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猫写真の無い猫日記・甲子園

 以前、『映像の世紀』を観ていたら猫先生がとてもびっくりしてしまったことがある。
 内戦だか暴動だかで、人が人に激しく何度も殴られている場面。
 猫先生はギョッとして、目を大きく見開いて、画面に釘付けになっていた。
 猫同士の喧嘩なら何度も見たことがあったのだろうけど、人間が人間を殴るというのは初めて見る光景だった様子。

「ごめんごめん。怖かったね」

 すぐに動画を止めて、以後我が家の居間では戦争や内戦などのドキュメンタリー番組は上映禁止になった。

 なぜか不思議と、ゾンビ映画やホラー映画(夫が大好き)で人が人に襲われて悲鳴をあげていても猫先生は無関心。おそらく演技と本気の見分けがつくのだろうと思う。

 そんな猫先生が先日、たまたま点けたテレビに映った甲子園の映像にびっくりしてググッと画面に見入っていた。

(あの人間は今、何をしたのか)

 という顔でまじまじと球児を見ている。

「ああ、大丈夫だよ。あの人(ピッチャー)はあの人(バッター)にぶつけるためにボールを投げたわけじゃないんだよ。喧嘩じゃないよ」 

 そう説明したら、納得してくれたのか、それとも野球に興味が無いのか、カラーボックスにぴょんと飛び乗って昼寝を始めた。