【3巻ネタバレあり】本当の瑠東かなめはクラスメイトに受け入れられたのか?

 こんにちは。氷凍こおりです。note 始めました。

 今回は相崎うたう先生の『瑠東さんには敵いません!』の3巻 第33話 第34話 の話をします。この記事は大いにネタバレを含みます!

 3巻終盤の内容を自分の中でちゃんと整理するためにも記事にしようと思いました。


 ネタバレ避けに内容と関係ないこと書いときますね


 拙者も和村殿のような御学友が欲しかったでござるな…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。


何が起きたかの概要

 さあそんなことはどうでもよいので早速切り取りたい箇所について書いていきます。

 第33話は、ちょっとした焦りから間違えて素を出してしまった瑠東かなめが、クラスメイトから受け入れられる場面から始まります。

 

 イタズラ好きな一面がバレてしまった瑠東かなめはクラスメイトに囲まれたままずっと呆然としています。自分の素を殺してまで優等生を演じていた瑠東かなめにとって、イタズラ好きな側面を受け入れてもらえたことは一見喜ばしいことのように思えます。

 しかし、この『瑠東さんには敵いません!』には、受け入れてもらえてよかった!!!というような、純粋な喜びの描写はありません。この記事ではここを深堀りしようと思います。

 まあそれ自体は流れを見ると当然です。直前に瑠東かなめは「皆に本当の自分を受け入れてもらえること」と「和村千紘と特別な関係を持つ理由」とが搗ち合うものであると気付いています。この思考を抱えたまま本当の自分を受け入れられたとして、心の整理が付かないのは当然のことです。

 瑠東が笑顔になりきれないままクラスメイトと接している中、いたたまれなくなった和村がその場を去り場面が変わります。

 そこからなんやかんやあって、瑠東かなめはクラスの中で「ヘーイ!和村ちゃんプリント!」と言えるようにまでなります。


本当の瑠東かなめは受け入れられたのか?

 さて本題に入ります。本当の瑠東かなめはクラスメイトに受け入れられたのでしょうか? 

 私はこれについて、少なくとも瑠東かなめは受け入れられたと思っていないと考えています。

 文化祭を通して本当の自分を受け入れられるぞ!と気合を入れていた瑠東かなめに、和村は「始めはあまり交流のない他クラスの人から攻めてみるのはどうでしょう」と提案し、瑠東は さすが和村ちゃん!! とそれに納得します。

 この意見に納得したということ、それは瑠東かなめに「関係性は積み上がっていくもの」という思考の基盤があることの証左となります。「優等生の自分」という積み上げがない方が、イタズラ好きは受け入れられやすいだろうという考えがあるということです。そして実際、別クラスの人間への実験で、本当の自分が受け入れられていそうと手応えを感じていました。

 そしてウッカリした瑠東かなめはクラスメイトの頬をつついてしまい、イタズラ好きがバレてしまうのですが、その受け入れられ方は次のようでした。

 あ!文化祭が楽しみでテンション迷子になったとか?
 いやいや 意外と普段抑えてたんじゃね
 どっちにせよ……

 「めっちゃかわいーーー!!」


 瑠東かなめは、「かわいい」という形で受け入れられました。しかし、この受け入れられ方というのは「文武両道、才色兼備、理想的女子高生・瑠東かなめ」ありきのものです。本当の瑠東かなめ単体が受け入れられたわけでは決してないと思います。

 先ほど、瑠東かなめに「関係性は積み上がっていくもの」という思考の基盤があると書きました。この基盤があるため、瑠東かなめは「これは本当の自分が受け入れられたわけではない」と気付くはずです。

 瑠東かなめは、こうなってしまうことにも薄々感づいてたと思うんですよね。小学校でのトラウマは瑠東に冷水をかけ続けていたことでしょう。それでも文化祭を契機に本当の自分をクラスメイトに受け入れてもらおうとしたのは、本当の自分を隠し続けることが本当に苦しかったからだと思います。


だから和村が特別だった

 ここまで述べたことから、和村千紘の何が特別だったかについてより理解できると思います。和村が、瑠東かなめを盲信するクラスメイトではなかったのが重要だということが理解できます。

 オタクグループに属する和村にとっての瑠東かなめは「一軍グループの中でも一際目を引く存在」でしかなかったと思います。そんな、まるで無条件に瑠東を評価してしまうようなクラスメイトとは違う、オタクの和村千紘に受け入れてもらえたからこそ、瑠東かなめは救われたのだと思います。

(なんかこう書くと小守文美さんが報われないなぁ…… という感じになってしまいますが、小守文美さんの「お友達としてっ…!!」という言葉が解釈しやすくなると思います)


 さて好き勝手に文章を書いてきましたがここで終わろうと思います。楽しかった~~~~~~ いいですね。好きな作品について文章を書くのは。ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?