シェア
hiyorimi36
2017年1月22日 23:30
その家で、暮らし始めた日を覚えている。玄関から奥へ伸びる廊下を抜けたつきあたり、大きな窓のある台所に、4人掛けの食卓があった。出迎えてくれた祖母と叔母。叔母はにこやかに、当時人気のアニメキャラクターが印刷された、小さなブリキのトランクをくれた。古い2階建ての木造家屋。大工の大叔父が建てたという住まいは、慎ましく清貧だった。窓が多く、光がたくさん入るようになっていて、その分夜はずしりと暗かっ
2017年1月25日 00:47
毎日、空を飛ぶ夢ばかり見ていた。地面を蹴って、からだが浮かぶ。思ったとおりのところへ飛んでいける。風景が、あるくよりずっと早くながれていくのを横目でみながら。たまにほうきにのったり、のらなかったり。海に浮かぶ小さな島まで行って、きれいな色のジュースをのんだり、木に実っているお菓子を食べたりもした。学校は毎日行った。仲間はずれにされても、無視されても、悪口を言われても、ものを投げつけられても