本当はこんなことがしたかった

　4/15、いきなり務めている会社から自宅待機の命が下り、とりあえずGW明けまでは自宅にとどまっていることとなった。うちの会社ではリモートワークも難しそうだしねぇ～、ＧＷで何日有給使うんだろう…と同僚と笑いあっていたのが一転、まさかこんなことになるとは…。
　そもそも連絡を受けた14日は神クズの原稿のために会社に許可をもらって自主欠勤していたので、会社の人たちと「またね」的挨拶もせずにプツンと社会人生活が一時停止してしまった。
今ではslack（この騒動により初導入）で朝体温を、夕方には体調を淡々報告しあっているだけだが、いったいみんな自宅で何をして過ごしているのだろう……。みんな定型文なので、そこに表情は見えない。

　私は何をしているかというと、朝起きて父と母とラジオ体操1,2を行い、テラスで日の光を浴びてみたり、神クズの原稿をしたり、筋トレ（トータルで5分もやってませんが…）やってみたり歌を歌ったりして家の敷地から一歩も出ずにいる。父と母は畑を耕したり、大掃除をしたり、野草を煎じて茶を作ったりしている……。
半ば無職となった大人3人が唐突に春休みになってしまったかのようなのどかさだ。ほ…本当にこんなことがあるのだろうか…。

　昨年のゴールデンウィークといえば日本中が10連休という空前絶後の大型連休に熱狂していたものだが。ちなみに私はサービス業の端くれとして熱狂の反対なのだ（バカボンのパパ）していました。

　とにかく時間があるのである。今までの生活なら夜2時半まで原稿をして朝7時半に起きて出勤、19時退勤即帰宅の繰り返しだったものが、永遠に自宅にとどまっているものだから「時間だらけじゃねえか！！」と驚愕が止まらない。

　畑に咲いているシロツメクサで花輪を作ってみたり、小学生ぶりにクッキーを焼いてみたり（美味しくなかったです）、
12月の発売以来4度しかプレイできていなかった新サクラ大戦をやってみたり、電線でさえずっている鳥の声を口笛でモノマネしたり、
見たかったアニメを一気見したり、3か月放置していたソシャゲをやってみたり、時間をかけた趣味の絵を描いてみたり、スーツ以外の服を着てみたり、本を読んだり……
　どうしたことだろう、こんなにたくさんのことができてしまうとは…。むしろ私は数年間（たまに東京などに行って友達と会う以外は）殆ど会社・家の往復をしているだけだったのでこんなに家で原稿以外のことをいろいろしてみるのが本当に久しぶりで、家、やることあるな…と新鮮な気持ちでいっぱいだ。

　そうだ、たぶん私はずっとこんな生活がしたかった…小中学生の頃よりあまり発達していないような情緒のまま、田舎の片隅でただただぼんやり暮らしていたかったのだ…労働しなくては生きていけないからぼんやりしなかっただけで、ぼんやりする才能は生まれながら持って失えずにいたものだから……。

　テレビもろくに観なくなってぼんやりと社会から断絶された浮足立った女となっていた今日このごろ、
社長から「いきなり説明もなしに自宅待機させてごめんね、なんか困ったら会社に相談してくれ。体操とかして、よく食べよく寝て健康でまた会いましょう。」という旨の手紙とマスク2枚が届いた。
しゃ…社長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！！！！！！！！弊社あ～～～～～～～～～っ！！！！！！！！！！！（ah～～～～！！！！！！！！涙ッチになれそうかいッ！！！！！）

こんなに社の発展に寄与していない俺なのに……ごめん…ありがとうございます…私はまだ社会人だったのですね……。
ちょっと涙が出た。私また働きます、働けるときが来たら……。働けなかったらそれまでだが。この先どうなるかサッパリわからないが。

　その時が来るまではともかく、田舎の片隅の家の中に閉じこもってぼんやり暮らしています。
明日も健康なら、ずっとやりかったラジオ体操をするでしょう。