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開かれた賃貸住宅を。「地域のハブ」を目指すコワーキング&カフェ【Interview vol.6】

元住吉駅からのんびり歩くとみえてくる、賃貸住宅のフロール元住吉。その一角に、コワーキング&カフェ「となりの.」があります。

店内では、ゆったりとモーニングを楽しんでいる人やコーヒーを片手にお仕事をする人、放課後、学校帰りに習い事を受けにくる子どもなど、幅広い世代が集う場所となっています。

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ここで、コーヒーなどを提供しているのは、「となりの.カフェ」のバリスタである阪出清(さかできよし)さん。

大学卒業後、約30年お勤めになった会社を退職され、バリスタの道を歩みだした阪出さん。人との関わりを大切にし、辿り着いた、居心地のよい空間をつくる、その想いとはー?

となりの.カフェに携わるまでのご経験や、バリスタとなった今のお気持ちを、阪出さんにお聞きました。


接客が好きだった営業マン人生

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前職はリクルートグループ(現在はダイワハウスグループ)の不動産デベロッパーにお勤めだったと伺いました。

新卒で入社した会社に30年近く勤めていました。

事業用不動産の販売や仲介の部門、賃貸部門 、お客さま相談窓口など様々携わりましたが、新築マンションを販売する部門が一番長かったですね。

-もともとリクルート業界には興味をお持ちだったのでしょうか?

リクルート業界やリクルートという会社に興味をもっていたわけではなく、むしろ他業界に興味関心がありました。
先輩から声をかけていただいていたのでとりあえず話を聞きに行った程度でした。

ところが、私が内定をもらってから「リクルート事件」が起き、内定を辞退する同期は少なくありませんでした。

-内定を辞退する同期がいる中、入社を決めたのは 何でしたか?

採用担当者の話を聞いていると、その会社の強みである「人」に魅力を感じたというのが、一番だったかな。

いろんな部署の人に会わせていただき、インターンのような、アルバイトのようなことも声をかけてもらっていました。とにかく入社前から多くの人に会わせていただいたのが、大きかったと思います。

-人に魅力を感じたことが、入社の決め手だったんですね。約30年、どのようなサラリーマン生活をお過ごしだったんでしょうか?

いくつかの部署・部門に携わってきた中でも、接客が好きだったので営業マン時代が楽しかったです。

ただし、大きなお買物の不動産取引はダイナミックな仕事だけど、人生で1回あるかないか。稀だけど上手くいけば2回目もありましたが、暮らす人たちと、もっと関わりたいと思っていたし、例え少額でも何度でも継続してお付き合いができる業種に羨ましさを感じていました。

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コーヒーの魅力を知り、思い描いた未来

-暮らしていく人との関わりや反復継続した取引への憧れを抱えながらも続けていらした前職時代と、バリスタが繋がったきっかけは何だったんでしょうか?

会社での経営改革のタイミングで、私は営業マンからお客さま相談窓口に異動となりました。お客さま相談窓口には受付時間があるので、残業もそれほどなく、営業の頃に比べると、自分の時間がたくさんできたんです。

そんな時、お遊びで、某コーヒーチェーン店のコーヒースクールに通 ってみたんです。

-長らくの営業マン人生と、バリスタの接点ができましたね!自由な時間で見つけた、一つの趣味から始まったということでしょうか?

そうですね。コーヒースクールでは、お店の社員の人が、私含めた5~6人のお客さま相手に、同じ銘柄の豆を配るんです。

「同じコーヒー豆をグラインドしておきました」と言って、粉になった状態のものを渡されて、みんな同じようにコーヒーを淹れました。ところが味がまちまちだったんです。
社員さんの淹れる姿を見よう見まねで、同じ材料・分量のものを使っていたはずなのに、どうして!?と、そこにはまってしまいました。

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-程なくして、退職を決意されたのでしょうか?

そこでの体験が面白いと感じ、次第にコーヒーにのめり込んでいきました

退職する2、3年ほど前から「50歳までには区切りをつけよう」と、考えていたのですが、ちょうど50歳になるタイミングで部署異動を命じられました。

そこでこのタイミングを逃してしまうのはダメだと思い、退職を決めました。


「バリスタ」の道へ、第1歩

-そこからバリスタの道へ進まれるんですね。

コーヒー業界に入るために退職を決めましたが、「思っているほどコーヒーの世界は甘くない」「人脈もないし、不動産業界からこの業界に来ても何ができるのだろう」という気持ちでした。

スキルも知識もなく、ただの趣味で楽しんでいたので、食の専門スクールで学ぶことに決めました

-専門学生でのエピソードはございますか?

飲み会とか他愛もないやり取りなどが面倒だったので、会社勤めだった時はLINEを一切していませんでした。

しかし、授業の一環で模擬店をするにあたって普段学校にいない間の情報共有のために、LINEアカウントをつくってほしいとクラスメイトに執拗にお願いされ(笑)やむなくLINEを使うことに…。

面白いことに、その当時つくったLINEグループが今でも活きているんですよ。

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-どのようにLINEグループは活用されているんですか?

誰かが開業をするとき、お手伝いの募集や、お店を出す周辺のチェックポイントなど、このLINEグループが活きていますよ。

また、開業時に注意することなど、すでに経験したメンバーから教えてももらうこともあり、有難い情報も。今の流行りとか大きなイベント情報を共有ということも未だにやっています。

お互いに応援し合え、同じ夢を追いかける仲間を見つけられたことが素敵な出会いですね。

今、縁あって卒業した専門スクールの授業にアシスタントとして携わっているのですが、受講生の方々にもLINEグループをつくることはすすめていますよ。

私の時と同じように卒業後も活発に情報交換をされているクラスもあります。


「賃貸業界を変えてみたい」という言葉に動かされ

-となりの.についてお声がけがあったのも、この頃でしょうか?

2018年の夏ごろに、カフェの運営を始めたいから勉強会をしてほしいと、お声がけいただいたのが最初です。

「カフェってどんなものか」「お店はどのようにやっていくのか」など、お話しさせていただきました。

その時、私が伝えた言葉で「カフェは物を提供する場所ではなく、地域のハブになることが大切」ということに、HITOTOWAの方が共感してくださったんですよね。その後、「元住吉で一緒にやりませんか?」というお話もいただいて…。

-いよいよ、となりの.カフェのオープンについて決まっていくんですね!

ただ当時は、元住吉を利用したこともなかったので、想像ができず。お仕事のお話は嬉しかったのですが、実はお断りしたんです。

私がお店を開きたかったのは、オフィスに近いところでした。

というのも、専門スクールを卒業して期間限定でやったお店や当時、お世話になっていたお店がオフィス街にあったので、そこで得た気づきや肌で感じたこと、習得したことなどいろいろ試してみたかった気持ちがあったんです。

そのため、思い描いていた場所と違うところで始めるという不安や想像とのギャップもありました。

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-その気持ちが変わったきっかけは何だったのでしょうか?

その後「一度、きちんと話を聞いてもらえないか」とお話しをいただき、その後も何度か会ってお話を聞くうちに…
自分がやるやらないは別として、導入すべき設備や導入のために必要なスペックなど意見を求められ、いつの間にか引き込まれていました。

荒さん(HITOTOWA INC. 代表)の言葉で「賃貸業界を変えてみたい」と仰っていたのが印象的で。それが今まさに「となりの.」や「守人」で具体化し始めていると思っています。

いわゆる不動産業界で言う管理というものとは違う管理。

管理人といえば管理人なんだけど、従来の管理人ではなく、入居者同士、あるいは入居者と地域の人とのコミュニティ醸成を促しながら、積極的に人や地域に関わっていく、それが「守人」という存在で。いやぁ、これは面白いだろうなと感じました。

それを間近で見ながら何かしら関わってみたいと思ってお引き受けすることにしたんです。


コロナ禍でのグランドオープンを迎え

-実際、となりの.で働かれていかがですか?

カフェの名前を決めるとなった時、いろいろとアイデアはありました。

ただ、「となりの.」をみんなに知っていただきたかったから、「となりの.カフェ」としました。となりの.を冠にして多くの人に見てもらおうと考えました。

しかし、まだまだアプローチは足りていません。となりの.についても、ここにこんな場所があることも、しっかり伝えていきたいと感じています。

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-私はFacebookをフォローしていますよ。中でも、ゴミ拾いの記事が気になりました!

アピールすることではないと思っているのですが、毎週土曜日に周辺のゴミ拾いをしています。

当初は、「地元民でもないよそ者がここで商売をさせていただきます」という気持ちを込めた、あいさつ代わりとして始めました。また、新型コロナウイルスの関係もあったので、この場所(となりの.)のことを地域の方にも、もっと知ってほしいという想いもありました。

だから「新しくできたマンションの管理人さん?」と聞かれたら「そうなんです!よろしくお願いします!」と応えたこともありました。守人である田中さん(HITOTOWA社員)には内緒にしていましたが(笑)

-あいさつとしてのゴミ拾いいいですね。新型コロナウイルスの話も出てきましたが、阪出さんのお気持ちはいかがでしたか?

心折れそうな日もありましたね。

ただ、マンションに引っ越してきてくださる入居者の方がたくさんいらっしゃったので、

「お客さんが来なくてもいい。とにかく開けることが大切だ。」

と、その当時は思っていました。
ステイホーム期間中は、守人業務が在宅あるいはオンラインで対応をせざるを得ない中、どうしても対面対応が必要な場面もありましたし、「少しでも会話ができるっていいよね」と、お声がけをいただいたのは、支えになりましたね。

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地域のハブとなる、カフェとして

-営業自粛があけ通常営業と戻り、今後となりの.カフェのバリスタとしてどう在りたいとお考えですか?

カフェはその地域のハブになるということもお伝えしましたが、私の中ではそこまで具体的に固まっていなかったんです。

ここに立って、住宅街におけるハブって何だろうと考えるようになりました。

この場所と入居者、入居者同士あるいは入居者と地域住民の方々との間に接点ができる。私自身や私が提供するものが、こういうもののきっかけになればいいんだと思えました。

-阪出さんも阪出さんが作るコーヒーも素敵なので、多くの方に届けられるといいですね。それでは最後に、となりの.の未来と、地域の方へメッセージをお願いします!

入居者の人たちに、このマンションを選んでよかった。この地域の人に、ここのスペースとカフェができてよかったと、そう思っていただきたいです。

そして、仕事をする人、お客さんを呼んで遊ぶ人など、様々な使われ方があっていいと思います。みなさんで使っていただけるオウチの一部になれば、私も嬉しいです。

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バリスタとして「地域のハブ」になることを目指している、阪出さん。

阪出さんが淹れてくださるコーヒーがとっても美味しくて。お客さまにも、私たちHITOTOWA社員からも好評です。

開かれた賃貸住宅として、新しい取り組みで面白い「となりの.」ですが、この場所が地域のためにどう活かされ、地域にどう想われ、何を創っていくのかが、これからの楽しみだと感じました。

仕事をしに、ほっと一息の休憩に、
様々な使い方がある「となりの.」へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。


2020年3月15日、グランドオープンを迎えた「となりの.」

新型コロナウイルスの影響で、営業時間短縮という形でのオープンとなりましたが、感染拡大防止対策を行い、7月1日より通常営業に戻すことができました。


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