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人間の記憶というのは、とてもあやふやなものだ。僕は身をもってそれを知っている。だから、…
リョウ君は九九ができなかった。 休み時間に教室に残ったまま先生と一緒に九九を練習して…
僕は幼い頃から喘息だった。 今とは違い、自前の吸入器などない。発作が起こるのは基本的…
いっ君が遊んでくれなくなった。 最後に遊んでくれたのは、いっ君とその同級生十人くらい…
いっ君は僕たちみんなの憧れだった。四つ上のお兄さん。格好良くて、中井貴一に似ていた気が…
僕は女の子のパンツが好きだった。たぶんマチコ先生とかカバ丸のせいだろう。かぼちゃワイン…
ある程度育ってから知ったことだが、そこには元々何も無かったらしい。そこ、つまり僕が育ったその場所一帯には、十年と少し前までまともな地面が無かった。僕の育った街は全体的に完全に埋立地だった。 埋め立てられて以降、少しずつ人が移ってきてはいたものの、空き地はまだまだ多く残っていた。当初何もなかっただろう空き地も、数年を経て草が一帯を覆い、低木が育っていた。 僕の住んでいたブロックの隣のブロックの端っこに、ブランコとシーソーしかない、小さくて人気のない公園があった。どこか湿っ
記憶にある初めての光景。僕の人生の初めの一歩。最も古いであろう記憶の一つは空き地の光景…
僕が生まれたのは、昭和も残すところ十年くらいという頃だった。 どこまでも人間の活動場…