白杖でエスカレーターはやめた方が安全

不登校中2息子の三者懇談会があった翌日、気分転換を兼ねて百貨店へ出かけた。

百貨店の最寄り駅に開店時刻よりも早く到着してしまい、時間つぶしに駅前の広場やら、百貨店とは別のテナントビルやらこれまで通ったことがない辺りをぶらぶら歩いていた。

テナントビルの2階から1階へエスカレーターで下りた時、上りエスカレーターに乗ろうとしている老人2人組がすれ違い様に目に入った。

杖をついたかなりのお爺さん(推定90歳代)と、お爺さんからみたら親子ほどは若そうなお婆さん(推定70歳代)が介助として付き添っていた。

私がエスカレーターを降りて1階はどんなお店があるのだろうと通路を進みかけた時、杖が床に転がるような音が聞こえた。

周囲に他に人気はなく、今すれ違った爺さんの杖に違いない。

お婆さんの声で「もうー!何してんのー!あらあらあら!ちょっとちょっとちょっとー!」と大きな声がする。

様子を見に戻ると、お婆さんはエスカレーターに乗ったばかりの位置におり、お爺さんはお婆さんよりも数段上の高さにいて、頭が下に足が上になった状態で3段に渡って仰向けに転げていた。

あ、これはヤバイ、絶対爺さん1人では立てないし、婆さんが起こしにいくのも間に合わない、と直感。

お婆さんの横をすり抜けて駆け上がり、爺さんに声をかけた。

ただの杖ではなく白杖だった。瞼が開いてないがこれは目が不自由なだけで、意識はしっかりしていた。

階段状の段差で足が高い方にあるぶん、身体を起こすのはとても難しい。エスカレーターは上りなので、このまま上に到達させて段差がなくなる瞬間を狙って立たせるしかないと思い、お爺さんにも「このまま上まで行ってから起きよう」と声をかけた。

エスカレーターに衣服を巻き込ませずにタイミングを狙って起こせるかどうか一か八かやるしかない。

2階で騒ぎを聞きつけたおじさんが駆け付けてきた。おじさんは上で待機、お爺さんの両足を掴んで引っ張ってくれたので、とにかくお爺さんのお尻をエスカレーターから床に移すことに集中した。

お爺さんはなんともなく無事で、平らな場所ならゆっくり立ち上がることができた。

私は自分がエスカレーターから降りるタイミングをちょっと間違えて足をつんのめらせて膝を打ってしまった(笑)

おじさんはビルの従業員らしく、お爺さんやお婆さんに怪我はないか、お爺さんが頭を打っていないかなど確認、向こうにエレベーターがあるからこれからはエレベーターを使ってくださいよと促していらした。私にもよく手伝ってくださったとお礼をおっしゃる。

お婆さんにも「お嬢さん、どうもありがとう」とお礼を言われた。

いやいやお嬢さんって、私ゃ50歳の子持ちだよ。

しかしまぁ、介助のお婆さんも肝が据わっているのか、とんでもない楽天家なのか、声は大きかったが動転してる様子はなく、お爺さんもすっ転びっぷりの激しさにしては慌てず騒がずおちついておられて、なかなか危険度の高い転倒事故だったというのにずいぶん呑気な様子のお二人であった。

帰宅後、上手く無事に床に乗せ上げられたからよかったようなものの、私自身はそもそもエスカレーターに乗っていない所から駆け付けた訳で、急いでお爺さんの側に行くよりも先にまずエスカレーターの非常停止ボタンを押すべきだったと反省しました。

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