【R6.5.19】優駿牝馬(オークス)の予想

【馬場傾向】

 土曜の東京芝はクッション値9.8とめったにないレベルの高さ。足元が硬く中々前が止まりづらいものの、時計が出やすい分トップスピードも求められる独特な馬場。基本的には”ある程度の上りも使える先行馬”あるいは”強烈な切れを使える差馬”を中心に馬券が占められており、”ポジション優位と立ち回りで上手く粘り込む”というタイプは苦戦傾向。
 ということでシンプルな脚質傾向から考えても極端な差し追い込み、キレる足が全く使えない先行勢は馬券の軸にするには信用しづらい。
 また、めったにないレベルの高クッション値ということもあり、血統傾向的にも偏りが出ており、土曜に行われた6レース、馬券内に好走した18頭中14頭が父非サンデー系。馬券内に好走したサンデー系4頭はディープ系の中でもタフ馬場に強いキズナとサトノアラジンが一頭ずつ、これまたタフな馬場に強いキタサンブラック産駒が1頭、そしてハーツクライ産駒ではあるもののダート経験があるエリーズダイヤなので、サンデー系でありながらこの馬場をこなすにはかなりタフな馬場への適性を求められる。
 今回のメンバーで言えば、父が非サンデー系の馬は8頭と半分近く、サンデー系の各馬もキズナ、キタサンブラック、ゴールドシップなどタフな条件にも適性が高い面々が揃っているので種牡馬によるシンプルな適性面で苦しむ馬は少ないかもしれないが、上位に評価する馬を選ぶにあたっては非サンデー系種牡馬の産駒の評価を少しあげたい。

【展開想定】

 逃げ候補は前走の内容的には4パレハ、11ヴィントシュティレ、16ショウナンマヌエラの3頭だが、調教の内容的にはパレハはまえに馬を置きたそうであり、ハナはヴィントシュティレかマヌエラのどちらか、ショウナンマヌエラがペースにこだわるかポジションにこだわるかでペースは変わってきそうだが、2頭で逃げの形になれば緩くはならないが早くもない、1000m通過は60秒台のミドルペースぐらいになるんじゃないかと思う。
 逃げを見る位置、先行ポジションにつけそうなのが、クイーンズウォークやステレンボッシュ、チェルヴィニアなどの桜花賞組。その後ろに枠を活かしてミアネーロ、エセルフリーダ、ホーエリートの内枠組みと、外からサフィラ、タガノエルピーダあたりがどういう隊列になるかというところだが、前がスローに落とす気が無さそうな上に、有力所が前につけて走りやすいペースでコントロールすると思うので、そこまで馬郡密集という感じにはならず、それぞれのリズム重視でばらけ気味の走りやすい隊列になるのではないかなと思う。
・逃げ:メンバー内で実力下位
・先行:メンバー内で実力上位
・その後ろ:中穴どころ
・差し:ライトバック、スウィープフィート、アドマイヤベルなどの実力馬
 という桜花賞からの臨戦なのでマイル質のスピードを持っている人気馬&トップジョッキーが最も動きやすい位置につけそうなのが今回のオークスの辛いところ。
 展開としては、①瞬発力もある実力上位の先行勢が勝負所まで追い出しを待って、直線での瞬発力勝負か②後続で騎手てきにも早めに動けそうなタガノエルピーダあたりが前走の経験を活かして早めに動いてのスタミナ戦に持ち込むかのどちらかかと思う。
 いずれの場合でも好走するためには、メンバーで上位の末脚を持っていることが条件となりそうで、①の場合に恵まれるのは極力前目から切れ味を発揮できる馬、②の場合に恵まれるのは前の動きを見ながら追いだしを待てる切れ味上位の追い込み勢か、内をロスなく立ち回ってスタミナを温存できた中団の差馬。こういった馬を高めに評価したい。

【予想印】

◎1ミアネーロ
〇7ステレンボッシュ
▲17タガノエルピーダ
△5コガネノソラ、7チェルヴィニア
☆3エセルフリーダ、9ラヴァンダ
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

◎ミアネーロ
 まず最内枠は恵まれた。スタートの反応自体はそれほど悪くなく、使うにつれてトモもしっかりしてきた分、この枠なりに積極的に前に出していかないにしても先行勢を見るくらいの位置にはつけられそう。
 前走で馬郡の中、内ラチ沿いを走る競馬を経験できているというのも良く、馬郡を捌く際の加速も鋭いので、内枠での立ち回りに不安が無いというのもこの枠を活かしやすそう。
 また、デビューから3走中山を使っているせいで実績として鋭い33秒台の切れ味などは発揮したことがないが、調教の走りや馬体を見る限り、小回りよりは思い切り走れる直線の長い大箱競馬場の方が合いそうであり、中山でも抜け出す際のスピード感を見るとトップスピードも高いものを持っていそう。今回の最終追切での動きも目立っており、そこまで強く促さずともCWで終い10.9と動けており、その点でもトップスピードの高さに不安は無い。
 また、血統も良く、東京としては珍しいレベルでクッション値が高くなっている特殊な馬場状況にも対応できそうな非サンデー系かつ、日本の主流舞台で実績豊富なドゥラメンテ産駒。オークスもここ2年スターズオンアース、リバティアイランドとドゥラメンテ産駒が2連覇、昨年はドゥーラが15人気で3着にくるなどとにかくドゥラメンテが走っている。しかもこの3頭は母父も非サンデー系であり、ミアネーロも母父はPulpit、米国系のスピード血統であり非サンデー系というのは近年の流れを引き継ぐ。
 前走のフラワーCは時計としては目立たないが、12.5-11.5-12.1-12.1-11.8-12.0-12.0-12.0-12.0とやや時計が掛かり気味なタフ馬場でよどみないラップ、これに対応しながら荒れ気味の内を通して上位の上りを使って差し切り勝ちは評価できる。
 記憶に新しいところで昨年のオークスは中盤に12.0が連続するラップだったが、これは平均的なオークスと比べるとかなり早く、今年もそこまでタイトな流れになるのは想定しづらいので、前走のフラワーカップで既にペースには対応済みというのは、今回更に長い距離をこなすにあたってスタミナ的に安心できる。
 津村騎手継続騎乗というのも良く、求められる立ち回りが前走と同じというのも分かりやすい。
 前述した恵まれやすそうなインの中団を取れそう、末脚もメンバー上位のものを使える可能性あり、調教よし、血統良し、そして重賞勝ちの実績があるにも関わらずオッズ的にも舐められがちと来たら狙わない理由が無い。
 津村騎手、先週初G1制覇から2週連続なんて都合よくいくか?というのも変にオッズを下げる要因になっていそうだが、週頭の記事でも書いた通り、津村騎手は一度重賞で好走すると、その勢いで次の週も好走するということが珍しくない、というか多い。先週初制覇で勢いに乗る今だからこそ、津村騎手を続けて狙うべきと見て、ここはミアネーロから行きたいと思います。

〇ステレンボッシュ
 実績、枠、展開など考えても割り引く要素が無く、調教も前走桜花賞組だとステレンボッシュが一番よく見えるレベルであり、逆らうのは上手くない。
 疑う要素としては乗り替わりくらいなものだが、ステレンボッシュ自体これまでのキャリア5戦で横山武史騎手、マーカンド騎手、ルメール騎手、モレイラ騎手と4人乗り替わって連を外しておらず、簡単な馬には見えないが、極端に騎手を選ぶタイプではない。前走はスタートで接触があり思ったより行き脚つかず、道中は促しながら馬郡に突っ込む形でポジションを押し上げ、促した分道中はややかかり気味と、脚質からのイメージとは異なり実際レースの中では前進気勢が強め。
 今回のオークスでは前走比でペースが緩む中で折り合いをつけながら足を溜めつつ追走することが求められるが、そこで乗り替わる先が戸崎騎手というのはベストの人選。自分から前にいける馬を柔らかく折り合って、好位で足を溜めながら後ろもけん制して自分の有利な流れをつくるということに関してはルメール騎手、川田騎手といった他のリーディング上位の騎手と比べても上手く、ステレンボッシュと戸崎騎手は手が合いそう。
 2冠目を狙う桜花賞馬、変に逆らわず、高めに評価することでここから穴に広げて配当を狙っていきたい。

▲タガノエルピーダ
 新馬戦から1戦1勝の身で登録した阪神JFを抽選落ち、次週の朝日杯で牡馬に交じって展開面の逆風を跳ね返しての3着好走とグランアレグリア以来の快挙を成し遂げるも賞金は詰めず。桜花賞への権利を取るために臨んだチューリップ賞では不利な大外枠から終始外々を回す競馬で展開も恵まれず、悔しい4着でクラシック初戦には不参加とあまり運に恵まれない戦歴の馬だが、前走の忘れな草賞では難しい展開でも人気に応えてオークスへの出走に漕ぎつけた。
 ほぼチューリップ賞でしか今回出走のメンバーとは直接対決が無く順位付けが住んでいない上に、朝日杯、忘れな草賞ともに桜花賞組と比べても全く見劣りしないハイパフォーマンス。
 今回また運の悪いことに8枠17番と厳しい枠を引いてしまったが、前走の忘れな草賞で逃げが1000m58.1で飛ばすという大変スタミナを要するレースを制している分、他のメンバーと比べて臨戦過程的にスタミナに余裕があるので、多少のコースロスは受けいれた上で、揉まれないメリットも含めて対応できそう。
 枠並び的にも逃げに行くであろうショウナンマヌエラを目標に一緒にイン前に切れ込んでいきやすく、外枠にしてはロスを抑えやすいというのもプラスのポイント。
 新馬戦では歴代の名馬と比較しても見劣りしないロンスパ性能とトップスピードを示し、朝日杯では同世代の牡馬に交じっても互角に戦える素質の高さと気の強さを見せ、前走ではハイペースへの耐性とスタミナを見せた世代トップレベルの馬が、桜花賞に出ていないというだけでここまでオッズがついている上に、調教も今回に向けて好内容でまとめてきていると来れば好評価しない理由は無い。
 ただ、枠なりにどうしても恵まれるとは言えない点、前走馬体重が436㎏とメンバー内でも小柄な分、直線での純粋なトップスピード比べになった時に上位とは言い難い点を踏まえてこの評価まで。デムーロ騎手への乗り替わりも悪くはないが嬉しくないという感じでこの評価まで。

△コガネノソラ
 未勝利脱出に時間を要したが、未勝利、1勝C、リステッドと3連勝でオークス挑戦。逃げ、先行、差しといずれも違う脚質で勝利してきており、底が見えない。
 前走のスイートピーSは逃げが前半1000を57.5で引っ張ったこともあり、1.45.6の好時計決着。これは歴代のスイートピーSはもちろん、共同通信杯まで含めても一番時計であり、時計が出やすかったとはいえ評価できる内容。しかもそれに対応しながら34.1で上がれたというのも評価できるポイント。
 桜花賞より長い距離で桜花賞並みの早いペースに対応しながら上がり上位で勝利というのは、これまでの非桜花賞組でオークスを好走した馬と共通する。
 調教からも、前走から間隔がつまるものの内容を緩めておらず、激走の疲れも見えない。かなり好評価できるが、△までにしたのは馬格の無さ故。
 スタミナを要する展開になればこのメンバーでも上位の走りができると思うが、誰も動かないままに直線を向いてのトップスピード比べになってしまうと流石に切れ負けの可能性が高い。好走のためには展開の助けが必要。

△チェルヴィニア
 週頭の記事でも書いた通り、桜花賞の内容は度外視できる。
 まずは週頭に書いたことを再掲。

 前走の桜花賞では13着と大きく負けてしまったが、流石にアルテミスSからの直行ローテは無理がある。
 イクイノックスで東スポ杯から皐月賞の直行ローテで好走したノーザン×木村厩舎ならばなんとかなるかもと期待はしたが、流石に厳しかった上に、直前でルメール騎手落馬負傷の乗り替わり、不利な大外枠からの競馬とレース云々の前に前走度外視としたい要素がモリモリ。
 更に肝心のレース内容も厳しく、スタートは出たが馬郡密集で内に入れるタイミングが無く、チェルヴィニア自体の能力、スピードの高さも相まって馬のリズムを崩さないようにしている内にじわじわとポジションが上がってしまい道中で足を溜められないだらっとした競馬に。
 いまいち足が溜まっていない状態で迎えた直線では内から外から内から外から何回も不利を受け全く自分の走りをすることが出来ず、13着大敗は実力以上の負けと言っていい。
 2歳時点のアルテミスSでたたき出したパフォーマンスは強烈の一言。馬郡の中であればそこまで早くない流れでもじっくりと構えることが出来ており、前半48.0-後半45.6、上り3F11.4-11.2-11.0のレースラップを上がり最速33.3で突き抜けは2歳の10月に出していい時計ではない。
 血統的にもハービンジャー×キングカメハメハは今年の大阪杯のように、根幹距離だけど、非根幹距離のような持続力が求められる舞台設定に適性が強く、今回仮に逃げがハイペースで飛ばしての大逃げ展開になり、後半長くスパートを求められ、全馬未知の2400mという距離で脱落戦になればこの馬が突き抜けてもおかしくない。
 キャリアの中で高いパフォーマンスを発揮したのが持続力を求められる東京、新潟外回りというのもいかにもオークス向き、距離が伸びて良さが出そうであり、ここで巻き返しに期待できる。
 ルメール騎手に手が戻るのも良く、前走の着順で人気を落とすならば、現時点では前走桜花賞組から最も買いたいのはチェルヴィニア。

 今回理想としては、内枠を取った上で、一度使った上積みをもってオークスに臨むことだったが、いずれも十分に叶わなかった。
 枠は6枠12番とギリギリ許容できるレベルではあるがやや外すぎる。前に上手く馬を置ける保証が無い枠になってしまったのは厳しい。
 また、前走のパドックを見た時に、休み明けな分も合って筋肉のハリ、特に下腿部の発達がアルテミスの時と比べてもやや弱く映ったので、今回調教やフォトパドックでそこが改善してきてほしいところだったが、期待したほどではなかった。それでも前走よりはいい状態で臨めるとは思うが、想ったように力を発揮できないという可能性も十分ありそうに映ったのでこの評価まで。
 2歳時の走りを見る限り、距離延長やトップスピードには不安が無く、血統的にも今のクッション値が高い特殊馬場と相性良さそう。仕上がり次第ではあっさりがあってもいいレベルの馬だとは思うが……

☆エセルフリーダ
 4戦2勝馬であり、前走は中山2000のミモザ賞を2.00.4とまずまずの時計で上がり最速の勝ち。走りを見るに直線が長いほうが良さそうで、ここ2走中山を使われたが東京替わりは良さそう。
 血統的にもキタサン×ハービンジャーでスタミナとタフさが求められる今の馬場には合いそうであり、調教の動きからはトップスピードもメンバー内で見劣りしないレベルのものは持っていそう。
 好枠をゲット出来て条件色々と揃っているにも関わらず、舐められそうなので抑えておきたい。

☆ラヴァンダ
 調教特注枠。追切メモを再掲。

 最終は坂路で51.1から終い11.9と存在感を示す好ラップ。 併せ馬の外側でストライド大きく安定感のある走り。これだけのラップでも手前を替えてからもう一伸び出来ているのは状態の良さか。 前走は決してスタート、直線とスムーズだったとは言い難い内容で2着好走。更に大きく上積みがありそうな今回、侮れない大穴になるか。

 坂路で目立つ時計を出してきているのはこの馬くらいであり、前走一気の距離延長だったフローラSで結果を出してから、今回本番で更にギアをあげてきたというのも好感。
 キャリアとしても短い距離で早い上がりを使って好走してきた実績があり、今回も早いペースに対応しながら上がり34秒前半で良いような流れになればチャンスは十分あり。大穴で期待しておきたい。

 他の馬の追切メモについてはこちらをご参照いただきたい。

(無印の各馬)
・スウィープフィート、ライトバック
 桜花賞好走組だが、距離延長あまり歓迎と思えない。
 前走はマイルの流れで、馬郡に入れずに最後方から何とか折り合いをつけて終いに賭ける競馬がハマったが、今回距離が伸びて流れが遅くなった時に上手く折り合って足を溜められるかどか。
 特にライトバックは血統的にもこれまでの走り的にも加速に時間がかかるタイプであり、適性的には京都、阪神の外回りがベスト。
 今回のオークスだと、最後方で上手く折り合いをつけながら大外回して末脚に賭けるという競馬を選択したときに届く可能性の方が低そうで、人気も考えたら積極的に高い評価はしづらい。
 買っても抑えまで。

・クイーンズウォーク
 前走はオークス向きと分かった上で早い流れを体験させるための出走だったと思うが、今回の調教過程が順調に見えない。
 現実としてレースの当該週に早い時計が無く、坂路で12秒台が無い時計を出してきた馬がG1で好走した記憶はあまりない。
 前走もスムーズな競馬が出来なかったとはいえ負けすぎであり、走りからは外枠向きな馬なので、内枠を引いてしまったのもマイナス。

・アドマイヤベル、サフィラ
 能力はこのメンバーに入ってもチャンスがある馬だとは思うが、どちらも調教が目立たない。アドマイヤベルについては前走も目立たない時計で重賞を勝っているので気にする必要は無いと思うが、サフィラは好走した時と比べても緩く、馬体重を気にして強い負荷がかけられていないのではないか?と思ってしまう。

・パレハ、サンセットビュー、ホーエリート、ヴィントシュティレ、ショウナンマヌエラ、ランスオブクイーン
 シンプルに今回のメンバーと横の比較で上位に取りづらく。調教の内容等からもここであえて上位に評価する要素が見当たらない。ここから先成長してくれば世代トップでもやれる素質はあると思うが、現時点の完成度という点でどうしても見劣り。

【まとめ】

 ステレンボッシュになかなか逆らいづらいというのが今回のオークスを予想しての正直な感想。
 そんな中でも、トップスピード、2400への適性の高さという面で一発に期待できそうなミアネーロに期待して、馬券的には勝負してみたい。
〇単勝 ミアネーロ
〇3連単 1-5.7.12.17-5.7.12.17
〇3連複 7-1.5.12.17-1.3.5.7.9.12.17
〇ワイド 1.17-1.5.12.17
 こんな感じで組み立てたいと思います。
 今年の桜花賞組はタイム的にも強そうに見えますが、案外距離延長でもろさを見せそうな予感もするので、非桜花賞組で期待できそうなミアネーロ、コガネノソラ、タガノエルピーダに頑張ってほしいですね。

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