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【発表スライド公開】医療マネジメント学会で演題発表を行いました

2023年6月23〜24日にパシフィコ横浜で開催された第25回 日本医療マネジメント学会 学術総会において、HITOTSU株式会社 COOの佐藤が一般演題発表(口演)を行いました。

佐藤は、大学および大学院でアルツハイマー病の分子生物学的研究により修士号を取得した後、大手保険会社にて統計・データ分析などのアクチュアリー業務に従事し(日本アクチュアリー会 準会員)、経営戦略コンサルティング会社にて製薬会社・医療機器メーカー・医療機関向けの経営改善・経営戦略プロジェクトを多数リードしておりました。

この記事では、発表スライド全量を掲載しております。

(P1・表紙)「クラウドを介した医療機器管理が切り拓く病院経営改善の新たな切り口」という演題にて口頭発表を行いました。本発表はJCHO(独立行政法人 地域医療機能推進機構)東京山手メディカルセンター 渡邉氏との共同発表です。

(P2)COIは以下のとおりです。

(P3)病院の多くが慢性的な赤字に苦しんでいるのはご存知の通りです。様々なコスト削減取り組みがなされておりますが、医療機器(装置)関連コストはほとんど手がつけられておりません。HITOTSUは、これに対するソリューションを構築すべく、JCHO東京山手メディカルセンターと名古屋大学医学部附属病院と共同研究を行っております。

(P4)まず前提として、クラウド型医療機器管理システムである ”HITOTSU” を導入することで以下のようなメリットがあります。

(P5)医療機器関連コストの管理には大きな2つの課題があり、クラウド型システムであるHITOTSUはこれらにアプローチすることができます。
HITOTSUは次ページから説明する3つの取組みにより、機器関連コストの可視化および最適化を実現します。

(P6)まず1つ目は、医療機器のライフサイクルコストの可視化です。Step1として、HITOTSU利用病院の、購入~点検~修理~廃棄のライフサイクルに関わるコストを見える化します。見える化はコスト削減の第一歩です。
Step2としては、各病院について、匿名化した上で数値のプロッティングを行います。急性期病院など、病院機能ごとに分類し比較可能な形でプロッティングします。横軸に病床数、縦軸に年間の機器関連コストをとることで、右肩上がりの散布図となるはずです。回帰直線を引き、そこから一定値(例えば+20%など)以上上ブレがある病院については、改善余地があると考えられます。そのような病院については、Step1に立ち返り、どのコストが増加傾向にあるのか、他院と比べてどのコストが多いのかを分析し、その事象にあわせて、対策を打つことができます。

(P7)2つ目は、貸出率の可視化です。Step1としては、機器種別(輸液ポンプ等)ごとに貸出率を見える化します。画像は年間の月ごとの貸出率です。黒点線が最大貸出率(1ヶ月間の最大値)、青実線が平均貸出率(1ヶ月の平均値)、そしてグレーのバーが機器保有数です。このグラフでは、年間を通じた最大貸出率が64%であることがわかります。
Step2としては、コスト削減ポテンシャルを算出します。輸液ポンプの最大貸出率は75%が最適との報告があります。これより低すぎると過剰な輸液ポンプを抱えていることになり、これより高すぎると逼迫時に耐えるバッファーがなくなることを意味します。保有数50台で最大貸出率64%の場合、これを最大貸出率が75%となるようにするには7台削減できると計算できます。輸液ポンプが1台30万円とすると、次回買い替え時、7台x30万円=210万円のコスト削減が可能と考えられます。

(P8)最後は故障率の可視化です。Step1としては、自院の機器種別貸出率を、原因ごとに可視化します。
Step2では、これを他院の平均データと比べることで、故障率低減余地を見定めます。例えば、下図データでは、経腸栄養ポンプの故障率が2.5ポイントほど全病院平均より高いことが一目瞭然です。主たる故障原因にあわせて、耐用年数切れ機器の買い替え、使用後点検の遅滞なき実施、取り扱い注意喚起・研修の実施など、打ち手を検討できます。

(P9)HITOTSUを通じて、以下2点を実現することにより、病院経営改善の新たな切り口を切り拓きます。今年は仕組みの構築の発表報告でしたが、来年2024年の本学会では具体的なデータの報告を行う予定です。

(P10)ご清聴ありがとうございました。お問い合わせはinfo@hitotsu.co.jpまでお願いいたします。

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(以下は事後考察です。)

お陰様で、発表会場の座席はほぼ埋まり、壁面が見えないほどたくさんの方が立ち見で聴講されており、オーディエンスの皆さまの興味の高さがうかがえました。発表後の質疑応答セッションではオーディエンスからたくさんの手が挙がり、質問時間切れとなるまで質問が途切れることがありませんでした。

社会情勢に鑑み、コスト削減に多くの医療機関が強い興味をお持ちであることはもちろん、弊社の発表では、「企業が医療機関横断的にコスト削減に取り組む意義」に注目をいただいたと考えております。医療機関主導の研究では、1病院、または、大きくてもグループ病院レベルや市区町村レベルの取り組みがほとんどと考えられます。そこに、弊社のような企業が事業を絡め、あらゆる病院横断的にデータを取得し分析することで、他では実現し得ない研究結果を創出できると考えております。学術的にも、医療機関にとっての実際のコスト削減取り組みとしても大変意義深いものになると確信しております。

今後とも、HITOTSUの進化にご期待ください。

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