『女児が性被害に遭って喜ぶフェミニスト達の処方箋』2023-01-26

 2023年1月19日、フェミニズム界隈が喜びに湧きたった。
 大阪府吹田市の無職男性(26)が、過去あわせて10人の小学生女児にわいせつ行為を行ったとして逮捕された。その被疑者が「エロ漫画を真似した」と供述したと報じられたからである。

 普通の人間であれば、まずは被害の大きさと深刻さに心を痛める。
 知ってのとおり、フェミニズム界隈はポルノを異常に敵視している。特に萌え系の2次元エロに対しては憎悪が激しい。
 しかしこのnoteやセンサイクロペディアでも何度も取り上げているように、表現規制の多い国に比べて日本は圧倒的に性犯罪が少ない。日本国内でも規制が性犯罪の減少に貢献したこともない。
 そのことを知っている表現規制反対派は「ポルノが、萌え絵が、ゲームが、etcetcが犯罪を起こさせるので規制すべきだ!」に数多くの実証的な反論を行ってきた。
 規制派は反対派の出すこうした科学的根拠・統計的実証に論理的な反論を返すことはできず、ずっと苦しんでいる。苦しみ過ぎてこんな捏造までしてしまった。

 まず「日本犯罪対策委員会」「性犯罪被害調査2016」「アダルトビデオがなければ性犯罪を起こさなかったと思いますか?」と検索しても、こんな調査の情報は何一つ出てこない。
 また整数人が回答したのであれば、266人中の11.0%や89.0%には、その下の桁を四捨五入したとしてもなることはない。29人なら10.90225…→10.9%、30人なら。11.27819….→11.3%になるからだ。
 そもそも円グラフとしては明らかに変な位置から始まっている。おそらく表計算ソフトに想像上の数字を入力さえしておらず、お絵かきソフトの類で作ったものと思われる。
 
 メディアの有害論の惨状はこうしたものなので、数年に一度こうした事件が起こると、彼らはその具体的イメージの力でなんとか形勢逆転できるのではと期待を寄せ、大騒ぎするのである。

 しかしながら、本件における「エロ漫画」と犯行の因果関係はどうも怪しいようである。こちらの記事を参考にみてみよう。

 小学生の女児を狙ったのは「成人女性だと抵抗され、通報されるかもしれないと考えたから」と供述しているという。

女児10人に性的暴行などの疑い 逮捕の26歳男「成人だと通報が」

 まずターゲットが女児であることは「エロ漫画の影響」ではないようだ。というか女児が良かったのですらなく、成人女性だと通報や抵抗がありそうなので女児を狙ったという消去法的な経緯である。
 では、通常では思いつかないような手段をエロ漫画が知識として吹き込んだのだろうか。

同課によると、柳本容疑者の携帯電話には、被害女児の行動パターンを事件前に確認した様子がメモされていた。帰宅する女児の後をつけ、自分で玄関の鍵を開けるところや、その後の様子から家族が不在であることを確認していたという。携帯に残されたメモや映像などから、長いときで約1年にわたって準備していたとみている。その上で、柳本容疑者は帰宅する女児を付近で待ち伏せ、玄関ドアを開けたところで室内に押し入るなどしていた。

女児10人に性的暴行などの疑い 逮捕の26歳男「成人だと通報が」

 これもどうやら漫画ではなく、犯罪の手法そのものも実際に女児のことを調査して手段を決定したようである。

 ……はて?
 ターゲットでも、犯行手法でもないなら、一体エロ漫画のどこをどう真似したのだろう。
 作品名などは一切報道されていないので分からないが、探しているともう少し具体的なことが書かれた記事が見つかった。

柳本容疑者は容疑を認めていて「エロ漫画をまねて小学校の女の子の後をつけたりして、住んでいる家や家族構成など女の子の行動を何日も確認したのちに、女の子を待ち伏せして犯行に及んだ。小学生の女の子だけにこのようなことをしたのは、成人女性だと抵抗されて警察に通報されるかもしれないという考えがあったから」と話しているということです。

女児10人にわいせつ行為の疑い ナイフなどで脅して 防犯カメラの確認など入念に計画か

 なるほど。ターゲットの選定も、後をつけてからの犯行計画もエロ漫画とは関係ないが、途中で挟まった「後をつけて」この部分が「エロ漫画をまね」たことになっている部分なのだ。

 しかし疑問である。
 そもそも見も知らぬ女性に性犯罪を行おうとすれば、大抵の場合「後をつける」というプロセスが、エロ漫画を読もうが読むまいが自然にと言って良いほど挟まるのではないだろうか。
 ましてこの被疑者のような、通報や抵抗の可能性を考えて相手を選び、生活や行動パターンについて調べ上げたりするような一種の知能犯が「エロ漫画を読んでいなければ後をつけなかった」とは考えられない。まして被疑者は相手によっては一年以上もの計画を練って犯行に及んだという。
 後をつけるプロセスがない可能性があるとしたら、路上で遭遇した相手を直に襲うような計画性のかけらもない犯行の場合や、あるいはすでに自分のテリトリーに入ってきている相手に手を出すような場合だろう。後者の典型は、親や教師(欧米では聖職者がよく報じられる)などがもともと自分の庇護下にある児童に加害するようなケースである。
 
 この事件のケースは「自分と(おそらくは)無関係な女児の生活環境を調べ、家に1人でいるところを襲う」というケースであり、調べる過程で後をつけないことの方が考えにくいのだ。

 つまり実際にはエロ漫画はここにも加功していない可能性が高い。
 では、なぜ報道ではそのように報じられるのだろうか。

 1つあるのは、本人が自身の責任の軽減を狙って「悪影響の被害者」を自称するパターンである。ネット上ではこの可能性を指摘されるのが多い。

 しかし現実的にさらによくあるであろうもう1つのパターンは、本人を調べている最中に警官側が口走ったことに、被疑者が唯々諾々と「はい」と言ってるだけ、というタイプである。
 「供述」というと、一般の人には本人が自分からその内容を口にしているような印象になる。しかし実際には、こうしたいわゆる取り調べでは「本人が認めたのであれば『供述』としていい」という実務になっている。そしてこれはそのままマスコミにも「被疑者がこう供述した」として伝えられる。

 警官が「○○なのか?」と偏見で勝手に言い出したことであっても、被疑者に認めさせさえすれば、それはすなわち「供述」なのだ。

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