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〝悔いなき選択〟について悶々と考えた#3〜不安要素の排除とブレない心〜

人生において〝選択〟ほど重要な筈なのに
無意識に行なわれることの多いものは
ないのではないか?

〝選択〟を意識的に行なっている人間の方が
無意識にそれを行なっている人間より
有意義に人生を過ごせるのではないか?

自らの選択の上に〝今〟がある
そんなことすら忘れて他人のせいにして
愚痴ばかり吐き散らかしてないだろうか?

では〝悔いなき選択〟をするには??


なんて、、、
こ難しい事を悶々と考えているわけでないw 


ただただ
リヴァイくんのことが好きなので

『進撃の巨人』21巻の
第84話『白夜』で描かれている
リヴァイくんの選択について悶々と悩んだ
その結果を書きたいだけだw

前回は下の記事で
何故エルヴィンの死を選んだか
エルヴィンの〝夢〟の伏線を主に書いてみた

その中でフロックの言葉を聞いて

リヴァイくんが調査兵団の兵士長として
〝人類の勝利〟と言うバカでかい大義名分

エルヴィン団長を生かそうとしている
リヴァイくん自身に気づき

エルヴィンの友として
〝エルヴィン個人にとって〟を考えた時に
選択が揺らいだのではないかと結論づけた

実際に、リヴァイくんは

『俺の私情でエルヴィンの死に場所を
 ここに決めちまったんだ』

と言っている
アルミンを選んだわけでなく
エルヴィンを死なせる選択をした
のだと
(正確にはその側面が大きいってことかな)

とは言え、巨人に勝利するには
〝智略〟が必要
な事は
リヴァイくんも痛感してるし
それが自分には無いことも承知している 

アルミンでなければ選択肢にもならない
エルヴィンを休ませる事はできなかった筈だ

エルヴィン個人を考えた時に
頭に浮かんだだろう
エルヴィンの〝夢〟について
かなり前からリヴァイくんは
〝ある不安〟を抱いていた

前の記事で、
リヴァイくんがエルヴィンに
〝ある疑念〟を抱いたのは
かなり前の13巻の55話と書いた
そして、その〝疑念〟にかなり動揺した

さらに前の記事

では
リヴァイくんはすごく純粋な人
だとも書いた

つまり、この二つから

リヴァイくんはすごく純粋に
〝人類の勝利〟の為に戦っている 
ということが(読めばたぶん)わかる

故に

エルヴィンの本当の目的が
〝人類の勝利〟にないと感じた時の衝撃

かなりのものだっただろう
可哀想に、、、

それ以降、エルヴィンの夢に対し
〝ある不安〟を抱いていたのだろう
と考えている

17巻の第70話の会議のシーンで
リヴァイくんは終始思い詰めた表情をしている

リヴァイくんは
敬語をあまり使わない


お口が悪いのだ

団長であるエルヴィンだけでなく
ピクシス司令やザックレー総統に対しても
お口は悪いw

しかし、この会議で

『兵士長どの 何かご進言でも?』と問われ

『、、、いえ何も おっしゃる通りかと』

と答えている

おっしゃる通りかとぉ?
リヴァイくん敬語使えるじゃん!!
と言うことではない

それだけリヴァイくんが
いつものリヴァイくんじゃない
精彩を欠いている状態
にあるって
ことの表現なんじゃないかと思う

リヴァイくんの頭を
〝ある不安〟が占めていたから
ではないだろうか?


会議の最後にあのザックレーが
意味深な事を言う

『あぁ...君もそろそろ報われてよいはずだ』

『シガンシナの地下室に
 君の望む宝が眠っている
事を
 祈っているよ』

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その後に
ピクシス、リヴァイくん、エルヴィンの
順番でそれぞれの表情が描かれている

ザックレーを含め
エルヴィンの〝夢〟
エルヴィンの〝本当の目的〟を知っている
もしくは勘づいている面々だ

会議の後

例の注射を
最も生存率の高い優れた兵士
委ねるべきと話し合いがなされた

『リヴァイ引き受けてくれるか?』
と言うエルヴィンに

『…任務なら命令すればいい
 なぜそんな事を聞く?』

リヴァイくんらしい言い回しで
嬉しくなるw

エルヴィンの答えは以下

『…これを使用する際は
 どんな状況かわからない』

『つまり現場の判断も含めて
 君に託す事になりそうだ』

『状況によっては誰に使用すべきか
 君が決める事になる』

この時から84話でリヴァイくんが
人の生死に関わるという
究極の選択を突きつけられ苦悩することは
決まってたんだなぁ

だいたい何話先まで
予め決まっているのかしら?
構想としてもそうだけど
伏線張るならそれ相応なディテールも必要
あまりにも漠然としてたら
伏線なんて巧みに張れない
だろう

うーむ

『任せてもいいか?』
と2度目に聞かれた時に

まるで文脈を無視したような質問
リヴァイくんは返している

それがこちら

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『お前の夢ってのが叶ったら…
 その後はどうする』

〝エルヴィンの夢が叶った後〟
それがリヴァイくんの〝ある不安〟

どこまでリヴァイくんが
エルヴィンの夢の詳細把握しているか
そんなことはわからないが
先のザックレーの言葉で
〝地下室〟に行けばエルヴィンの夢が
叶うかも知れない
という焦りから
どうしても〝その後〟を聞きたかったのだろう

エルヴィンはその夢の為に戦ってきたのだから
夢が叶ったら巨人と戦うための
モチベーションを失うかも知れない
そう考えても不思議はない 

純粋に〝人類の勝利〟を願い戦う
リヴァイくんにとって大きな不安要素

チビなだけで年はそれなりに取っている
リヴァイくんはみんなの前で食い下がる
なんて真似はしない

『了解だ』

この言葉はリヴァイくんにとって
〝選択〟に関する重要なキーワードなんだけど
それはまた別で書くとして

リヴァイくんの〝ある不安〟
決定づけるエピソードが
18巻 第72話に描かれている

調査兵団の幹部達が
エレンの父グリシャや
〝地下室にある秘密〟について語るシーン

ハンジさんの

『(グリシャが)死に際に
 そこにすべてがあると言い残した地下室...』

『そこには一体何があると思う?』

という問いに
しばらく無言になるエルヴィン
次のページには〝あの絵〟が描かれている

エルヴィンの夢のアイコン

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『言ってはいけなかったこと…』

と言いかけたが団員を前に
エルヴィンは13巻のような気持ち悪い笑顔
浮かべるなんてミスはしない 

『…イヤ』とエルヴィン団長に戻り

『グリシャ氏が
 言いたくても言えなかった事』

『つまり初代レイス王が
 ー我々の記憶から消してしまった
 「世界の記憶」


『…だと思いたいが』

『ここで考えたところで
 わかるわけがない』

2カットに渡るこの語りも構図が巧い
どちらもエルヴィンの背越しなので
この間のエルヴィンの表情はわからない

『…だと思いたいが』までが
語るエルヴィンの背越しの
暗く思い詰めたようなリヴァイくんの表情

それ以降が、ハンジさん以下4人なのだが
リヴァイくんが俯いて一点を見つめてるのに
ハンジさんをはじめ皆は
エルヴィンの目をみて聴いているのがわかる

エルヴィンの〝夢〟を
知っている人と知らない人の対比

言い換えれば、エルヴィンが
〝人類の勝利〟の為に戦っていると
信じている人と疑念を抱いている人の差

とても巧く対比して描いているので
実際に自分の目で確認して欲しい

エルヴィンは、その後1拍あってから
団長然として次のように宣言する

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この会議でも一人でぽつんと座り
思い詰めたように俯き続けるリヴァイくん

もうね、、、ハゲちゃわないかと心配になるw

エルヴィンを信頼しきって
奪還作戦に向け意気揚々と幹部達が出ていくと
リヴァイくんは扉を閉めて
エルヴィンに質問する

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どうしても〝その後〟が気になるリヴァイくん

例え目的が違っても
利害が一致していれば問題ないし
現に今までは問題なかった


しかし

リヴァイくんが選択を迫られた
ウォール・マリア奪還作戦は違った

奪還できなくても地下室に行ければ
エルヴィンの〝夢〟は叶う
かも知れない

戦況によっては放棄して
地下室に向かう事もできる

それでは〝人類の勝利〟為にならない

しかもエルヴィンは片腕を失っている

奪還した後の事は
地下室に行った後に考えようという
エルヴィンに対しリヴァイくんは

『...お前がそこまで生きているか
 わからねぇから聞いてんだぜ?』

『その体はもう以前のように動かせねぇ...
 さしずめ巨人の格好のエサだ』

『現場の指揮はハンジに託せ
 お荷物抱えんのは まっぴらだ
 お前はここで果報を待て』

と強引に物事を進めようとするが

納得のいかないエルヴィン

ここでまた絵の使い方が巧いなぁと思う
押し黙るエルヴィンの次のカットに
描かれているのが

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エルヴィン少年と父親
このカットを入れるだけでエルヴィンが
〝夢〟に拘って駄々を捏ねているのがわかるし

それを悟られない為に口先で
団長らしい事を言っている
のもわかる

目のアップのカットも秀逸だなぁ

ちゃんと絵に語らせているなぁ〜と
感心させられる

次に続くリヴァイくんの理論は至極正論

『作戦は失敗するかもしれねぇ
 その上お前がくたばったら後がねぇ』

『お前は椅子に座って
 頭を動かすだけで充分だ』

『巨人にとっちゃそれが一番迷惑な話で
 人類にとっちゃそれが一番
 いい選択のハズだ』

そのごもっともな意見にも否を呈す
しかも飽くまで団長という立場を装った言葉
そりゃぁリヴァイくんも業を煮やす

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『ちゃんと後で
 繋がりやすいようにしてみせる』

『だがウォール・マリア奪還作戦は
 確実にお留守番しねぇとな』

『しばらくは便所に行くのも苦労するぜ?』

もう個人的にツボ過ぎるw
そんな骨の折り方あるんだスゲェと思うし
〝お留守番〟とか可愛過ぎるw
〝便所〟が出てくるのもリヴァイくんらしい

さすがにここまで言われたらエルヴィンも
本音を言わざるをえないでしょ

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その後のリヴァイくんの表情も何とも言えない
何らかの衝撃は受けているだろうけど 
ちょっと呆れたような口が半開きなのがいい
本当に諫山さんは表情を描くのが上手い
まぁ、、、〝人類の勝利〟に比べれば
〝自分が立ち会わなければいけない〟
なんてクソみたいな理由で手負いの兵士が
あえて戦場に赴くなんて騒いでいるのだ
子供が駄々を捏ねてるようにしか
見えなかったのだろう、、、呆れもするかw

でもエルヴィンさん
人類の勝利より大事なんて
きっぱり答えちゃうから
それだけ〝夢〟に重きを置いてる
と断言しちゃうから

リヴァイくんの落ち込みようったら
本当に可哀想になる

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ここをリヴァイくんのヨリにいかずに
俯瞰気味のカットにする
のも巧い
リヴァイくんの小ささも相まって
エルヴィンの意思の強さを前に
無力感すら感じる
〝間〟も加わって受け入れざるを得ない
リヴァイくんの辛さ
が出ていて
可哀想過ぎるし 構図が巧過ぎる

そして捨て台詞に
『お前の判断を信じよう』
と突き放すようにいうリヴァイくん
諫山さん曰く
「何が起きてもお前の責任だぞ」という
怒りが込められていたそう...
私的には少しニュアンスが違う気がするけど

かくてエルヴィンも一緒に
ウォール・マリア奪還作戦へ

リヴァイくんの〝不安要素〟は
解消されることなく色濃くなるばかり

そして
リヴァイくんの憂いた通りに
ウォール・マリア奪還作戦は
鎧、超大型さらに獣の巨人の登場によって
調査兵団全滅の危機に陥る

しかしリヴァイくんはブレない男
(のはずなので)

こんな頑なに〝自分の夢〟を優先しようとする
エルヴィンであっても

『エルヴィンの力無しには
 人類は巨人に勝てない』

という思いである提案をする

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新兵とハンジ達の生き残りを囮に
エレンに乗って敗走しろと言うリヴァイくん
エルヴィンはある事を訊ねる

『リヴァイ…
 お前はどうするつもりだ?』

エルヴィン、、、
リヴァイくんが心配なのね
リヴァイくんの能力を高くかってるし
何より信頼しているんだなぁと思う

そりゃあ、実行部隊では人類最強だしね
リヴァイくんなしにも巨人には勝てないよね

リヴァイくんのお答えは


『俺は獣の相手
 奴を引きつけて…』

『無理だ』
『近づくことすらできない』

『だろうな』
『だが…お前とエレンが
 生きて帰ればまだ望みがある』

このやり取りの末、エルヴィンは自分がまだ
反撃の策を持っている事を打ち明ける

やはりエルヴィンはただただ
〝夢〟に酔っているわけではなく

人類より〝人〟
…イヤ
自分の夢より〝人〟が大切だったのだろう
リヴァイやハンジ、仲間達が

夢を選ぶなら例えクソな作戦でも
リヴァイくんの敗走案に乗れば良かったはず
敗走案に乗れば、また別の機会に
〝夢〟を叶えられる可能性が残るのだから

この後、エルヴィンが語る言葉に
最初は『はぁ?』となるリヴァイくん
エルヴィンの心の揺れに気づき本心を察して
〝ある選択〟をする

この2人のやりとりの中での
心情の移り変わりの表現も巧い

このやり取りが『白夜』での
リヴァイくんの〝選択〟に大きく影響するが
またまた長くなったので別で書こう