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恐竜二段 その2

恐竜二段との稽古は最初の頃はどうだったのかよく覚えていない。
なんか変だなという違和感だけは有った。だが相手は黒帯なのでそれなりに敬意を持って対応していたはずだ。
後から聞いた話だと、総本部の帯研で怖いことで知られる某師範に顰蹙を買い追い出されたとのことだった。
やはりこの人はどこかおかしい。確信を深めた。
そして事件は突然、起きた。
稽古の帰り某先輩に車で送ってもらう時に敷地内から出て信号待ちをしていると、恐竜二段の車がやって来て敷地から出ようとした。
そこに右側から自転車がやって来た。当然、恐竜二段は自転車を行かせてから道路に出ると思った。
しかし違った。恐竜二段は車を前に出し自転車を跳ねた。
全く前を見ていなかったのだ。
幸い自転車側に怪我は無いようでそのまま走り去った。
申し訳ないけど先輩と二人で車中で笑ってしまった。人間信じられないような事が起こると笑ってしまうのだ。
恐怖と笑いは紙一重。楳図かずおの言う通りだ。

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