帰ってきなさい。この石板がいちまいになり、そして4枚の石板が揃った時、世界の危機は救われるだろう。」

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