2021年3月9日(火)

 ここ数日続いた寒さが緩み、ようやく微妙に暖かい。

 エヴァンゲリオンの最新作が公開されたようだ。六時台のテレ東で、敵をムシャムシャ食べる主人公の機体を見て、「こんな時間なのに、うわ、なんかスゲー。ウケる」と衝撃を受けてから四半世紀くらい? 四半世紀エヴァンゲリオン。今度友達と見に行こう。

 というわけで、筋トレを先週から始めた。いや、先々週か。三日坊主覚悟で始めた。あまりにも自分の体型がやばくなってしまったので。あの頃、僕はエヴァンゲリオンだった。体型的には。今はあのアレだ、地下で槍にぶっ刺されてた白いヤツ。ブクブク水膨れしたみたいなヤツ。しかも胸板が薄くてお腹だけ出ているという、餓鬼のような体型だ。強引にエバーっぽく表現しようとして失敗していることは認める。

 とにかく、初号機に少しでも近付く為に筋トレを始めた。初日は腹筋を十回しか出来なかった。笑ってしまうくらいに起き上がれなかった。全部コロナのせいだ。背筋は問題なくできた。腕立ては十回頑張った。とにかく回数など少なくても良い。続けられるくらいにハードルを下げようと思った。

 翌日、腹筋をしようとしたら、筋肉痛が激痛だった。あえて「痛」を重ねる表現をしただけであって、日本語が不自由な訳ではない。とにかく、筋肉痛が痛いとしか言えないくらい痛かった。前日にたった十回腹筋をしただけなのに。歯を食いしばって、その日も十回腹筋をした。

 さらに翌日のことだった。それは唐突に訪れた。普通に腹筋ができた。エヴァンゲリオンだった頃にできた普通の腹筋ができた。もはや私はリリス(で、合ってる?)ではない。腕立ては、まだキツいが何とか二十回できた。

 そして、魔の四日目。そう、人類が決して超えられないとされる壁の三日目の先の世界。私は筋トレをした。腹筋、背筋、腕立ての3種の神器を楽しんでこなす自分がいた。あ、そういえば、一人だとやらなくなりそうなので、息子を巻き込んでいるのをここに付け加える。二人でやると楽しい。さらに四日目から、私は脇締め腹筋を五回加えることにした。これが思いの外キツい。五回が精一杯だった。

 さらに数日が経った。私は筋トレを続けていた。腹は相変わらず白いアイツのようにブヨブヨしている。だが、二の腕がプルプルしなくなっていた。胸筋が生まれ始めていた。


 今でも、私は筋トレを毎日欠かさずやっている。料理の最中、お湯が湧くまでの間に腕立てを十回。そんな風になってしまった。風呂に入って、腕周りを眺めては愉しむ。そんな醜悪な悪魔がかった儀式をするようになってしまった。シックスパック、その神にも近い存在はいつになったら、私の前にも現れてくれるのだろうか。兆候は、まだない。

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