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さして白く無い家の話

最近心霊スポット探訪系の動画を見るのにハマっています。
某人気心霊探索chのある動画を見ていて、そういえばここ行ったことあったなと懐かしい気持ちになりました。
いい機会だと思い、記憶に残った範囲で備忘録として書いておこうと思います。

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N県の海岸沿いにあるその廃墟は地元では有名な心霊スポットでした。※1
私も名前とざっくりした場所だけは知っていたものの、行ったこと自体はありませんでした。
単に行くための足がないのもそうですが、一人でそういう場所に行っても面白く無い、かといって一緒に行こうと友人に誘う行動力とモチベーションも無い。

そんな折に、大学の先輩からそこに行かないかという誘いがありました。
気になっていた場所ではあったので、特に抵抗なく同行することに。正確な場所も把握済みとのことで何もかも任せてただ助手席で舟をこいでいると、海岸沿いの海がきれいに見える道を抜け、人気のない砂浜に着きました。

廃墟自体はそこから道路の下を通る小さなトンネルを抜けた先、海とは反対側にあります。

私たちの行った廃墟の特徴として、二階部分の鉄格子がよく話に上げられていました。
あまり一般的な住居では使わないような(一階部分であれば防犯用でとりつけることはありますが)しっかりした鉄格子が二階部分にだけあるという点から

・精神疾患だった娘の霊が出る。
・二階部分は精神疾患だった娘を家族が隔離するために使っていた。
・精神疾患だった娘が家族を惨〇し、廃墟となった。

等の噂があります。(これも色々なパターンがあり、その一部です)

画像1

画像2

昼間の明るい時間に行ったのですが、それでもなかなか雰囲気があります。

二階への階段は完全に崩壊しているため、二階を見ることはできません
危ないから人為的に破壊されたのかとも思いましたが、よく見ると二階部分にも落書きが及んでいることから、おそらくは自然崩壊したのでしょう。

正直なところ、廃墟としての見どころは特になく(実質一階部分しかないのもある)
まあこんな感じかーと見て回り、一旦トンネル出口のところまで戻りました。

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最初にトンネルを抜けた時から気付いてはいたのですが、実はこの廃墟のある区画
トンネルの出口のすぐ右に、明らかに人が現役で使っている平屋の住居のようなものがありました。
更に真新しい車もその横に停まっていて、もう明らかに今人がここにいることは間違いないという状態でした。

先輩と相談タイム。どう考えてもこの廃墟と無関係とは思えない立地に、誰かが居るということで、話を聞いてみたいという流れになりました。

なんならそのまま滅茶苦茶に怒られるくらいの可能性は全然あったわけですが、好奇心とリスクを天秤にかけた上で好奇心に傾いたのでした。
(怒られた場合の言い訳も考え、最悪走って逃げられるだろうと思っていました)

インターフォンを押そうとしたところ、押す前に家の窓が開きました。
「何してんだお前ら」
おおよそ60代くらいの男性が若干凄むように窓から出てきました。

大学のオカルトサークル所属だと説明し、この廃墟について話を聞きたいということを説明すると案外あっさりと聞き入れて貰えました。
おそらく同じようなことが何回かあったんだろうと思わせる慣れた調子で、その男性は話を聞かせてくれました。
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内容をざっくりまとめると以下の話でした。
・この廃墟は三人家族で使っていた、家族は母父息子の構成
・あの建物を使っていた家族は全員存命(時間が経ってるので、今は違うかも)
・家族の息子さんの方とは知り合い。
・別荘兼別の何かの用途で使ってたんだと思われる(常時住居として使ってはいなかった)
・何故鉄格子がついているのか ⇒ 家族の父に当たる人物がカタギではなかったようで
二階部分で賭博行為をしていたため、警察が玄関から入ってこざるを得ないように鉄格子をしたんじゃないかと思う(これに関しては憶測で、実際どうだったか確証なさそうでした)
・どうして廃墟になったのか ⇒ 当時は暴走族が多かったこともあり、使っていない季節に暴走族が来て荒らしていくことが度々あった。その度に持ち主が修復していたが、時期に持ち主が折れて完全に建物を使わなくなり、荒れ放題になった。
・何故撤去しないのか ⇒ その話はあったが、持ち主が撤去費用を出せるほどお金がないし
『ホワイトハウスを守る会』とかいう変な会もあってそのままになっている
・管理的なところはある程度自分でやっていて、廃墟への通り道は少し草を刈ったり木を切ったりしてきた人が怪我をしないようにしている
・噂で色々ある話は全部あり得ない。人が死んだ家ではないし、そもそも全員存命。
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元より噂を信じていたわけではなかったものの、根も葉も土も無いような話が噂として広がっていたということが分かりました。

詳しく話してくれたことに対して感謝の意を述べ、その場を後に
心霊スポットとされる場所に行ったのは初めてのことで、その上場所のことを詳しく知る人の話を聞けたというのはそれなりにラッキーなことだと思います。
帰り道。車の中で先輩と話しながら、謎の達成感と爽快感があったことを覚えています。

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私が懐かしいと思うきっかけとなった動画はかなり最近のものですから、結構な時間が経過したにもかかわらず実際の話というのは本当に浸透しないんだなと思いました。(知った上でそれを動画に出していないだけかもしれないですが)

ふと、私たちと同じようにこの事実に辿り着いた人たちはそう少なくないであろうということに思い至りました。少なくないその人たちの内の何人かは、その内容を何かしらの形でインターネット上に残してるんじゃないか?

気になって探してみると結構あっさりと見つかり、今年の5月ごろにyoutubeに動画として投稿されているものを確認できました。こちらの方がより信憑性の高い情報を得ることが出来ます。
(直接リンクを載せていいのかわからないので気になる方は「持ち主 ホワイトハウス」でyoutubeの動画検索をして、視聴してみてください)

動画内で情報提供している人物は私たちが話した人物とは別人で、現在の所有者である息子さんが話していました。
動画内で所有者を名乗る人物から語られる内容はおおよそ私が聞いていた内容と一致していましたが、いくつか違う部分もありました。家族構成、父親の職業、鉄格子を付けた理由が実際とは異なっていたみたいです。やはり人の話というのは適当なものです。

ここまで書いておいてなんですが、私個人としては心霊スポットを心霊スポットたらしめるのに事実は特に関係ないと思っています。
特に何のいわれのない場所・建物でも、誰かが言い出して、それをそうだと思いたい人が増えていくことでそこは心霊スポットになっていくとすれば、人の信仰が場を作るという意味では、神社とかの宗教関連の施設にも近い要素があると思います。こんなことを書くと怒られそうな気もするのでこれ以上はやめておきます。

もしそういった場所に行くことがある場合は、人に迷惑をかけない範囲でルールを守って楽しくデュエルの精神で楽しみましょう。

注:この日記は廃墟や心霊スポットに行くことを推奨するものではありません。
※1 特に名前を伏せる気はなく、なんかそれっぽい表記にしたかっただけです。

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