ライターという仕事

わたしがライターという仕事を始めたのは5年以上前。ライターといえば何だかたいそうな仕事な気もするし、おしゃれな気もするが、残念ながらわたしは何かを成し遂げたい、何かを伝えたいなんていうしっかりとした目標があったわけではない。

きっかけはとあるソーシャルサイトでのゲームだった。当時育児に家事に、そして夫との関係、義父との同居に疲れ果てたわたしはソーシャルゲームにどハマりしていた。何なら廃課金に足を突っ込みかけていただろう。そんな時、ゲーム内の仮想貨幣として使えるポイントが貯まる条件のひとつに、記事を書くサイトに登録して1記事書き上げるというものがあるのを見つけたのだ。そのサイトはずらっと並んだ何百ものテーマから選んで書き、承認されればポイントをもらうことができ、いくらか貯まれば換金できるというもの。

別に物書きになりたかったわけではないが、幼い頃から本は人並みに好きで綺麗な文章を書くことには定評があったわたしは、何の気なしにそのサイトに登録してみた。最初に書いた記事がどんなものだったかは既に覚えていないが、ひとまずその短文記事は採用され、おそらく100円分程度ののポイントを得たのだ。

大学を卒業後即退職結婚し、働く術を持たなかったわたしにとって、それは小さな感動だった。極めて少額であるとはいえ、自分で、しかも家にいながらにして金を稼ぐことができた。

今でも、何度でも言うが、このくだらないきっかけから身を立てることになるとは思わなかった。




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