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【COTSCREW】暗闇の中の、眩い光🇳🇵

今日、21歳になった。
20歳の最後は新潟を離れ、合計20日間の旅に出た。

限りなく日常に近い今日に、昨日までの旅は夢だったんじゃないかと疑う。
意識が日常に戻り切る前に、尊い記憶を手繰り寄せながら書いていく。


世界が見たくなった

今回参加したのは旅するエンターテインメント集団LESWORLDの海外ワークショップ。
18人のキャストと、29人の子どもたちを愛し抜く10日間を過ごしに、異国ネパールの孤児院へと向かった。

小さな世界で生きている自分のちっぽけさに気づき、まだ見ぬ世界を知りたくて参加を決めた海外ワークショップ。
日本という小さな島国を初めて跨ぐ最中、世界は海と空と大地で出来ているという当たり前の事実に気づき、国境を越えた先には、ただそこにいる人たちの暮らしがあると感じてから、自分に戸惑うほど目の前の景色に動じなかった。

異国の風を五感で感じながら、私はこれから何に心を動かされるんだろうと漠然と思っていたタメルでの2日間。
赤ちゃん連れの物乞いの人や日本に憧れる同世代の子たちと出会い、少しずつ自分の中の歯車が回りだしていく感覚が分かった。


愛し抜いたバディ

キルティプルに移動していよいよ孤児院COTSへ。
10日間のWSでは、溺愛し、特別扱いするバディがいた。

私のバディはアーティとマヌマヤの2人。
バスから降りてきたときから気になってずっと目で追っていたアーティ。
遊びのチームで一緒になって、強いハグで私のところに来てくれたマヌ。
私たちの絆に、多くの言葉は要らなかったね。

こんな感じでずーっと私の両脇にいて、ずーっとハグしてた
リリィと呼ばれていたアーティの好きな花。プレゼントしてくれてありがとう

彼女たちのこと、多くは書かない。
ただ、私1人では立ち向かうことが出来ない世界の揺るがぬ真実に、ひどく絶望した。
ベッドの上でひとしきり泣いた後、「絶対に私のバディを愛し抜く」という強く固い覚悟が生まれた。

結果としてそれは私の手だけでは無く、キャストのみんなが叶えてくれた。
胃腸炎に罹り、ぐるぐるのお腹と脱水症状と闘いながら部屋に籠っていた時間、みんなが私のバディ2人の心の鎧を溶かしてくれた。
最初にコワい顔をしていた圧倒的シャイな2人はどこへやら、マヌはコロコロと表情が変わり、アーティは優しく柔らかい笑顔になった。

ありがとう、みんな無しに私のバディ2人は愛し抜けなかった。

爆笑するマヌと私、何にこんな笑ってたんだっけ笑

そして、その心の解放は、明確な意思を持って世界に表れた。

今回のWSテーマソング『Evergreen』
みんなで創るショーケースの、オープニングとエンディングを彩る曲。

バディのアーティは踊ると人が変わる。踊る喜びが全身から溢れ出す。
いつも1番後ろで、それでも楽しそうに踊っている。

私は、私のエゴでアーティにソロダンスを踊ってほしかった。殻を破ってほしかった。私は、10日間しかここにいれないから。これから先、彼女の側にずっといることは出来ないから。

最初は「NO」って言ってた。私もどうしようって顔をしてたと思う。
そしたら、周りのキャストが言葉をかけてくれた。
「Your dance is so nice!」
「You can do it!」
その言葉たちに背中を押されたアーティは「YES!」って言って駆け出して行った。
雛鳥が初めて空を飛ぶ瞬間。
嗚咽と一緒に、涙が溢れた。

一生忘れない瞬間の1つ。こんな光景を、たくさん創り続けたい。

本番までの数日間、アーティは体調を崩して寝込んでた。辛そうだった。私も知ってるもどかしさだった。
当日のチームパフォーマンスも出れない、起き上がって見に来れるかどうかも分からない。
泣いても笑っても最後の日、過ぎ行く時間がただただ虚しかった。

でも、アーティは来てくれた。『Evergreen』で踊ってくれた。
オープニングでは「無理!」って言って途中で帰ってきてしまったソロダンスも、「You can do it!」と伝えたエンディングでは最後まで踊り切ってくれた。
他のキャストが彼女の名前を叫ぶ瞬間、ここに来て本当に良かったと心から思えた。

あなたたちが私を思い出すとき、私はいつもあなたたちの幸せを願っているよ


この世界の中の、自分の役割

「表現者でいる」「今を生きる」と宣言した今回のWS。

感情を込めることを恐れずに踊った。
やらない理由ばかり探してずっと描いていなかった絵も、朝の準備時間に色と言葉を選んで、両想いだったシークレットバディに出来る限り送った。
走り抜く先の未来を見て、今の自分の身体と向き合った。

願わくば、夜更かししてもっとキャストのみんなと話したかった。
同じ温度のもどかしさを一緒に抱えて、もっと分かち合いたかった。
行動で自分の想いをもっと示したかった。

やり残した事は正直ある。
もっともがけたら、って。
身体がそれを許さなかったのがもどかしかった。

でも、愛し抜けたから。後悔はしてない。

ベッドから見る朝焼けがずっと綺麗なの、記憶に焼き付いてる

帰国後、旅の最後に大好きなアーティストの展示会に行った。
そこで、「生きとし生けるものは魂において平等である」という死生観に触れた。

「平等」に続く枕詞が、「人間」や「命」であることにずっと気持ち悪さを持っていた。だって、人は生まれながらに不平等だから。
でも、こんな不条理な世界の中で、魂は平等であるという考えはスッと自分に落ちてきた。

私には、愛すべき感性と表現がある。
人に作用していく心と力がある。
私の凹みは、誰かの凸っぱりに助けてもらう。
世界中どこにいても、私の魂の使い道はきっと変わらない。

立ち竦むほど心が揺らぐ表現を、私もしていきたい


禅の言葉に「自灯明(じとうみょう)」という教えがある。
自らを灯明(ひかり)とせよ。先の見えない暗闇の中でも、自分自身を燈火として道を照らして歩いてゆけという意味の言葉。

WS中に「燈」というテーマを聞いたとき、無意識に自己以外の他に意識を向けていた。
でも、眩い日々を思い起こす中で感じるのは、本当の燈は自分自身なのではないかということだ。

泣いてもいい。それは弱さではなく、涙を流せる強さの証だと信じてる。

風の谷のナウシカにこんなセリフがある。
「いのちは 闇の中のまたたく光だ!」

もがいて、燃え続けて生きる。
あなたの存在自体が、あなたの人生の光なのだということを、私は声を大にして届けたい。


Change the World

チームパフォーマンスのテーマ、「Change the World」
湧き出てきたのは、「この世界に対する理不尽や深い怒りは何か?」という問い。

「We can change the world!」
「For my buddy! You, too!」

内に祈るだけでは、世界は変わらない。
だから、叫んだ言葉が嘘にならないように、行動で示していく。
死ぬこと以外、臆することは何一つ無い。

パフォーマンスチームのみんな、ありがとう


かけがえのないCOTSCREWのみんな、子どもたち、旅で出会ったすべての人たちに、言葉に出来ないほど大きな愛を送ります。
出会ってくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
愛させてくれてありがとう。

もっと強く、優しくなった自分で、世界のどこかでまたみんなと会いたい。いや、会いに行く。

2024.3.18

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