その呆気なさを祝福するために/オタール・イオセリアーニ『群盗、第七章』(1993)
感動的な音楽に煽られることなく、悲痛や苦悶に満ちた顔をクロースアップで捉えることもなく、そして役名もない一人の「死」をあまりに呆気なく撮ることが出来る監督を信頼したい。パッと思い付くのが『ノン、あるいは支配の虚しき栄光』を撮ったマノエル・ド・オリヴェイラ。旗を握りしめた兵士の手を何のためらいもなくスパッと切った鮮烈なロングショットは忘れ難い。
本作においてオタール・イオセリアーニは、オリヴェイラ同様呆気ないほど簡単に人を殺してみせる。それは玩具のような銃を子供がぶっぱなして大