デリゲート
アプローチの範囲
コーチングは相手をゴールへ到達するために支援をするものであり、
強制的なアプローチではその場のゴールは達成できるかも知れませんが、
本質的な人の変化は見られない可能性があると思っています。
そのためゴールに向かうためのプロセスをこちらから提示した場合、
相手は自分の考えではなく、こちらの達成プロセスに同意・共感したことになります。
この場合、相手のゴールに向かうモチベーション、思考変化・行動変容は
起こり難く、これらが常態化していくと指示待ちになってしまいます。
本質的なアプローチ
そのため相手を本質的に動かしていくためには、デリゲート(ゆだねる)
することも非常に重要になってきます。
例えばラグビーコーチの場でもあるのが、現状のタックル成功率が70%というデータがあり、これを80%以上に高めたいとします。
そのためにコーチはタックル成功率が70%から80%以上になるためのトレーニングを考え、練習で実践していきます。
もちろん、これで結果が出れば問題はありませんが、中々結果として出ない場合、何が原因なのか?
トレーニング内容自体に問題がある場合もありますが、それ以外の要因で考えられることは、選手達が※主体的に取り組めていない可能性が高いということです。
私も現場のコーチングをしていて、ふと気付く時があります。「あれ、これはプロセスを与えすぎたな」と…
つまりは、どうすればタックル成功率を高められるかを、考えないままプレーし、与えられた練習を行うことがゴールになっている可能性があるということです。
デリゲート
ここで重要なのがデリゲートすることで、タックル成功率を80%以上にするためのプロセス(トレーニング)を自分達で考えてもらいます。
ただ単に丸投げするのではなく、目的(タックル成功率80%以上)、時間(トレーニングの時間)、リーダーを予め決めた上でデリゲートします。
そして、できる限りグループ化し、リーダー中心に意見を出し合い、取り決め、実践してもらいます。
その中で選手達は新たな気付きや刺激を得て※主体的に取り組め、モチベーションも高まり、ゴールを達成する可能性を高めてくれます。
ビジネスシーンでも同様のことが言えます。
例えば、売上XX円という組織のゴールがあり、そのために、”客先訪問を1日5件”のような個人目標を科せられると、客先訪問1日5件が本人のゴールになってしまいます。
この場合は※主体的な行動には繋がりにくいですし、本来達成したい売上XX円は達成しにくくなります。
これらを、売上XX円いくために何ができるのかをデリゲート
し、グループで導き出し、アクションを起こしてもらうことにより、ゴールの達成度に大きく影響与えられると考えます。
デリゲートは当事者意識と主体性を引き出し、個々の可能性を最大化できる可能性がある有効な手段の一つです。
※主体的→自分自身で考えて取り組むこと