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何も知らないFPがフィナンシェのお金の流れを想像してみた

おはようございます。🐤

フィナンシェというクラウドファンディングのサービスが世間を賑わせています。

その火付け役はイケハヤさん。

イケハヤさんは私の仮想通貨の大先生。この人からDeFiを学ばなかったら今の私はありませんでした。お金にも投資にも、FPにもきっと興味なかった。

その投機性が話題を呼び、キンコン西野さんも連日フィナンシェを意識した「報酬がある方がいいのか、それとも無い方がいいのか」を皮切りとした一連の発言があります。西野さんは応援トークンに価値がつくことに懐疑的な立場です。

私はまた別の立場で、「お金の流れ」一点に絞ってフィナンシェを考えてみたいと思います。


フィナンシェ熱狂の理由

普通のクラウドファンディング(クラファン)は、まず起業家にやりたいことがあって、それに必要な資金を一般から少額ずつ幅広く募って、その資金で商品なりサービスなり、やりたいことの実現をします。

そして、資金提供者は見返りとして、その商品なりサービスなりを受け取ることができます。(見返りを求めない「寄付型クラウドファンディング」もあります)

一方でフィナンシェのクラファンは、資金調達の見返りに「トークン」を発行します。トークンというのは「応援者のしるし」みたいなものです。

FP向けにすごく早くいうと株式みたいなものです。トークン自体に価値はないけど、起業家のスタートアップを支援したしるしであり、将来的にトークン保有者には、ファンの集いに参加できたりなど何らかのメリットがあったりします。

そして、そのトークンは株式のように売ることができます

ここが熱狂の重要な理由です。売ることができるのです。

プロジェクトの開始時にトークンを安く買って、プロジェクトに人気がでてくると高く売ることができ、利益が得られます。例えば単価1円で1000トークンを買って、それが100円に値上がりしたら100倍、1000円が10万円になるのです。

実際に私も1円で1000トークンを購入して、現時点の単価は400円程度なので、400倍=40万円の価値になっています。

イケハヤさんが参加してからこの側面に注目が集まり、「プロジェクトを応援したい人」だけでなく、「お金が好きなだけの投機家」も寄ってくるようになりました。

西野さんが懸念されていた一つは「投機筋が悪さをするパターン」で、プロジェクトに興味もないのに、最初にトークンを買って、高くなってから売ってトークンの価値を下げてしまうことです。これは実際にあるし、Voicyの中で語られていた「解決策(ロック期間を設ける)」というのも、まあ一定の効果しかなくてその悪さを防ぎきれてはいない現実があります。

これはフィナンシェ内だけではなく、現実世界のIPOやIEOなどでも問題になっていることで、ロック期間など設けたり契約書で一定期間の売りを縛ったりするのですが、どうしてもその期間の満了時には株価が落ちてしまう危険はぬぐい切れません。

フィナンシェの場合は90日ごとに1/4ずつロック解除ということで、その時に売り圧が高まることが予想されます。中には悪意たっぷりで「応援者」のお金を吸い取ろうとする人も。

オーナー視点のフィナンシェ(想像)

ここからは私の想像です。

参考:JBA様向け_FiNANCiE_20201130.pdf (jba-web.jp)

起業家(オーナー)は、まずフィナンシェに申請し、広く資金を調達します。

そしてその見返りにトークンを発行します。発行できるトークン数は200万トークンと決まっているようです。

つまり、○万円調達できたら、購入者にとっての1トークンあたりの取得単価は○万円/200万トークンとなります。

例えば、200万円集まったら、200万円/200万トークン=1.0円(1000円の支出で1000トークンもらえる)
400万円集まったら、400万円/200万トークン=2.0円 という取得単価になります。(1000円出して500トークンもらえる)

次に、オーナーはその収益からいくらか差し引かれます

  • フィナンシェの手数料=10%くらい?

  • トークン売買用の準備金=10%くらい?

ということで、例えば200万円の資金調達ができたとすると、20万円がフィナンシェに手数料として渡り、20万円がトークン売買用の準備金としてプールされ、オーナーに残されるのは160万円です。

手数料が高いことで有名なCAMPFIREでも17%らしいので、20%は高すぎるように思えますが、この「トークン売買用の準備金」というのが熱狂のポイントになります。

トークン売買用の準備金(想像)

これぜんぶ想像で書いてるんですよ恐ろしい。なぜ想像で書くのか、ちゃんと調べないかというと、調べてもわからないからです。DeFiの世界を渡り歩いている私がわからないということは、たぶん公表されてないんです。たぶん。

さて、オーナーは資金調達が終了すると、トークン売買用の準備金とトークンをプールに提供します。この場合は20万円(調達額の10%)と20万トークンです。

1トークン=1.0円

この交換用プールを使って、一般ユーザーがトークンを売買します。例えばトークンを売りたいユーザーが20,000トークンをこのプールに入れたとします。そうすると、一定の価格決定の計算式によって、このプールには181,818円が残り、18,182円が押し出されます。

1トークン=0.8264円

押し出された18,182円から10%手数料でとられて、ユーザーは16,364円を受け取ることになります。(手数料の一部はオーナーに渡ります)

この時、220,000トークンと181,818円は同じ価値となり、1トークンの単価は(181,818円/220,000トークン)=0.8264円となります。

🐤 ここでひとつ計算に役立つ面白いことがあります、プールにあるトークン数×円=常に一定で400億ということです。(20万トークン×20万円)

気をつけたいお金の流れ(あなたのお金は応援したい人に届いていない)

ここまででわかったことは、応援者のお金は、最大でも8割程度しかオーナーに届いていないということです。せっかく200万円を集めても160万円しか事業費として使うことができないのです。

最近のクラウドファンディングの相場は手数料=10%なので、倍の手数料がかかるイメージです。

それなのになぜオーナーはフィナンシェを使いたいのかというと、フィナンシェだと一般のクラファンよりも多くの額を集めやすいからだと思います。

そう、「お金を増やしたい」という投機家がお金を入れて、トークン価格が上がった時点で売り抜けたいのです。(これが西野さんのいう「投機家がする悪さ」です)

ちなみに、初期販売のあとでトークン価格が上がっても下がっても、オーナーが得た160万円の資金には何の影響もありません。だから投機家はべつに好きに売買してくれたら良いのですが…、純粋に「応援したい」というファンはトークンの価値が下がると悲しいですよね。

加えて、初期販売以外=マーケットでトークンを買う人が出したお金は、いっさいオーナーには渡らないことにも注意が必要です。

誰に渡っているかというと、もちろんプールにそのお金が入って、間接的に「投機家」に渡ることになります。

トークンは追加で発行することができ、その際は「時価」で発行することができると思うので(たぶん)、トークンの価格が高ければより多くの資金を調達することができます。

なので、プールからトークンを買っても「いっさいオーナーの利益にならない」かというとそうではなく、追加トークンを発行する時のオーナーのためにはなっています。

また、トークンの取引高の一部はオーナーに入ります。ただそれも10%のうちの一部で、資料によると1.5%、ほんとにわずかばかりです。

https://note.com/financie/n/na94667bfdfaf

投機家どうしでやってくれる分には結構なのですが、ファンの方が「買い支え」をした資金が投機家に吸われてしまうのが私には耐えがたいのです。

ちなみに時価総額

フィナンシェの「時価総額」は、トークンを株式に見立てた架空の数字で、そのトークンにそれだけの価値があるという意味ではありません。

例えばこのトークンを200万トークンぜんぶ売ったとしても、プールにあるお金(約320万円)しか得られません。時価総額の7.8億円は幻想というか、特に何の意味もない数字です。

これは株式とは違います。例えば三菱UFJ銀行の株式の時価総額は18.8兆円ですが、自己資本として18.9兆円を持っています。

これは、自己資本でぜんぶの株を買えるということで、時価総額は現実的な数字といえます。(もちろん、株式でも時価総額がバブルのように膨れ上がり、実態を伴わない場合もあります)

私の思い…買い支えはしないで欲しい

これは、想像ではなく私の思いです。

「買い支え」はやめてほしい、特にロック期間の継続中はやめてほしいです。

応援したいプロジェクトに初期投資するのは構いません。80%がそのプロジェクトのオーナーに届くのですから。(スパチャや投げ銭は70%でしたっけ?)

でも、マーケットでトークンを買うと、そのお金はプールに入り、将来プールを使ってトークンを売る投機家に間接的に渡ることになります。

あなたは「応援」の思いでオーナーのためにトークン価格を支えようとしているのに、そのお金はオーナーには一切届かず、投機家に渡ってしまうのです。このお金の流れ、絶対に理解して欲しいです。

「買い支え」は、この人にあなたのお金を渡す行為です。(だって、応援したい人はトークンを売らないのですから、あなたのお金のほとんどが投機家に渡ります)

この件に関する鳥井さんのご意見。(私は鳥井さんの考えはとても好きで、いつも参考にさせていただいています)

でも今回に限っては、どうしても鳥井さんの意見に同調できません。鳥井さんはキリスト教の「右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい」の教えを例に出されています。ユダに裏切られても許し、はりつけにされて涙を流す、そのような受難を乗り越えてコミュニティは強くなるのだと。

私の理解が追いついていないのかもしれません、鳥井さんの説明を聞いていると納得してしまいそうになるのですが、私の芯がそれを拒否します。

私は視野が狭いのかなぁ…。

まとめ

想像だけでよくここまで語れたものですが、気をつけておかないといけない事実は確かだと思います。

  • あなたの応援の初期投資は、オーナーに80%しか届いていない

  • マーケットでトークンを買ったお金は、オーナーには1.5%しか届かない

  • 売買手数料が10%かかる

以上から、10%も手数料をとるフィナンシェを投機の場とすることはとてつもなく効率が悪いし、マーケットでトークンを買ってもオーナーに資金は届いていないということがわかると思います。

あと、売ったお金はすぐに口座に円として振り込まれちゃうってのも、投機がしにくいポイントです。徹底的に投機筋を排除したいフィナンシェの努力を感じます。

つまり、フィナンシェは純粋な「応援」の場(プラットフォーム)だということです。初期投資だけをしていると、その80%は確実にオーナーに届き、投機家には渡りません。

しかし、マーケットでトークンを買うと、そのお金はプールに入り、間接的に投機家に渡ります。そしてオーナーにはメリットはほぼありません。

強いて言えばお金目当ての投機家が集まることで「資金が集まりやすく」なります。ただ、投機家は頭がいいので、儲からないマーケットからはすぐに消えます。

応援したい人が「応援で稼ぐ」などと、夢にも思われませんように。このプラットフォームで投機をして儲けようと思うのは使い方を間違えていて、最初からマイナススタートなのです。

フィナンシェは「若いプロジェクト応援のためのプラットフォーム」なのです。

手数料は大事、お金の流れも大事。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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