夫が好きだと気づいた日
夫とは高校生の時に出会いました。
一年生の時、窓際で友だちとお弁当を食べていると毎回上からピシャッと冷たい水のようなものが落ちてくるのです。
(一年生のクラスは一階と二階に分かれていました)
毎日のことなので、一体だれが何を落としているのか、ちょっと文句を言いにいってこよう!と3、4人の友だちと二階のクラスに行きました。
私たちが座っていた場所の上あたりには野球部の男子が数人集まってお弁当を食べていて。
「毎回何か落ちてくるんだけど、なに?」って聞くと数人の男子が夫を指差して、「あっ、陽だろ!」って言うのです。 (陽は仮名です)
お茶をのんで、最後にコップを閉めるときにパッパッと窓際からコップを振っていたようです。
みんなに笑われながら「おい!陽、謝れよ~」って言われてるのに、ものすごく無愛想に目も合わさずペコッと頭を下げただけで、周りの男子が「ごめんな~」とその場の空気をほぐしてくれました。
毎回あのお茶の残りがかかってたんだと思うとすごく腹がたって、「なに?あの子!」って言いながらプリプリ怒って階段を降りクラスに戻った記憶があります。
今思うと、私もなかなか気が強い女子だったなぁと思いますね。
それから廊下ですれ違うと、「あ、あの嫌な子だ」と思っていました。
夫も、「あ、怒りにきた子だ」って思っていたそうです。
そして高校2年生でクラス替えになり、なんと同じクラスに…。
そして、まさかの前後の席。
プリント回すのも後ろ向いて渡さないといけないし、そのうちに挨拶程度の会話を交わし、まぁそんな悪い子ではなさそうだなぁと思うようにはなりました。
そしてすぐに修学旅行があったり、行事があるたびに私たちのクラスは男女ものすごく仲良くなったのです。
もちろん、夫ともすっかり仲良くなっていました。
ある時、教育実習の先生がお別れの時に何故かお花とお守りを渡すという事になりました。
私は神社に近かったので「明季が買ってきて~」と頼まれてお守りを買う役に。
その時に野球部の男の子に、ついでに一個買ってきてほしいと頼まれました。
お姉ちゃんに渡すお守りらしくて、「うん、いいよ」とその子のお守りも一緒に買いました。
そのお守りを渡すのが部活が終わった後になってしまい、野球部が集まってガヤガヤしていた部室前でその子を見つけて、手招きして少し離れた場所でそのお守りを渡していた時でした。
そこへ、何故か夫が横切りチラッとお守りを渡している私たちを見たのです。
ただ頼まれただけで、何もないその子とのやりとりを「あ!なんか変に誤解されたかも~」とものすごく焦ってしまい、お金ももらわずに走って逃げました。
今から思えば余計に怪しまれる行動ですよね…。
次の日からやたら夫と目が合う…。
いや~誤解を解きたいとは思うものの、何か喋ってもお互いその話には触れず。
お守りを渡したところを見られたあの時、「あ~私は陽ちゃんが好きなんだなぁ」と気づいたのです。
後から、夫にあの時のことを聞いた時、夫も「え!なんで?」と複雑な気持ちになったそうです。
そんな昔むかしの、懐かしい可愛い思い出のひとつです。
お昼に購買でパン屋さんが売りに来てくれるのですが、みんなお弁当を持っていっていても、食欲旺盛な高校生は、みんな走って買いにいきます。
お目当てのパンはいつもすごい勢いで走る男子に負けてしまう…。
今日こそは!と走っていったけど、買えなくてがっかりしてると、陽ちゃんがポイっと私の手にパンを投げてくれることが続き。
周りから、「明季だけずるい~!」と冷やかされながら食べたカスタードのクリームパンの味を思い出します。
最近、「あれ、私何探してたんだっけ?」なんて忘れることが多くて。
夫は老眼がすすみ…。
お互い歳とったね~なんて言い合うことばかりですが、あの頃のことは案外忘れていないものですね。
今日は強い風の中、高校生の男の子と女の子が向かい風に向かって笑いながら自転車をこぐ姿を見て、向かい風であんなに楽しそうに笑えるんだなぁ、可愛いなぁ~と、信号で止まっていた車の中から見ていました。
だからでしょうか…
自分たちの高校生のあの頃を思い出しました。
お互い歳はとりましたが、呼び方だけはずっとあの頃のままです。
時々、なっちゃんが私の真似をして、じぃじのことを「陽ちゃ~ん」と呼びます…笑
辛い、悲しい経験が多かった私の人生だけど、夫と出会ったあの頃、高校生の私は本当に毎日が楽しくてキラキラしていましたね。
身元がわからないのをいいことに、恥ずかしげもなく書いてみました。
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