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モテの軽視は危ない|これからの男の子たちへ

こんにちは、ヒヅメです。

僕は二歳になる娘を持つ親なのですが、男児の育児ってどんなもんなんだろうなあと思って表題の本を読みました。

凄く雑な感想としては「今を生きる男性が持つべき正しい価値観」が列挙されているなあというものです。

はい、とても正しいと思います。

しかしこの正しさの適用範囲についての記載がとても大切だなと思いました。

この価値観は「欧州や米国などの一部先進国(≒民主主義国)」「比較的裕福な家庭」「その世界の中で触れ合える人たちの中」において「楽しく生活(勉強、仕事、恋愛、結婚などなど)している人」に適用されると想像します。

逆にこの適用範囲の中で生きている人たちにとっては「何を今さら」という内容が続いています。

例えば「悪しき男らしさに男性が囚われる必要はない」というくだりも、本当にその通りだと思います。

じゃあまあ僕が、この「正しい価値観」がどんどん広まっていく中で、もし将来の息子にどう伝えるかと考えたら…

「性別による決めつけに囚われる必要はないけど、今持っている君の魅力が『旧来で言うところの男らしさ』だったとしてもそれは大切にしてほしい」って伝えると思います。

教育レベルの高い人たちは、この本に書いてあることを今一生懸命「適用範囲外」の人にも啓蒙していますが、現実として隅々まで広まっていません。なんならバックラッシュも起きていますし、民主主義に親和性を持つ国々は、イスラム圏+インド+中国よりも圧倒的に人口が減少していきます。

いやごめん。話でか過ぎで手に負えなくなってきました。

めっちゃ小さい世界の話をします。

例えば、暴力って公然とあるじゃないですか。

言葉の暴力にしろ、力の暴力にしろ。

時代が変わったとはいえ、クラスの大人しい子を突然殴る少年っていますよね?

あれって今の時代暴力はダメだから「暴力はダメだぞ」って先生にきつく言われて終わりですよね? 僕は殴られたのに。損してません? 歯が抜けたりしたらお金の問題とかじゃなくないですか?

そして往々にして彼らはモテます。だって魅力的じゃないですか。はつらつとしていて、爽やかで、強くて。対して僕は陰鬱としてジメジメとしていて弱いしモテない。ますます損なんですよ。

そんな僕に「あいつらが間違っている。あなたは今のままでいいのよ」って言われてもモテるようにはなりませんし、少年からは殴られ続けるでしょう。

「このままじゃ人生やべえな」と思った僕は高校デビューしまして、体も鍛え、成績もグッと上げ、留学もしてみたんです。

そしたらもう殴られることもなくなりましたし、女の子とも仲良くできるようになり、大変居心地の良い人生に変わりました。

話を戻しますけど

『旧来で言うところの男らしさ』を降りた/持っていない男性に対してまだ世間は優しくありません。いや口では「あなたは今のままでいいんです」と言いますよ? でもモテないですよ。

この本もモテない人に対しては「モテなくても君は素敵じゃん。別に結婚だけがすべてじゃないよ」って言うんですけど、「モテたい」って思ってる人にそれ言っていいのはブッダだけだと思うんですよね。

この本の作者やインタビューに出てきた小島さんも、「男らしさ」から降りてしまったモテない人たちをないがしろにしてはいけないことに気づいていて「少なくとも、そういう男性をバカにしちゃダメだよね」っていうところまでは言及していたんですが、解決策まではたどり着いていない様子でした。

そうなんですよ。男らしくなくたってバカにしちゃいけない。でも「モテ」は往々にして「正しさだけ」では構成されないんですよね。作者さんもよく分かっているはずですけど。

だから、この本は「(様々な適用条件がある中での)正しさを網羅的に知るための本」であって、ちゃんと息子を「モテる男」にするための作業はまだまだ親に託されてるなと思います。

ちなみにこの本の中に時々出てくる作者の息子さんは母親(作者)のあしらい方も品があって作中の清涼剤でした。彼は絶対モテると思う。

まあこんなこと言うと「モテなきゃダメなのか?」という意見もあると思うんですけど…モテるモテないで言えばモテた方がいいですよ! 男は特に。

その上で結婚しない、子供持たない選択肢があるのであって「結婚したくでもできない」とは全然違いますし、しかもモテはある程度年齢が行くとほぼ不可逆になるんですよ!

あの、モテるモテないに良し悪しは無いですよ? 「モテなくても素敵な人はいる」って言われりゃその通りなんですけど「モテたいけどモテない」って中年で自覚した悲しさってめちゃくちゃデカいんですよ。それを軽視し過ぎるのは危険だよってことです。

…ので、僕が男の子を持った場合は、この「世間的な正しさ(建前)」と「結局モテる要素(本音)」の部分をバランス良くケアしていかないとなあと、この本を読んで思いました。



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