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ここで暮らし、ここで働く。 ー きっかけを生み出し続けるまちのねの魅力

前回の記事の冒頭でご紹介した「一般社団法人まちのね浜甲子園(以下、まちのね)」

「課題と呼べないかもしれない。でも隠れた困りごとを解決できる関係性があると暮らしはずっと豊かなはず。」

この想いから、「『子育て』『健康』『防災・減災』」の3つの取り組みのテーマを中心に、住民が交流できる機会づくり(イベント)や情報発信、多様な外部連携など、幅広い取り組みを行っています。

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HITOTOWAは、事務局としてこの取り組みをコーディネートしていますが、私たちの大切な仲間で、ともに事業を推進してくれる住民スタッフもいます。
今回はそのスタッフの内3名に、スタッフという立場からみた組織の魅力や、地域のために働くということについてお話をお聞きしました。

岡本 美紅 : 「みくちゃん」
関東から西宮市に転入し、現在は浜甲子園団地エリア内で暮らす住民スタッフ。引っ越してきた人の立場に寄り添い、その人の得意をつなげて新たなコミュニティを日々紡いでいる。
武田 恵子 : 「けーこさん」
事務局スタッフでありながら、まちのねが運営するHAMACO:LIVINGで自力整体の講師もしている。主に、教室管理や外部連携事業、健康をテーマとした取り組みを中心に担当。
井川 舞 : 「まいちゃん」
浜甲子園団地エリア内で暮らす住民スタッフ。豊富な地元情報に基づいた新生活を解消する企画や、前職のフォトグラファー経験を活かして広報全般を担当。

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(写真左 まいちゃん、写真中央 みくちゃん、写真左 けーこさん)


普段の会話から「関わりしろ」を広げる

ー 幅広い事業を展開している皆さんですが、特に紹介したいと思う取り組みを、1つ教えていただけますか。

みくちゃん:私からは、「ちいさな物語BOX」を紹介します。
地域の作家さんが気軽に利用できる月額制のレンタルボックスで、作家さんとのコミュニケーションを丁寧にすることを心掛けています。イベント出店のご協力や、利用者さんからの個別オーダーをお願いするなど、売る人と買う人の双方に喜ばれています。

けーこさん:私からは、定期活動のひとつを。
健康をテーマにした取り組みで、毎週月曜日の10:00から開催している「歩こう会」という活動があります。運動不足やウォーキングを習慣化させたい方とともにノルディックポールを使ったウォーキングサークルをサポートしています。

まいちゃん:子育てをしている私自身が、こんな企画があったらいいなと思って始めた企画「はまこー情報局」ですね!
近隣の幼稚園・保育所情報を実際に通っている保護者から聞ける交流会の開催や、小学校入学前の保護者の不安解消になるよう、おしゃべりしつつ情報共有ができる場を作っています。

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ー 事業一つひとつが魅力だと思いますが、スタッフが感じる「まちのね浜甲子園の魅力」は、どんなところですか?

まいちゃん:はじめてのきっかけがたくさんあることかな。
まちのねの拠点やイベントがあることで、「初めまして」とあいさつができたり関係性が生まれたりと、出会うきっかけがたくさんあることが魅力だと思っています。
立ち上げ当初は引っ越してきた住民さんだけでしたが、最近では、周辺事業者や施設などの外部とのつながりも本当に増えてきたなと感じています。

けーこさん:その点では、まちのねの活動が徐々に地域に認められたと感じています。まちのねと一緒に活動したいと思ってくださる方もたくさん増えてきましたね。

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ー 地域での認知度を高めるために、努力したことってありますか?

まいちゃん:広報活動はもちろん丁寧にしている一方で、世間話の一環で伝えていくことは多かったと思います。話し相手が関わってくれる人なのかは関係なく、私たちの活動を積極的に話していましたね。
視察に来てくださった方や会議などでも、活動の報告だけでなく、今どんなことをしているかなど伝えることで、新しいことにチャレンジしていく組織なんだと感じてもらっていると思います。

みくちゃん:例えば、「OSAMPO BASE」に来るお客さんも、カフェ目的で来店いただいてますが、この拠点の目的や開業までの話などをすると驚かれますね。
コミュニティ目的ではない方も、来店をきっかけに共感していただき、活動に参画してくれる方もいました。

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ー 関わりしろが本当に広いですよね。運営する拠点のカラーが違うことも要因ではあると思いますが、それだけ多くの人を受け入れられることが魅力ですね。

けーこさん:出会いや多くのきっかけを私自身ももらっています。
一方で、私が感じている魅力は、新しい取り組みという点です。従来の自治会ではなく、現代に合わせたコミュニティ(自治)をつくっていることが魅力だと思っています。それを見て、いいねと思って、真似してくれる方が視察に来てくださっているんだと思います。



暮らしている私たちだからできること

ー 自己紹介の中で、私が注目したのは「住民」スタッフという点だったのですが、そもそもどういった経緯でスタッフになったんですか?

まいちゃん:私はここに住んでからスタッフになっているので、自分が住んでいるまちだからよくしたいという思いでやってます。
みくちゃんやけーこさんは本当にすごい!魅力に惚れて移り住んだり、住んでない地域をよくしたいと思って働いてくれたり、ほんと頭が上がらない(笑)貴重です。さっきの話ではないですが、それも魅力だと思います。

みくちゃん:私はすでにこのまちの魅力に気付いちゃってるよ。
住民さんの中にもエリア内で引っ越しする方がいらっしゃって、住み続けたいと思う人もいることがうれしいです。

けーこさん:私はここで勉強させてもらっているし、いつかは自分のまちに帰りたいと思っています。
やりたいことを実現したいと思って関わりだしたけど、取り組んでいくうちにこの仕組みを自分のまちにも取り入れたいと思うようになりましたね。

みくちゃん:それって本当に良い循環じゃないかなと思います。
この活動をほかの地域でも取り組んでいただければ、暮らしているまちのために動く人が増えるってこと。より良い暮らしができるまちが増えるってことですもんね。

まいちゃん:スタッフになる前に「上手く立ち回れなくて、暮らしにくくなってしまったら…」なんて想像して、悩んだこともありました。
だけど、スタッフになるぞっていう決め手は、主人の「自分らが住むまちを、自分らが決めないでどうするねん。」って、一言でした。
それから、自分だけじゃなくて、ここに暮らしているみんなにとって良いと思えるまちにしたいと考えました。

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ー スタッフとして関わりだして、新たに生まれた考えや価値観ってありましたか?

みくちゃん:今まで関心がなかった「自治会」に興味を持つようになりました。自治会費の集金が来たら居留守を使ってしまうなんて場面を想像した時に、今だったら「ちゃんと付き合っていくべき」だと思います。
自分の暮らしに貢献できる方法が「会費を払う」というだけなら、それだけでもちゃんとしようって考えるようになりました。

けーこさん:目に見えてなくても帰ってくるんだなって。本当は、まちのためにたくさんの人が動いてくれていることを知ることができましたね。

まいちゃん:私は初めて関わる分野だったので、他のエリアマネジメントの事例を調べてみたり、SNSのグループをのぞいてみたりしましたが、どこにも正解がありませんでした。
どっかの地域では失敗エピソードであっても、私たちの地域では成功するかもしれないと感じることもあって。
結局、まちをつくっていくのは私たち自身なんだと痛感しました。

けーこさん:人をつなぐ場に興味をもっていましたが、求められているのは、空間(場)じゃないんだと気付かされることもありました。
多くの人を集めて交流するだけが場ではなくて、私や住民さん同士が思う「幸せにしたい人」を、幸せな気持ちで包み込むことや接していくことが、人をつなぐはじまりまりなんだと思うようになりました。

みくちゃん:「コミュニティがまちの価値になっていく」って考えが生まれましたね。
実は私、コミュニティや地域と関わることは苦手なタイプだったんです。でも、ここで働くことでコミュニティの価値や自分のためになることなんだと気付くことができました。

また、まちのねではそうした苦手意識がある人でも、取り残されないように、得意なことや好きなことなどを通じて、気軽に関われる仕組みがちゃんとつくられていることが、何よりもすごいと感じています。なので、まちのねで働けることが、私の中ではある意味「財産」ですね。

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より良い暮らしを目指し、このまちとともに年を重ねる

ー この仕事を通じて今後チャレンジしたいことはありますか?

まいちゃん:私は、団地住民ともっと関わっていきたいと思っています。
私生活の話になってしまいますが、この校区では、団地の方が子どもたちの登校の見守りを手伝ってくれているんです。ただ、子どもたちが見守りの方にあいさつができていないという声があって。
子どもからのあいさつで変わるかはわかりませんが、習慣化された見守り活動よりも、生きがいや楽しさを感じられる時間になるようにしたいんです。

普段から少しでも顔を合わせる関係があれば安心にもつながりますし、まちのねの拠点が暮らしの中にあるからこそもっと活用できると思っています。

けーこさん:新しく引っ越してこられた方の多くが、いいまちと感じてくださっていると思います。
それに合わせて、もともと暮らしていた人たちも、若い人が引っ越してきてくれてまちがより良くなったと感じてもらえるようになりたいですね。このまちのこれからの変化を楽しみにしてほしいです。

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ー では、最後にまちのねの将来について思っていることをお聞かせください。

まいちゃん:住民とのコミュニケーションを大切にすることで、取り組めているイベントもあるので、まちとしてのチームワークは大事にしていきたいです。
また、まちが変わっていく中でも、新しく引っ越してこられた方が、気軽に立ち寄れる場所であり続けたいので、できる限り、今の取り組みも残したいなと思っています。

けーこさん:風通しがいい組織だと言われたことがあります。スタッフの誰に何を聞いても、ちゃんと受け答えをしてくれているって。
もちろん単に仲がいいのかもしれませんが、常に情報交換ができている組織だからこそだと私は思っていますし、これからも風通しがいい組織であり続けたいです。

みくちゃん:組織とともにまちも年を重ねるじゃないですか。だから、新しい人たちの力をさらに吸収できるようになっていきたいと思います。
今のスタッフと働ける有難さもありますが、やはり私たちだけでなく、一人でもまちのために動いてくれる人がいたらいいと思うので、みんなでまちをより良くしていきたいですね!

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自分たちが暮らしているまちのために働いているスタッフの、まちや組織に対する想いはいかがでしたか。

働くうちに生まれた考えや価値観で触れた「コミュニティがまちの価値となる」は、住宅街エリアマネジメントの真骨頂だと思います。
そして、そのコミュニティをつくるために、関わりしろを広くもつことや誰一人取り残されない仕組み、多くのきっかけをつくることなど、まちのね浜甲子園の特徴ともいえる気付きが多くありました。

何より、お互いを信頼し、尊敬しあえる、仲睦まじいスタッフさんこそが、まちのね浜甲子園の最大の魅力だと感じたインタビューでした。



【過去のインタビュー記事】
OSAMPO BASE インタビュー記事
地域のみんなでつくる、地域のための場所【Interview vol.2-1】
愛着が生まれるコミュニティカフェの在り方【Interview vol.2-2】




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