冬の夜に書く。

ストーブの淡いオレンジ色が、夜の色に染まった天井をぼうっと照らしていた。
一時間おきにセットしたタイマーがカチリと音を立てて、ストーブの電源がオフになる瞬間、薄暗い部屋の明るさが、熱源の明るさを差し引いた分だけ減る。大体、三分の二くらいになる。

外気がカーテンと窓の隙間から滑り落ちるようにひんやりと漂っていた。布団に仰向けの姿勢で横たわり、両腕を出してスマートフォンの液晶画面をなんとはなしに眺めていると、数分のうちに肩と二の腕が冷たくなった。パジャマの上に薄いダウンベストを着込んでいるけれどまだ足りなくて、毛布と羽毛布団をごそっと被った。
外気温が氷点下に近い夜には、寝室でも手首にアームウォーマーを装備している。首元も冷えるので部屋用のネックウォーマーを着けている。

だんだんと腕がだるくなってきて、ムクリと起き上がる。布団の上へ広げておいた半纏にごそごそと袖を通して、少しの間、座っていた。人差し指でタッチパネルを操作する。手元の青く淡い光が、私の胸元から顔の辺りを下から照らした。noteのテキスト作成画面を開いたり、Googleドキュメントを起動したり、或いは双方を行き来しながら、しばらく書き進める。

ふと液晶画面の右隅に目をやると、電池残量が15パーセントを切っていた。布団の脇の充電器を手探りで繋ぐ。

時折、文字の輪郭がぼやける。最近、寝室にいるときにも眼鏡を掛けることが増えてきた。文字を継ぎ足すように書き進めて、再び寝転がる。部屋が寒くて顔がひんやりする。特に鼻と目。口元が隠れるところまで羽毛布団を被ると、冷えてこわばった体が仄かにゆるんだ。

これが私の布団の中での執筆環境。こういう風に冬の夜を過ごしている。

カチリとタイマーのスイッチが鳴って、熱源が点り始めた。眼鏡を枕元のケースに戻して、少し眠る。

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