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早期退職の割増退職金はどのように設計されるのか、その金額の相場は?

こんにちは、ひよこです。

最近、連日のように早期退職や希望退職募集という記事が出ていますが、これまで慣れ親しんだ会社をやめてまで応募するメリットは、ずばりお金です。

通常の退職金に加え、割増金という優遇を受けられるわけです。

今回は、その割増退職金の相場感や、どのように金額が決められているかという設計方法について書きたいと思います。

給与の差額を補填する


一つ目の設計方法は給与の差額補填という考え方です。

例えば今の年収が1,000万円だとして、早期退職し再就職した場合に想定される年収が600万円だとした場合、400万円の差が生じますね。

この差分の400万円を何年分補うかという事になりますが、だいたい2年〜3年分くらいが相場です。

現年収(1,000万円)−再就職年収(600万円)×補填年数(2年)=割増退職金(800万円)

したがって、現年収が高い業種(金融や商社や医薬)ほど割増金の額は高くなり、現年収が低く再就職してもほとんど給与が変わらない業種(飲食や小売)ほど割増金の額は低くなります。

人件費の削減額に対する費用対効果


二つ目の設計方法は費用対効果の観点です。

ここでいう費用とは割増退職金にあたり、効果が人件費の削減金額になります。

例えば早期退職を100名募集して、一人当たりの年収平均が800万円だとすると、ざっくりですが年間の人件費削減額は8億円になりますね。

早期退職費用を1.5年で回収しようとすると割増金の総額は12億円になります。

早期退職費用の回収年数(1.5年)×人件費の削減見込み額(8億円)=割増金の総額(12億円)

この総額12億円を早期退職の募集人数で割ると一人あたり1,200万円になります。総額を先に決めて、募集人数に分配するという考え方ですね。

また、割増金総額に関しては当然、そもそものお財布事情もありますので、キャッシュがなく倒産寸前の会社などは低くなるわけです。

過去に実施した早期退職の割増退職金額


三つ目の設計方法は過去に実施した早期退職の割増金額を基準にする方法です。

実際に早期退職を実施する企業の7割〜8割の会社は以前にも早期退職を実施した経験があります。

前回の早期退職の時は1,000万円だったのに、今回は500万円だとすると、損した気分になりますよね。

逆に前回よりも金額が上がったとしたら、次回はもっと上がるかもと期待し、手を上げるのをためらう人が増えるかもしれません。

ですので、前回と同様の金額かもしくは少しだけ下げる程度で設計する事が多いです。

また、上場企業の約50%が、福利厚生として恒常的な早期定年制度を持っています。早期定年制度でも割増退職金を受け取れるので、その額を基準として上乗せする場合もあります。

割増退職金の相場


では最近早期退職を実施した会社の一人あたりの割増退職金の状況をみてみましょう。

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こうして見ると、各社バラバラで相場というものはないことがわかると思います。

財務基盤がしっかりしている会社や再就職時の年収格差が大きい製造業の水準が高く、逆に年収格差の小さい飲食業や業績が著しく厳しい会社の水準が低くなっています。

会社が潰れるかどうかの厳しい状況で施策を実施するよりも、ある程度余裕があるうちに戦略的に実施する方が良い条件で募集を募ることができということですね。

https://hiyoko343.com/


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