ビットコインは税率が高すぎて手が出ない…と思っている人向けの出口戦略案
おはようございます。🐤
「ビットコインは税率が高くて…」
そんな理由でビットコインに手を出すことをためらっているあなたに贈る「出口戦略」の案です。
まず、投資にかかる税金
ビットコインの前に、一般的な投資にかかる税金について説明します。
投資して、利益がでたらその「利益分の約20%」が税金としてとられます。大事なところは「利益分」つまり「売った額-買った額」の部分に税金がかかるというところです。
これは税金の基本中の基本です。
株式、投資信託、金などの投資口座の資産を売った時の利益は、「金融商品」として給料などの別の税金とは別に計算します。所得税と住民税と復興税あわせて一律で20.315%です。
シンプルでわかりやすいですね。これを「分離課税」と言います。
例えば、100万円分の投資信託を買って、それが20年後に200万円になったとします。すると利益は100万円なので、かかる税金は100万円×20%=約20万円ということになり、自分が受け取れるのは約180万円ということになります。
これが投資にかかる税金の基本ですね。
為替は総合課税
例外として、ドル預金をしていてドル高による利益が出た場合は、さっきの分離課税とは違って総合課税になります。
総合課税っていうのは、お給料とか副業収入とか生命保険料収入とか、分離課税以外のいろんな収入をぜんぶ合わせて(総合)計算する枠のことです。
そして、その税金は「お金持ちほど税率が高くなる」計算方法になります。庶民の味方ですね。
よく「ビットコインは税率55%」と言われるのは、この所得税の最高税率=45%と、住民税=10%を足したものです。
ですが、この税率は、表の左の欄の額を超えた部分にかかるので、実際4000万円の税率45%がそのままかかって「4000万円×45%=1800万円」とはならないのです。
例えば課税される金額が4000万円の場合、上の図のようにその半分くらいが40%の範囲になっていて、左側にいくと5%~33%の部分もあるということです。だから実際は4000万円に45%をかけるのではない、というのが図で見るとわかりやすいと思います。
「お金持ちは投資するんだから、株の税金も総合課税の方が公平じゃないの?」
と思うかもしれませんが、そのとおりです。
でも、総合課税にするとお金持ちが投資をやめてしまいます。すると株が買われなくなって、経済が盛り上がっているように見えなくなるから、国は分離課税というものを作らざるを得なかったのです。
納得はできないでしょうけど、説明を続けます…💦
NISAは非課税
ですけど、NISAは違います。NISAの本当の名前は「小額投資非課税制度」と言って、その名のとおりこの範囲で投資する分には非課税です。
さっきの例でいくと、100万円分の投資信託を買って20年後に200万円になったとすると、受け取りは200万円全額を受け取ることができます。
この枠をうまく使えば、ドルに連動する投資信託商品(米国債ファンド、ドルマネーファンドなど)を買うことで、ドルの為替差益に税金がかからないようにすることができます。(さらっと言ってますが、けっこうな裏技です)
ビットコインにかかる税金
さていよいよ本番、ここまでが理解できてたらビットコインにかかる税金は簡単です。
現在のところ、ビットコインは金融商品の扱いではないので、分離課税にはできませんし、NISAの枠にもあてはまりません。
ビットコインの売却益はドルなどの外貨の為替差益と同じ枠で、「雑所得」というものになります。
つまり、総合課税です。
だから、一律20%ではなくて、その人のお給料とか副業とか生命保険料収入など全部合わせた「課税所得」全体に税金がかかることになります。
なので、年収500万円の会社員(基礎控除とかいろいろ控除後の所得がだいたい240万円くらい)がビットコインで100万円儲けたとすると、ビットコインの利益部分にはだいたい所得税10%+住民税10%=合計20%の税率がかかってくるので、100万円×20%=20万円の税金という計算になります。
これは、株や投資信託、金などの金融商品の税率とほぼ同じです。
収入が少ない人で、図の5%の部分にかかってくるなら、さらに税率は低くなるでしょう。
ビットコインの税率は、その人によって違うのです。
出口戦略案(ちょっとずつ取り崩す)
というわけで、これらを踏まえて「ビットコインの税率を低く抑える方法」を考えた出口戦略案です。
答えはシンプルで、「いっぺんに売らずにちょっとずつ取り崩す」です。
そうですね、今買ったビットコインを今売っても、たいして利益はでていないと思うので、みんなが怖がる「めちゃくちゃ値上がりした時」を考えてみましょう。今が1BTC=1000万円なので、20年後に1BTC=5000万円になったとします。
いっぺんに売ったら、その時もらっているであろう年金収入と合わせて総合課税になって、高い税金(実質税率で33%以上)はとられそうなことが目に見えています。
なので、ちょっとずつ売ることをシミュレーションしてみます。
モデルケース1:FIREして取り崩す
そうですね、FIREして無収入になった場合を考えてみます。
月に20万円あったら最低限の生活はできるとして、年間240万円を取り崩すこととします。
収入が240万円ですが、そのうち利益は4/5なので所得は192万円。さらに基礎控除とか社会保険料控除とかがあるのでだいたい80万円くらいの控除、課税される部分はだいたい110万円くらいになります。
となると支払う税金は、所得税が110万円の5%=5.5万円+住民税が10%=11万円の、合計16.5万円になります。
192万円の利益に対して16.5万円だから、実質10%以下ですね。これは株や投資信託などの金融資産にかかる税金よりもずっと安い! これは意外なハッピーでした。
モデルケース2:退職後に年金の足しに取り崩す
次に、退職後に年金の足しに取り崩す場合です。
仮に月に15万円の年金がもらえる人だったとすると、年金収入は年180万円。65才以上だと110万円の年金控除と48万円の基礎控除、それに社会保険料控除もあるので年金にはほとんど税金がかかりません。
となると、ビットコイン分だけにかかってくることになります。
さっきの例のように、月に20万円=年間240万円取り崩すとして、そのうち利益は192万円。税率は所得税と住民税を足して15%なので、192×15%=約29万円が税金となります。
これも株や投資信託などの金融商品にかかる税率(20%)よりも安いのです。ビットコインは収入の低い人に優しい資産なのかもしれません!😊
注意点
ただ、ひとつ注意があります。それは相続税。
1000万円で買った1BTCが5000万円に値上がりしたとして、4000万円の含み益があります。
もし、このBTCを取り崩さずに、その人があっけなく亡くなったとします。
すると、その妻や子に、まず5000万円分の相続が発生します。なので、5000万円に対する相続税がかかってきます。
具体的には、5000万円-4200万円(基礎控除)=800万円
この800万円が課税対象になるので、下の表で計算すると
800万円×10%=80万円の相続税を支払うことになります。
なんだ、大したことないじゃん、と思うかもしれませんが、そのビットコインを売った時にまたさらに「所得税+住民税」のコンボがかかってくるので、「二重課税じゃないか!」と憤りたくなりますが、これは今のところ現実です。
というか、これはビットコインだけではなく、外貨はみな同じです。今日本円が安いので、外貨預金している人は危ないかもしれません。
相続税を支払った分は控除してあげるよ、という制度もあるにはあるのですが、現在のところビットコインには適用されません。なんでや…
まとめ
というわけで、ビットコインの出口戦略は、「気長に、ちびちび取り崩す」のが吉というのが今日の案です。
要するにビットコインにかかる税金は「累進課税」という「お金持ちに厳しい税制」で計算されるので、目立たないようにちびちび売れば、そこまで税金は高くないのです。
一点だけ、相続税には少し注意する必要があるのですが、そもそも相続税もお金持ち向けの税制なので、資産が4000万未満くらいの人には無関係と言えます。
結論:庶民のビットコインにかかる税金、恐れるに足らず
というわけで、それではまた、FP~(@^^)/~~~
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