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花火大会の有料観覧席に思うこと

コロナ明けの去年夏、花火大会の有料観覧席がニュース等で報じられ、実は私自身、強い憤りを感じました。ニュースでは花火観覧の有料化に対する人々の不満にスポットが当てられ、視聴者の怒りを誘発する内容になっていた記憶があります。今思えば、私もそれに乗せられた感があります。

有料観覧席の導入について主催者は、
(a) コロナ禍の物価高騰に伴う花火の製造原価の高騰
(b) 雑踏事故への対策費増
を理由に理解を求めたようですが、市民から強い反発を受けたとのこと。

元々それらのコストは「存在」していたはずなのにそのコストが「増加」したことを理由に、それまで「無料」だった花火観覧を「有償化」する、って言われても納得しずらいですよね。

しかし、この問題を改めて少し視点を考えてみたいと思います。

オーバーツーリズムと花火大会のアナロジー

上記の通り、花火大会の有料観覧席に強く憤った私ですが、ふと考えてみると、私自身は小学生のころ花火大会を見に行って以来、花火大会を見に行った記憶がありません(笑)

何故か?
  (1) 人が多すぎて、落ち着かない
  (2) 花火大会が行われる夏の夜はむし暑く快適でない
  (3) 蚊に刺されて不快
  (4) 花火大会終了後の帰宅途中に巻き込まれる雑踏にくたびれる
この辺りが花火大会に魅力を感じながら、実際には行かなくなった理由です。

同じような理由で「真夏の海水浴場」や「著名な桜の名所」を避けます。また「渋滞に嵌りそうな時期の旅行」も避けます。要するに人が集中する場所や時間を避けているわけです。

人の集中・雑踏と言う点では、オーバーツーリズムと共通していますね。

下は、以前書いた記事からの引用です。

「(観光客集中対策としての)観光税の導入」に対して「(経費捻出手段としての)有料観覧席」と表面的な理由こそ違え、ほぼ同じ効果が得られるように思われます。つまり、
  (1) 人混みの緩和
  (2) 有料化による「快適さ提供」の財源確保
です。(2)についてどの程度の配慮がなされているのか存じ上げませんが、有料ならばその料金次第で虫よけ対策、蒸し暑さ対策も可能です。

つまり、「これまで無料だった花火観覧が有料になる」というデメリットがある一方で「安全、安心、快適な花火観覧」というメリットを享受できるわけです。

「平等」を尊ぶ日本人は抵抗感を持ちがちですが、今後「(富裕層を含む)訪日観光客受け入れによる観光産業の成長」と言う視点でも、「有料ながら安全で快適な花火観覧」というオプションはあってしかるべきでしょう。それは日本在住の我々にとっても魅力的な選択肢になるはずです。

ニュースの伝え方によっては違った反応も?

上記で触れた「花火大会の有料観覧席」のニュースもその一例ですが、日本のニュースやワイドショーなどでは物事を見る視点が偏ることが多いように思われます。

「有料化」というデメリットばかりにスポットを当て、それによって解決される問題やメリットに対してはスルーしてしまうことが多いのではないでしょうか?

オーバーツーリズムの弊害や訪日外国人の無法な振る舞いにスポットを当て、「インバウンド取り込みによる日本の観光産業成長」の根底的否定を誘導しかねない伝え方が目立ちます。

民法テレビのビジネスモデルの基本は、「人々の関心を集めるコンテンツ提供により、視聴率を最大化し、スポンサー企業の広告宣伝価値を最大化する」ことです。

この「人々の関心を集めるコンテンツ」が、専ら「人々の怒りを集める」ネガティブなものなっているのは、何故なんでしょう?

日本人視聴者の多くが「ひたすら怒る」ことが好きだからなのでしょうか?「物事のデメリット」だけに関心が向かい「メリット」には興味が湧かないからでしょうか?「建設的に問題解決策を考える」なんて綺麗ごとが大嫌いだからなのでしょうか?

あくまで仮説ですが、私は以下のように解釈しています。
(1)「日本人は意見対立を好まない」ため「物事の多面性に目を向けず、一つの側面だけに目を向け、意見の対立を避ける」
(2)「花火大会の有料観覧席」についても、デメリットだけに集中し、議論を深めないことで、対立を避ける
(3)「花火大会主催者」等の説明や有料化の理由付けを、「まずは疑う」ことで「不用意に自分の利益を奪われること」を避けようとする

どうでしょうか?

下のイラストは、真剣に議論しようとする奥さんを前に、対立を避けるべく、冗談ではぐらかそうとする旦那さんの姿です(笑)


補足:
◇ 記事で使用されているイラストはDALL-Eを利用し作成しています。

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