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【農家さん向け】カーボンクレジットとは?

こんにちは。

この記事ではカーボンクレジットとは何か?について説明していきます。
また、理解を優先しているため厳密には異なる部分があります。ご了承ください。

目次

  • 「実質ゼロ」という考え

  • 企業や政府の置かれた状況

  • 農業におけるカーボンクレジットについて

  • 我々Coについて


「実質ゼロ」という考えについて

最近、カーボンニュートラルや脱炭素といった言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。
カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を全体でみて実質ゼロとすること」ですが、
これを聞いて、排出量をゼロにする?そんなこと不可能だろ!と思った方もいるのではないでしょうか。
ここでポイントとなるのが、
実質ゼロ≠ゼロ
ということです。
「実質ゼロ」というのは、温室効果ガスを削減した上で、吸収量と排出量を相殺することにより全体でみて排出ゼロということです。
図にすると下のようになります。

排出量「実質ゼロ」のイメージ

排出量を削減して、吸収量と相殺するという考えの中で、削減についてはイメージしやすいと思います。
しかしながら、吸収についてはイメージが難しい部分があると思いますので、森林を使って説明したいと思います。

例えば、森林を管理している人がいたとします。森林は毎年大量のCO2を吸収します。その吸収量を計算することで、排出量と相殺するのです。

ここで疑問になるのが、「様々な企業がカーボンニュートラルに取り組んでいるけど、山を持っている企業はごくわずかだし、排出量と同量の吸収量を確保するのは無理じゃない?」ということです。

そうです。無理なんです。
ではどうするのかというと、吸収量を購入するのです。
そこで登場するのがカーボンクレジットです。

先ほどの森林の例を用いると、
管理している森林によるCO2の吸収量(削減量)をカーボンクレジットとして民間企業に販売し、企業はクレジットの購入により自分たちの排出量と相殺(オフセット)し、カーボンニュートラルを達成することができます。
詳しくは後ほど説明しますが、カーボンクレジットの概要が伝われば幸いです。

企業や政府の置かれた状況

そもそもなぜ企業はカーボンクレジットを購入するのでしょうか。
まず前提として、2015年のパリ協定採択にみられるように気候変動問題の解決のため、カーボンニュートラルに取り組むことが世界共通の目標となっています。
これは民間企業についても例外ではなく、政府や投資家からカーボンニュートラルに取り組むよう要請が強まっています。
実際に、「有名企業の名前+カーボンニュートラル」で検索すると、民間企業がカーボンニュートラルを目標に掲げ、様々な施策を行っていることがわかります。
しかしながら、排出量を完全に削減することはできません。そのためどうしても削減できない分はクレジットの購入などで相殺(オフセット)する必要があります。

そうした状況の中でカーボンクレジット市場は2030年には150億ドル規模になるといわれており、今後カーボンクレジットの需要は高まっていくといえます。
(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000012467.html)

また、政府は2050年カーボンニュートラル実現を掲げており、そのための施策の1つとして、国が運営するJ-クレジット制度において、クレジットの流通を加速させるため制度文書、方法論の改定を行っています。

農業におけるカーボンクレジットについて

これまでの説明で、CO2を削減・吸収した際にそれを販売できる形にしたものがカーボンクレジットである、というイメージを持っていただけたかと思います。
ここで疑問になるのが、カーボンクレジットに関してルールはあるの?ということです。
結論:あります。

国(経済産業省、環境省、農林水産省)が運営しているJ-クレジット制度という制度があります。その制度において、
「この方法で温室効果ガスを削減した場合、クレジット化していいですよ。」
という方法が定められています。
これを方法論と呼び、方法論は全部で約70個ほどあります。
各方法論において、削減量など効果の算定方法についてもきちんと定められています。

ここでは、約70個ある方法論の中から、農家様に関係のあるものをピックアップして説明します。

ご存じのように、農業には温室効果ガスを排出する側面と、吸収する側面の二つの側面があります。

農業におけるカーボンクレジットの方向性として、以下の二つがあります。

  • 排出量を削減し、削減分をクレジット化する

  • 吸収量を増やし、吸収分をクレジット化する

以下、それぞれ対応する方法論についてみていきます。

ー排出量を削減し、削減分をクレジット化する
クレジット化の例として、以下の6つを紹介します。

  • 水稲栽培において、田んぼの中干し期間を延長することにより排出されるメタンの量を削減する。

  • 畜産農家において、排せつ物の管理方法を変更することによりメタンや亜酸化窒素の排出量を削減する。

  • 茶の栽培農家において、硝化抑制剤入りの化学肥料を施用することで亜酸化窒素の排出量を削減する。

  • 施設園芸において、加温機などの燃料を木質ペレットに変更し、CO2の排出量を削減する。

  • 施設園芸において、炭酸ガス施用システム(排気ガス等からCO2 を回収し施用するシステム)を導入することで、CO2の排出量を削減する。

  • 太陽光パネルを設置し、発電した電力を自家消費することで系統電力を代替し、間接的に温室効果ガスの排出量を削減する。

ー吸収量を増やし、吸収分をクレジット化する
これは、バイオ炭の方法論があげられます。
近年、もみ殻くん炭や木炭、竹炭といった生物由来の炭を農地に埋める取り組みのクレジット化が進んでいます。炭は埋めても分解されないため、炭を埋めるということは炭素を土壌に固定することが可能になるといえます。
その固定分をクレジット化するのです。
また、保水力や保肥力の向上など、栽培におけるメリットも存在します。

ここで、農作物は生育の過程でCO2を吸収するのだから、その吸収量をクレジット化できないの?と思われた方もいるかもしれません。
結論として、クレジット化はできません。仮にできたとしてもそのクレジットには価値がないとみなされてしまいます。
なぜかというと、植物が吸収した炭素はすぐ空気中に放出されてしまうからです。
一般的に、炭素は循環しています。
空気中に存在する炭素を作物が吸収し、その作物が収穫され、人間がその作物を食べて、人間が二酸化炭素を空気中に排出します。
つまり、作物は炭素を吸収していますが、その炭素はすぐ放出されてしまうため長い目で見て空気中の二酸化炭素を減らす効果はありません。そのためクレジット化することはできません。
対してバイオ炭の場合は、炭素を土壌に100年以上固定する効果があります。そのため、クレジット化が可能なのです。森林の場合も同じ理由です。

我々Coついて

我々は、持続可能な農業の実現の1つの手段として、農業におけるカーボンクレジットの普及事業を行っています。
具体的には、カーボンクレジット作成の際に必要な、効果の算定と認証支援を行っています。
日本におけるカーボンクレジットの取り組みは、様々な産業においてみられますが、農業においては全く進んでいません。
その理由の1つとして、効果の算定が煩雑であることがあげられます。
我々は、農家さんの代わりに算定を行うことで、農家さんの負担を最小限にクレジット発行をサポートします。

また我々はカーボンクレジットが持続可能な農業の実現に貢献できると考えています。
農業はそれ自身の特性上、収入が安定しないという性質があります。
安定した副収入を得ようとしても、新たな挑戦が必要です。
しかしながら、カーボンクレジットを活用することによって、日々の営農活動を一部変えるだけで新たに副次収入を得ることができます。
カーボンクレジットによる安定的な副次収入があることによって、収入が安定しないという性質をカバーでき、環境面はもちろん金銭的な面から持続可能な農業の実現に貢献できると考えております。

この記事を読んで、興味を持っていただいた方は是非スキしていただけると幸いです。
また、クレジット化について相談を受け付け中です。

相談希望の方はお手数ですが、公式HPのお問い合わせフォーム、またはGoogleフォームに回答いただけると幸いです。

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