OpenSeaのオファーやオークションではWETHしか使えないのはなぜ?
おはようございます。🐤
今日もコミュニティであった質問に答えていきます。「OpenSea売買する時はETHが使えるのに、オファーやオークションではWETHしか使えないのはなぜ?」という質問です。
確かに、WETHってなんじゃ? ぜんぶETHで買えたらいいのに不便ですよね。たまによくある質問なので、僕はこの答えを2種類用意しています。
ひとつは「すぐに買えるものはシンプルにETH、オファーやオークションなどすぐに買えなくて契約手続きが必要なものはWETHという使い分けなんですよ。WETHは取引をプログラム化できて便利だけど、ちょっとだけ余分な手数料がかかるんです」という説明で、もう一つは長い説明です。
これからこの記事で説明するのは長いバージョンです。なぜならこの質問をした人がNFTを愛する高校一年生で、NFTの世界にワクワクを感じていらっしゃるからです。そのあふれるモチベーションがあれば、たぶん僕のうざくて長い説明も受け入れてくれるはず。
というわけではりきっていきましょう!😊
めんどくさいからETHだけでいいじゃん!?
さて、ETHだけではOpenSeaの便利な機能をすべて使うことはできません。なぜならETHはスマートコントラクトでは使えないことがあるからです。
イーサリアムのETHがスマートコントラクトでは使えない!?
耳を疑いました、でもそうらしいのです。僕も調べながら書いていきますので一緒に考えていきましょう、歴史をひもとくと「そんなもんかな」と思えるかもしれません。
というわけで、OpenSeaの話をするために、その土台であるイーサリアムの歴史をひもとくことから始めてみます。
イーサリアムの歴史
イーサリアムは2013年に当時19才のロシアの若者「ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)」さんが提案したものです。2015年7月30日に最初のβ版がリリースされました。
ブテリンさんって「ゆきりん」みたいで、なんとなくかわいくて呼びたくなる名前ですよね。あだ名じゃなくて本名なんですね。大舞台でも基本Tシャツです。ルックスもめちゃかわいいですよね。当時19才の学生ですからね。
イーサリアムというのはブロックチェーンの名前で、そこで使うイーサ(ETH)というのが暗号資産の名前です。
つまりブテリンさんは、新しい暗号資産を考えたというよりは、イーサリアムという新しいプラットフォーム(サービスの基盤)を考えたんですね。
イーサリアムはETHの送受金ができるブロックチェーンなのですが、もちろんそれだけでなく、暗号資産をもっとプログラム可能にして、ブロックチェーン上に記録を残しながら契約手続きの自動化ができるようにしたというのがこれまでの暗号資産にはない画期的なところでした。
「なるほど、自動売買、つまり証券会社のシステムみたいなものか。じゃあビットコインを取引所のシステムで買うようなイメージかな、あれ人が手動でやってないよね。ふむ、イーサリアムとは取引所とビットコインをひとまとめにしたようなものか」
あれ? ということはイーサリアムの何が画期的なのでしょうか?
イーサリアムが画期的なのは、そのシステムが「誰でも作れて」「誰でも使えて」「誰からも丸見え」であることです。
取引所のシステムは取引所が作っていますよね、サーバーコンピュータを用意してネットワークと接続し、そこで動くプログラムも自分で開発しています。もちろん僕たちはそのサーバーにも入れないし、プログラムの中身も見ることができません。
イーサリアムは、みんなでコンピュータを持ち寄って共有し、取引履歴を記録した台帳をみんなで管理・運用します。そしてそこで動くプログラムを誰でも自由に作ることができて、誰からも使えるようにできる代わりに、誰からも丸見えになるシステムなのです。
ここまで、まとめると次のようになります。
イーサリアムの基軸通貨はETH
イーサリアムではETHを送受金することができる
誰でも自由にプログラムを作ることができる
こんな考えでイーサリアムは2015年7月に公開されました。イーサリアムのことについて、だいたいわかりましたでしょうか。
トークンとは
次に「トークン」の説明にいきます。トークンとは、ブロックチェーン上で何かを表現するものです。
「何かを表現」とはすごくふわっとした言い方ですが、要するにお店で買い物をした時にもらえる「ポイント」とか、ファンクラブの「会員証」とか、ゲームの「アイテム」など、イーサリアム上で表現しようと思うものはなんでも「トークン」として作ることができます。
イーサリアムは、この「トークン」をやり取りすることを自動化することで、世の中を便利に変えようとしました。
この自動化できるプログラムのことを「スマート・コントラクト」といいます。
直訳すると「賢い契約」ですが、ここでいう「スマート」の意味は「スマートフォン」の「スマート」の意味をイメージすると近いと思います。なんでもそつなくこなす的な。
そんな、「なんでもできる」レゴブロックのようなトークンを使って、とりあえずなんでも作り始めようとしたのですが、すぐに壁にぶちあたりました。
「自由すぎてカオス」
トークン標準規格(ERC-20)
このようにイーサリアムのトークンはほんとに自由で、なんでも作れるんですけど、せめて、トークンの性質、名前や数量の決め方、単位、送金のしかたくらいは揃えようよ、そうしないと混乱しちゃうよね、という話になりました。(あたりまえ)
そこで考えられたのが、トークンの標準規格です。イーサリアム上の暗号資産は「ERC-20」という規格に準拠すれば、アプリなどでトークンを交換とか送金する時にスムーズにいきますよ、というものです。
ちなみに、イーサリアム上のNFTのトークンの標準規格は「ERC-721」とか「ERC-1155」などいくつかあります。そう、NFTもトークンなんですね。
このERC-20という規格が考えられたのが2015年の11月、実装は2017年と、イーサリアムが始まってからずっと後の話で、もしこの順番が前後していたり、ブロックチェーンの開発と同時にトークンの標準規格が考えられていたら、ETHでも使えるようになっていたかもしれません。
ここまでで何が言いたかったかというと、要するに標準規格ができる前からETHはあったということです。もちろん新しい標準規格は便利に作るんだけど、もとからあるものを変えることが難しかったんだと思います。
OpenSeaの支払い方法
さてようやくOpenSeaの支払い方法の話まで来ました。ここまで3行で要約すると、
イーサリアムは自動プログラム化ができる
それには2017年に実装した「ERC-20」というトークンの標準規格が便利
でもその前からあったETHはその標準規格に沿っていない
ここらへんでようやく半分くらいでしょうか、まあまあ進みました。それにしても話長いですね~、口調うざくないですか? うざいと思われたら、「うざいよ」という代わりに「お父さんっぽい口調ですね」と優しく言っていただけたら察することができますので、できたらそんな感じでお願いいたします。(もし「ありがとうございます~😊」とか言って全く気付いていない様子だったら、「やれやれ…」とあきらめてください)
というわけでOpenSeaのマーケットをイーサリアム上で作ることになりました。NFTのマーケットプレースというサービスは、NFTの取引を仲介することが基本です。
メルカリみたいなもんで、NFTの出品者からNFTを預かり(引き出し許可)、購入者から購入代金を預かり(引き出し許可)、安全な売買ができるよう仲立ちをするプログラムです。
その購入代金の支払い方法として、イーサリアム上なのでもちろんスマートコントラクトで自動取引するのですが、何で支払うかを決めないといけません。
あまりマイナーなトークンで売り買いするのもあれなので、基本はETHで売り買いをすることを考えたのだと思います。誰もがもっている基軸通貨だから順当ですね。
だから、NFTを「Buy Now」で売買する時、つまり買い手が自分の意志でクリック(メタマスクがポップアップし、確認を求められます)することで、「Transfer」命令を出し即時に取引が完了します。
次に、ちょっと便利な「オファー」形式(購入希望者が価格を提示して、売主が了承したら取引が成立する)とか、「オークション」形式(売主がNFTを出品しておいて、購入希望者が価格を釣り上げていく)で販売する時は、取引成立時点で買い手がその場にいない場合があります。
このような取引では、買い手から「Transfer」命令が出せないため、「TransferFrom」と「Approve」という「引き出し許可」の契約をしておくと便利です。これは「ERC-20」で使える便利な決まりですが、ETHの支払いには使うことができません。
だからWETHが必要なサービスがでてきてしまうのです。
な、長かったですね。(;^_^A
どうですか、なんとなくわかりましたでしょうか。
つまり、基本的には誰でも持ってるETHで支払いできたらいいんだけど、一部の便利な自動支払いサービスが使えない。なぜならETHはERC-20トークンではないから。だからしょうがなしにWETHで支払いをしてね、WETHに交換する時にちょっとだけガス代かかるけど、便利なんだから我慢してね、ということでした。
WETHへの交換手数料
WETHへの交換手数料は、通常のDEXでの交換と違って、交換手数料は必要ありません。1 ETH=1 WETHで常に交換できます。
ETH⇒WETHに交換することを「ラップ(wrap)」といい
WETH⇒ETHに戻すことを「アンラップ(unwrap)」といいます。
交換手数料は(基本的には)不要ですが、ガス代は必要です。最小限なので、ガスリミットはおよそ21,000で、その時のガス価格を掛けるとだいたいの見積もりはできます。
最近だとガス価格が30 Gwei前後のことが多いので、およそ630,000 Gwei=0.00063 ETH=約1ドルくらいのことが多いと思います。
ガス価格の確認はこちら⇒Ethereum Gas Tracker | Etherscan
まぁ、OpenSeaがユーザーの代わりに自動でWETHに交換してくれてもいいような気はしますよね。しかし今のところのブロックチェーンの文化では、計算とかトークン交換とか自分でやってよね、っていう風潮です。便利なサービスに慣れきっている僕たち日本人にとっては、なかなか風当たりは強いといえます。
なるほど…それならWETHだけでいいじゃん!?
「ETHではできないことがあることはわかった、でもそれならWETHで統一してよ。別々だとめんどくさいんだよ!」
という声もあると思います!
しかし、単純にWETHに交換するにはガス代がかかってしまうのです。
「売買だけするならWETHに交換しなくてもいいのに、なんでわざわざWETHに交換しないといけないのよ!」
という声とのせめぎ合いだと思います。確かに、基本はETHは基軸通貨だから誰でもスタートはETHからなのであって、その場で売買するだけならWETHへの交換は不要なので、まぁ…。
そんなこんなで、いろいろあって、このようなサービスに落ち着いたんだと思います。
まとめ
買い手がその場でウォレットを確認し、すぐ支払いできる取引はETH
オファーやオークションなど、買い手がその場にいなくても取引が成立するものはWETH
このような使い分けになります。
理由としては、WETHは「ERC-20」というトークン標準規格に準拠しているので、「自動支払い」などの便利な命令が使えますが、ETHは準拠していないからということでした。
というわけで、めんどくさいけどWETHとはちょっとうまく付き合っていくしかないのかな、って感じです。
今日の記事が参考になりましたられうしいです。
それではまた、DeFi~(@^^)/~~~
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