うつ病の話 《その1》

30代半ば。

てきとうに仕事して、てきとうに遊んで。
ストレスはあるものの、そんなの誰だって多かれ少なかれあることで、だから特に負荷を感じていなくて。
仕事から帰ると、お弁当やら翌日の支度だけして、てきとうに運動して、お風呂はのんびり半身浴。
私の夜はそれからで、ゲーム三昧になる。

23時、24時。まだまだ序の口、ゲームもノッてきた。

深夜2時、3時。このままじゃやめられない! 大丈夫、今から寝ても3〜4時間は眠れるじゃないか! (←おかしい)

そして2〜3時間の睡眠を経て、仕事へ向かう。

ある時から、帰宅してすぐに、上着も来たまま、バッグも持ったまま、靴だけ脱いでベッドにダウン。そのまま1〜2時間、身動きが取れない。

そんな日々を続けていたら、朝起きて、ベッドから立ち上がるのと同時に、膝から崩れ落ちた。強烈な目眩で、数メートル先のトイレへ行くのにも、這わないと行けない。当然欠勤。

その日から、何もかもが思うようにいかなくなった。
大好きなゲームもしたくない、音楽も聴けない。テレビはアニメしか観られなくなった。ワイドショーやニュースはどんな話題も自分を責め立てるし、ドラマは考えないといけないから。
いつ起こるか分からない目眩があるので、外に出られない。

ああ、何やってるんだろう?
寝てばっかで、支出あるけど収入ないやん。

生きてる価値、なくね?

死んだら、死亡保険おりるよね。
死んだほうが価値あるんじゃね?

あー………死にてぇ。

布団の中に丸まって、日がな一日眠る。

目が醒める。

価値ないわー。死にたいわー。

内科、耳鼻科を周る。
MRI、CT、あらゆる検査を受けるが、異常なし。

なんとなく、精神科へ行くべきだと思いが至る。
でも、精神科を受診して「大丈夫、なんともないですよ!」と言われたら? それこそ、逃げ道が塞がれる。それが怖い。

けれどある朝、死にたいと思う脳内で、同時に警告音が鳴った。

多分、限界。

事前に調べていた心療内科に即電話をすると、偶然にも予約に空きがあり、直ぐなら診てくれるという。

「正常な、うつ病の症状です」

ヘンな言い方をされたけど、とりあえずはひとつ、ほっとできた。
薬局で事務さんに

「頑張った人がなる病気。よく頑張ったね」

と、言われて、泣きだしてしまった。
そうか、泣きたかったんだ、と思った。

けど、本当に大変なのはそこからだった。

#自己紹介

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?