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私の料理で何が一番好き? 男性育休記51/68

引き続き妻が電気圧力鍋を駆使して楽しそうに料理している。基本的に野菜とかを切って調味料を入れて、スイッチを入れれば終わりなので、楽である。ガスなどと違って、もし子どもが近づいてもなんの問題もないし、なにより圧力鍋なので調理時間が圧倒的に短い。

よく、妻に「私の料理で何が一番好き」と聞かれるのだが、いつも答えに詰まる。笑って誤魔化すか、「全部おいしいよ」と答えてしらけた空気になるかどちらかである。誤解しないで欲しいが、切り方についてはこうして何度もネチネチ書き連ねてはインターネットを経由して世界中に届けようとしている程度には言いたいことがあるが、味は良いのである。おいしいのである。

本当は気持ちよく具体的な料理名を答えてあげたいのだが、答えられないのは「妻の料理には名前がないから」である。ハンバーグとか、エビチリとか、ポテトサラダとか、そういう料理名がはっきりあるものを作らない。

「何かを煮たやつ」が出る。たいてい、めんつゆで味付けされている

この日は、「大和芋を煮たやつ」と、「玉ねぎを煮たやつ」が出た。前者が和風、後者が珍しくコンソメを使ったようで洋風。別料理である。

大和芋は、うちのばあちゃんからきたやつ、だいたい500mペットボトルくらいのサイズだが、これを大胆に3分割くらいにカットして、これを電気圧力鍋で煮たやつである。わかるだろうか。あけすけに言うと「すげえでかい」。

たまねぎは、丸のままである。そのまま電気圧力鍋で煮られている。まさかのノーカット。完全版である。

たまねぎ、表面がめちゃくちゃすべるのに箸だけ手渡されて私が手こずっているのを見た妻が爆笑していた。それを見て思わず私は玉ねぎを手づかみで放擲してやろうかなと思ったが、いちおう大学まで通って身につけた知性と思いやりをもってそれを鎮めた。圧力鍋によってそこそこ柔らかくなったとはいえ球体でツルツルして切りづらい玉ねぎを箸を2本、ナイフとフォークのような使い方をしてなんとか切断、穏やかな表情を保ったまま、食べた。

妻は気がつくと授乳しながら録画したMステでジャニーズを見ていた。

誰か、褒めてくれ。そう思って2歳児に目をやると、ちょうど派手にヤクルトをこぼしたところだった。

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