マガジンのカバー画像

詩の穴

9
歌詞にならなかった詩をのせています。 「王さまの耳はロバの耳」の穴のような詩の墓場。供養して下さい。
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

無題

無題

三月の甘い雪
みちしるべのようにそっと落ちる
眠りからさめた仔うさぎは
あたたかいベッドでまだ夢を見てる

消えないでぬくもり
ささやかな欲望

三日月のようなあなたのくちびる
冷たい雪 ふれてとけた

歌にならない詩がたまってきたのですこしずつ吐き出していこうかと思っています。

無題

無題

びしょぬれの靴底から
冷え冷えと夜が沁み出した
冷たいなって思ってるのが
本当に自分なのか分からない

空の星が落っこちても
たぶんだれも驚きはしないだろう
この街は服を着た風船の
旅人達しか歩いていない

野良犬が吠えてる
ひとりきりで吠えてる

錆びた自転車にまたがって
暗い海まで走ろうか
それともいっそ宙上の
月までロケットを飛ばそうか

交通情報センターからのお知らせは
今日も変わらずどこ

もっとみる
無題

無題

たとえば暗闇のなかに
ぽつんとひとつ光があって
それを出口だと思うか
入口だと思うか

判断はシンプルに
明確な基準と
確固たる信念をもって

ニュアンスとフィーリング
感覚を尖らせた先にある、知性
メンタリティ

歌詞にならない詩を載せています。詩の供養。

無題

無題

長い髪を切りたくなったのは
誰かのせいじゃなくて
水たまりの中で揺れる陽炎
飛び越す影はきっと

日差しの切れ間を探して
たどり着いたビルの屋上で
とっくにぬるいサイダーひとつ
君と飲んで 少し笑って

麦わら帽はどこかに飛んでいった
真っ青な空と入道雲
体ごと心ごと
夏に飲み込まれそう

そのままわたし行方不明

少しずつ長くなる夜
君が時計を見る前に
水たまりの中へはねるビーチサンダル
浮かれ

もっとみる