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企画「同時に句集を読む」① 芝不器男「不器男句集」まとめ

企画「同時に句集を読む」、第一回は私を含め9人の方に参加頂きました。今回はご参加頂き、本当にありがとうございました。

今回、句集の中から、それぞれ10句選んでいただいたのですが、どの句に選が集まったのか、ざっくりと集計してみました。(ムラオさんありがとうございます)

6票

あなたなる夜雨の葛のあなたかな
かの窓のかの夜長星ひかりいづ

5票

人入つて門のこりたる暮春かな

4票

向日葵の蕋を見るとき海消えし
寒鴉己が影の上におりたちぬ
白藤や揺りやみしかばうすみどり

3票

みじろぎにきしむ木椅子や秋日和
一片のパセリ掃かるゝ暖炉かな
沈む日のたまゆら青し落穂狩
麦車馬におくれて動き出づ

2票

柿もぐや殊にもろ手の山落暉
汽車見えてやがて失せたる田打かな
枝つゞきて青空に入る枯木かな
飼屋の灯母屋の闇と更けにけり
雪融くる苔ぞ楉ぞ山始
卒業の兄と来てゐる堤かな
町空のくらき氷雨や白魚売
下萌のいたくふまれて御開帳
松過や織りかけ機の左右に風
鞦韆の月に散じぬ同窓会

1票

はゞかりてすがる十字架や夜半の秋
ふるさとを去ぬ日来向かふ芙蓉かな
まながひに青空落つる茅花かな
まのあたり天降りし蝶や桜草
永き日のにはとり柵を越えにけり
郭公や国の真洞は夕茜
鴨うてばとみに匂ひぬ水辺草
虚国の尻無川や夏霞
銀杏にちり/゛\の空暮れにけり
枯れつゝも草穂みのりぬ蝶の秋
枯木宿はたして犬に吠えられし
山の蚊の縞あきらかや漱
山焼くやひそめき出でし傍の山
燦爛と波荒るゝなり浮寝鳥
秋の夜の影絵をうつす褥かな
春愁や草の柔毛のいちしるく
川蟹のしろきむくろや秋磧
草餅や野川にながす袂草
苔の雨かへるでの花いずこゆか
滝音の息づきのひまや蝉時雨
炭出すやさし入る日すぢ汚しつつ
茶の花や畚の乳子に月あかり
椿落ちて色うしなひぬたちどころ
墓の門に塵取かゝる盆会かな
蓬生に土けぶり立つ夕立かな
繭玉に寝がての腕あげにけり
蓑虫の鳥啄まぬいのちかな
野分してしづかにも熱いでにけり
野路こゝにあつまる欅落葉かな
凩や倒れざまにも三つ星座

10句にしぼるのは本当に困難で、なくなく落とした句もあり、そういう句がほかの方の選であって、なぜそれを選んだのかという部分も含めて、読み解くのがとても勉強になりました。

今回の企画で、横断して読むことで、多角的に句(句集)を鑑賞することができたのがとても良かったです。今後も、こういった企画を散発的に企画していこうと思います。あらためて今回企画にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。



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